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第二章
八話 復興への一歩
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邪悪な悪魔ドルガ。
このとても危険な存在に深手を負わせ退けたレフトたち。だがアレサも負傷してしまう。宿屋ではアレサの治療はできないため、毎度のことだが集落診療所の世話になっていた。
「ごめんなさいレフトーラ君。これは全面的に私たちのミスだわ」
「レフト様申し訳ありませんでした」
深々と詫びるホープとヴァン。
「えっ…」
「依頼書が二人を誘い出す罠だったってことよね…ちくしょう…あのやろうっ」
珍しく荒れるホープ。
「せ、先生、ドルガとは何者ですか?あれは正直、正攻法で倒すのは困難ですよ」
「分かりやすく説明すると悪魔の親玉で……人類が…神と呼ぶ存在よ」
「神…ですか」
神というワードに驚くヴァン。
だがレフトは納得しているようである。
「今まで戦ったことがない存在でした。正直、もう戦いたくはないですね…全力でやりあったらおそらく世界は……」
「何物騒なこと言ってんのよ、あんたにはアレサがいるでしょ、バカな考えはやめなさい」
「その通りですレフト様。どんな強敵にも弱点はあります。そうですよね先生?」
「さすがヴァンね、弱点を潰すのよ。アイツの弱点は眼よ」
「眼ですか?」
「ドルガの最大の武器は眼よ。身体の微妙な動きや汗などによる体調の変化からこっちの心理をよみとるのよ。それはまるで心を見透かされているような錯覚に陥るわ」
「そんなことが…」
「あなたたち二人が生きているのは本当に奇跡よ。そのフレイアって魔女がいたことに感謝すべきよ」
「そうですね…」
うつむくレフト。
「とはいえ今回の一件は圧倒的に私たちが悪いわ。本当にごめんなさい。生還してくれて良かった」
「…」
先生、本当に珍しく取り乱しているね。
それほどドルガは強大な存在なのか。
「もしもの時のため伝えておくわ。ドルガの天敵はオメガと私よ」
「…何となくわかる気がします…」
失礼だけど感情に左右されない先生やアンドロイドにはドルガの戦闘スタイルは通じない。
「まったくもう…」
ホープは病室を見る。
「アレサにとってトゲトゲやドルガは因縁があった。特にドルガはアレサの処刑に関わっており、最終的に彼女の生存を許可した過去があるわ」
「…カイトと左遷の件ですね」
「ええ……あなたは彼女の過去を受け止め克服させたわ。これで本当にアレサは救われた…ありがとう」
その様子を見た二人は診療所を出る。
そっとしておこう。
そして久しぶりのレフトとヴァン。
「レフト様、各国で動きがあったのでご報告が」
ヴァンはメモ紙のようなものを取り出し話をする。
「シーキヨとヘルゲート、さらに両国の周辺地域に存在する数十もの集落などが集まり会議をするそうです」
「何だそれは…」
「復興機関が各地を回りこの会議が決まったそうです。エンデと幻獣は参加しないそうですが、これは大陸にとって大きな進歩かと」
ヴァンもあちこち走り回ってくれていたようだ。
「情報をありがとう」
「種族の制限はなく、かなり大規模な集まりとなるようで、この集落は先生とキバが出席することになりました」
えっー、何故先生が出席を…。
長や魔術師長がいるのに…。
「おそらくベルーナの宿にも使者が向かっているはずです」
みんな集めて悪魔対策でもするのかな。
大規模になると襲撃が怖いね。
参加すべきか…。
「レフト様」
「ん?」
「私たちはジジ様管轄集落の代表として参加が決まりました」
「ん、ええーっ」
「レフト様の家はあの集落です。奥様と私が同行致します。奥様の体調が悪い場合はジジ様が代行することになりました」
「あら、そうなの」
こりゃ荒れるよー。
ヘルゲートとかどうすんのよ?
トップオブザワールドが出席するのか?
「急でしたので、もし都合が悪いのなら私とジジ様で出席しますが…」
「行くよ。大陸が少しでも歩み寄るきっかけになるといいね。それに…これ別の目的がありそうだね」
「はい…この集まりを餌に暗躍する集団を誘い出すことができる。そして一網打尽にする」
「うん、復興機関はそれが狙いだと思うよ。おそらく機関でトラブルがあったね」
ついに動き出したようだね。
ドルガを潰しておいたのは正解だったかもしれない。
「これからジジ様の元へ向かいますか?」
「いや、少し休ませてほしい。ごめんヴァン」
「承知しました。では手続きなど済ませておくのでゆっくりお休みを」
そういうとヴァンは空を飛び集落へ向かった。
復興機関本部病室
扉を開け室内へと入るオメガとニナ。
余計な物がないいかにも病室という室内だ。
二人はミラに会いにきた。
「あっ…」
「お嬢さん、身体はどうかしら?」
会話はニナに任せオメガは待機して話を聞いている。
「明日には退院できるそうです」
「良かったわね。病室だと退屈でしょう」
日常会話を淡々するニナにミラは本題を話そうとする。
「あの、私は…」
「話す覚悟…できたの?」
「はいっ…弱い自分から変わりたいんです」
「その決意はどうでもいいわ、それよりあんたは何故あの部隊に加わったの?」
「あの…えと…鏡が…」
その言葉に反応する二人。
「続けて、鏡がどうしたの?」
「はい、連合を解散して私たちはシーキヨへ戻りました。そして帰宅すると黒いローブの者が家の前にいて…」
話すのが怖いのか、魔法で口封じされているのか、ミラの手はガタガタと震えている。
そんなミラを注視するオメガ。
「そのローブの奴が鏡を?」
「はい…小さな手鏡のようなモノで、それを見せられて…」
「手鏡……何かその報告、どこかであった気がするわ」
「うむ」
「で?その後の記憶がなく、気づいたらここにいた…?」
「はい、その通りです…」
沈黙する病室。
考え込む二人をみておどおどするミラ。
「こんな情報…役に立つのか…ごめんなさい」
ミラの体力を心配し二人は部屋を出る。
そこへ情報課の者が二人を発見し報告へ来る。
「お疲れ様です。ジダヌは何者かに操られていたようです」
「うむ、鏡であるか?」
「はいそうです、ご存知でしたか。名称は不明ですが、地下組織なるものにジダヌは接触しており、そこで鏡を見せられたとのことです」
「なんで機関の人間が地下組織なんかと接触してんのよ」
不満そうにぼやくニナ。
「はぁ、それが…もともと機関に不満があったそうで…」
「…ねえ」
「うむ」
「そう本人が…」
「それ、鏡と関係あんの?」
「どうでしょう…」
微妙な雰囲気となり、申し訳なさそうに去る情報課。
「とりあえず鏡の情報とその組織の目的がわからないと動けないわね」
「鏡はシーキヨのレンが報告をあげている。レフトもそれは知っている」
「ああ、シーキヨだったか」
頭をポンポンと叩くニナ。
ドルガの件などでだいぶ疲労しているようだ。
「ニナ」
「ん?」
「一つ考えがある」
「えっ」
「上層部に大陸全土の幹部を集めて会合するように進言する」
「ああ、それ、もうやるの?」
「うむ、ニナや多くの者の働きかけでこちらの準備はできていると報告を受けている。その会合で地下組織なる集団を誘い出す」
「そうね、ドルガの動きやこの鏡とか、頭痛がするような出来事をまとめて片付けられるかもしれない」
「進言し、その後の動きはおって知らせる。ニナは休んでおくのだ」
ニナの疲労をオメガは察しており会合の前に休息が必要と判断したのだろう。
「悪いわね、そうさせてもらうわ」
そういうとニナは本部を後にした。
動き出した世界情勢。
水面下では何か起きているのか。
この会合で世界は一つになることができるのだろうか。
「あいわかった。まずは動くことだな」
「ラムダ殿、ありがとうございます」
会合は復興機関が主催とし派遣課、情報課の使者が各国へ駆け回った。
使者にヘルゲートはなんと無償にて開催場所の提供を約束。
これに機関は難色を示したが、後日使者が開催場所を視察したところ、各国が集まるに相応しい建造物を確認。ヘルゲートとは思えぬ高級感のある内装で、ここに開催を決定した。
レフトたちはジジの集落に戻り開催まで準備をしていた。
「会場には武器が持ち込めないようだね」
「まあ当然でしょう」
椅子に座りくつろぎながら会合の案内を確認していく。
ヴァンはゾルムのところだ。
「まさかヘルゲートが場所の提供をするとはね。びっくりだよ」
「私はヘルゲートのことをよく知らないけど、危険地区だというのは把握しているわ」
「トップオブザワールド、フラット、マーガレット」
「ヘルゲートにフラットがいるのね。なんだか胡散臭いわよ」
「謎だった人物が姿をみせるのか」
レフトの興味とアレサの不安。
ヘルゲートが場所を提供したのは自分たちの戦力を各国に示すためだろう。
アレサはそう考えていた。
「そういえばアレサはシーキヨの軍人でしょ?なら…」
「もう軍人は退役しているわよ」
「えっ…いつから…」
「あなたが機関を脱退した頃だったかしら」
「そうだったのか…ごめんね」
「ごめん?どうしてよ」
「部下もいるだろうし、アレサは優れた軍人だったから…」
「私の代わりなぞたくさんいるわ。それに退役してもシーキヨは給料がもらえるのよ」
「えっ…なにそれ…もしや天下りとか…」
「何言ってるのよ、私たちはシーキヨを救ったのよ、当然の対価だわ」
なんかこういう部分は本当にしっかりしているんだよね。ミーナから聞いたけど闘技大会の賞金とか。
「…」
「シーキヨは…教皇ホウ、アルフレッド、シオンか」
「アルフレッドってあの騎士かな」
「そうね、参謀のシオンとか私は懐かしいわ」
各国の参加者が名簿のようになっており自分の知る地域を読むのは面白い。
これは復興機関の策略であろう。
名を出すことは危険ではあるが組織は各国の首脳を把握できる。
グダグダと話しているところにジジが合流する。
「本来私が出向くべきなのですが…」
ジジは元気そうだ。
ここは本当にのんびりとした時間が流れている。
平和。
世界もこんなふうになるといいね。
「えっそんなに早いの?」
物思いにふけるレフトだが、驚くアレサをみて現実に戻る。
「三日後よ、三日」
「会合?」
「はい、先ほど機関の使者が伝令にきました」
「明日、ヴァンを呼び戻してすぐにヘルゲートへ向かうわよ」
「えっ、もう?」
「施設を調べたい。私だけ先に向かうでもいいわよ。レフトはヴァンと後から合流すればいいでしょ?」
「行きますよ」
翌日、ヴァンは儀式があるらしく、二人をヘルゲートに転移し集落へ戻り当日に合流するようだ。
「ヘルゲート…」
「ほらいくわよ。感傷に浸る暇はないわよ」
「はい」
ヘルゲート入りしたレフトたち。
会場は入口付近に建造された高級感あるドームである。
「こんなドーム、いつの間に建造されたのだろうか。会合というか競技場みたいだわ」
「あら、競技場にするつもりだったのかもよ?市街の中に建造しないことが怪しいのよ」
「つまりヘルゲートの事業ってことかな」
「さあ、どうだか。ただレフト、注意する必要があるわよ、この会合は様々な陰謀がありそうだわ。状況によっては…」
「ん?状況に?」
「復興機関と戦う可能性があるかも…」
「覚悟はできているよ。集落代表の市民として参加するからね」
「ふふ、頼もしいわね」
「その声は」
ふりかえる二人。
そこにはニナとオメガが立っていた。
次回へ続く。
このとても危険な存在に深手を負わせ退けたレフトたち。だがアレサも負傷してしまう。宿屋ではアレサの治療はできないため、毎度のことだが集落診療所の世話になっていた。
「ごめんなさいレフトーラ君。これは全面的に私たちのミスだわ」
「レフト様申し訳ありませんでした」
深々と詫びるホープとヴァン。
「えっ…」
「依頼書が二人を誘い出す罠だったってことよね…ちくしょう…あのやろうっ」
珍しく荒れるホープ。
「せ、先生、ドルガとは何者ですか?あれは正直、正攻法で倒すのは困難ですよ」
「分かりやすく説明すると悪魔の親玉で……人類が…神と呼ぶ存在よ」
「神…ですか」
神というワードに驚くヴァン。
だがレフトは納得しているようである。
「今まで戦ったことがない存在でした。正直、もう戦いたくはないですね…全力でやりあったらおそらく世界は……」
「何物騒なこと言ってんのよ、あんたにはアレサがいるでしょ、バカな考えはやめなさい」
「その通りですレフト様。どんな強敵にも弱点はあります。そうですよね先生?」
「さすがヴァンね、弱点を潰すのよ。アイツの弱点は眼よ」
「眼ですか?」
「ドルガの最大の武器は眼よ。身体の微妙な動きや汗などによる体調の変化からこっちの心理をよみとるのよ。それはまるで心を見透かされているような錯覚に陥るわ」
「そんなことが…」
「あなたたち二人が生きているのは本当に奇跡よ。そのフレイアって魔女がいたことに感謝すべきよ」
「そうですね…」
うつむくレフト。
「とはいえ今回の一件は圧倒的に私たちが悪いわ。本当にごめんなさい。生還してくれて良かった」
「…」
先生、本当に珍しく取り乱しているね。
それほどドルガは強大な存在なのか。
「もしもの時のため伝えておくわ。ドルガの天敵はオメガと私よ」
「…何となくわかる気がします…」
失礼だけど感情に左右されない先生やアンドロイドにはドルガの戦闘スタイルは通じない。
「まったくもう…」
ホープは病室を見る。
「アレサにとってトゲトゲやドルガは因縁があった。特にドルガはアレサの処刑に関わっており、最終的に彼女の生存を許可した過去があるわ」
「…カイトと左遷の件ですね」
「ええ……あなたは彼女の過去を受け止め克服させたわ。これで本当にアレサは救われた…ありがとう」
その様子を見た二人は診療所を出る。
そっとしておこう。
そして久しぶりのレフトとヴァン。
「レフト様、各国で動きがあったのでご報告が」
ヴァンはメモ紙のようなものを取り出し話をする。
「シーキヨとヘルゲート、さらに両国の周辺地域に存在する数十もの集落などが集まり会議をするそうです」
「何だそれは…」
「復興機関が各地を回りこの会議が決まったそうです。エンデと幻獣は参加しないそうですが、これは大陸にとって大きな進歩かと」
ヴァンもあちこち走り回ってくれていたようだ。
「情報をありがとう」
「種族の制限はなく、かなり大規模な集まりとなるようで、この集落は先生とキバが出席することになりました」
えっー、何故先生が出席を…。
長や魔術師長がいるのに…。
「おそらくベルーナの宿にも使者が向かっているはずです」
みんな集めて悪魔対策でもするのかな。
大規模になると襲撃が怖いね。
参加すべきか…。
「レフト様」
「ん?」
「私たちはジジ様管轄集落の代表として参加が決まりました」
「ん、ええーっ」
「レフト様の家はあの集落です。奥様と私が同行致します。奥様の体調が悪い場合はジジ様が代行することになりました」
「あら、そうなの」
こりゃ荒れるよー。
ヘルゲートとかどうすんのよ?
トップオブザワールドが出席するのか?
「急でしたので、もし都合が悪いのなら私とジジ様で出席しますが…」
「行くよ。大陸が少しでも歩み寄るきっかけになるといいね。それに…これ別の目的がありそうだね」
「はい…この集まりを餌に暗躍する集団を誘い出すことができる。そして一網打尽にする」
「うん、復興機関はそれが狙いだと思うよ。おそらく機関でトラブルがあったね」
ついに動き出したようだね。
ドルガを潰しておいたのは正解だったかもしれない。
「これからジジ様の元へ向かいますか?」
「いや、少し休ませてほしい。ごめんヴァン」
「承知しました。では手続きなど済ませておくのでゆっくりお休みを」
そういうとヴァンは空を飛び集落へ向かった。
復興機関本部病室
扉を開け室内へと入るオメガとニナ。
余計な物がないいかにも病室という室内だ。
二人はミラに会いにきた。
「あっ…」
「お嬢さん、身体はどうかしら?」
会話はニナに任せオメガは待機して話を聞いている。
「明日には退院できるそうです」
「良かったわね。病室だと退屈でしょう」
日常会話を淡々するニナにミラは本題を話そうとする。
「あの、私は…」
「話す覚悟…できたの?」
「はいっ…弱い自分から変わりたいんです」
「その決意はどうでもいいわ、それよりあんたは何故あの部隊に加わったの?」
「あの…えと…鏡が…」
その言葉に反応する二人。
「続けて、鏡がどうしたの?」
「はい、連合を解散して私たちはシーキヨへ戻りました。そして帰宅すると黒いローブの者が家の前にいて…」
話すのが怖いのか、魔法で口封じされているのか、ミラの手はガタガタと震えている。
そんなミラを注視するオメガ。
「そのローブの奴が鏡を?」
「はい…小さな手鏡のようなモノで、それを見せられて…」
「手鏡……何かその報告、どこかであった気がするわ」
「うむ」
「で?その後の記憶がなく、気づいたらここにいた…?」
「はい、その通りです…」
沈黙する病室。
考え込む二人をみておどおどするミラ。
「こんな情報…役に立つのか…ごめんなさい」
ミラの体力を心配し二人は部屋を出る。
そこへ情報課の者が二人を発見し報告へ来る。
「お疲れ様です。ジダヌは何者かに操られていたようです」
「うむ、鏡であるか?」
「はいそうです、ご存知でしたか。名称は不明ですが、地下組織なるものにジダヌは接触しており、そこで鏡を見せられたとのことです」
「なんで機関の人間が地下組織なんかと接触してんのよ」
不満そうにぼやくニナ。
「はぁ、それが…もともと機関に不満があったそうで…」
「…ねえ」
「うむ」
「そう本人が…」
「それ、鏡と関係あんの?」
「どうでしょう…」
微妙な雰囲気となり、申し訳なさそうに去る情報課。
「とりあえず鏡の情報とその組織の目的がわからないと動けないわね」
「鏡はシーキヨのレンが報告をあげている。レフトもそれは知っている」
「ああ、シーキヨだったか」
頭をポンポンと叩くニナ。
ドルガの件などでだいぶ疲労しているようだ。
「ニナ」
「ん?」
「一つ考えがある」
「えっ」
「上層部に大陸全土の幹部を集めて会合するように進言する」
「ああ、それ、もうやるの?」
「うむ、ニナや多くの者の働きかけでこちらの準備はできていると報告を受けている。その会合で地下組織なる集団を誘い出す」
「そうね、ドルガの動きやこの鏡とか、頭痛がするような出来事をまとめて片付けられるかもしれない」
「進言し、その後の動きはおって知らせる。ニナは休んでおくのだ」
ニナの疲労をオメガは察しており会合の前に休息が必要と判断したのだろう。
「悪いわね、そうさせてもらうわ」
そういうとニナは本部を後にした。
動き出した世界情勢。
水面下では何か起きているのか。
この会合で世界は一つになることができるのだろうか。
「あいわかった。まずは動くことだな」
「ラムダ殿、ありがとうございます」
会合は復興機関が主催とし派遣課、情報課の使者が各国へ駆け回った。
使者にヘルゲートはなんと無償にて開催場所の提供を約束。
これに機関は難色を示したが、後日使者が開催場所を視察したところ、各国が集まるに相応しい建造物を確認。ヘルゲートとは思えぬ高級感のある内装で、ここに開催を決定した。
レフトたちはジジの集落に戻り開催まで準備をしていた。
「会場には武器が持ち込めないようだね」
「まあ当然でしょう」
椅子に座りくつろぎながら会合の案内を確認していく。
ヴァンはゾルムのところだ。
「まさかヘルゲートが場所の提供をするとはね。びっくりだよ」
「私はヘルゲートのことをよく知らないけど、危険地区だというのは把握しているわ」
「トップオブザワールド、フラット、マーガレット」
「ヘルゲートにフラットがいるのね。なんだか胡散臭いわよ」
「謎だった人物が姿をみせるのか」
レフトの興味とアレサの不安。
ヘルゲートが場所を提供したのは自分たちの戦力を各国に示すためだろう。
アレサはそう考えていた。
「そういえばアレサはシーキヨの軍人でしょ?なら…」
「もう軍人は退役しているわよ」
「えっ…いつから…」
「あなたが機関を脱退した頃だったかしら」
「そうだったのか…ごめんね」
「ごめん?どうしてよ」
「部下もいるだろうし、アレサは優れた軍人だったから…」
「私の代わりなぞたくさんいるわ。それに退役してもシーキヨは給料がもらえるのよ」
「えっ…なにそれ…もしや天下りとか…」
「何言ってるのよ、私たちはシーキヨを救ったのよ、当然の対価だわ」
なんかこういう部分は本当にしっかりしているんだよね。ミーナから聞いたけど闘技大会の賞金とか。
「…」
「シーキヨは…教皇ホウ、アルフレッド、シオンか」
「アルフレッドってあの騎士かな」
「そうね、参謀のシオンとか私は懐かしいわ」
各国の参加者が名簿のようになっており自分の知る地域を読むのは面白い。
これは復興機関の策略であろう。
名を出すことは危険ではあるが組織は各国の首脳を把握できる。
グダグダと話しているところにジジが合流する。
「本来私が出向くべきなのですが…」
ジジは元気そうだ。
ここは本当にのんびりとした時間が流れている。
平和。
世界もこんなふうになるといいね。
「えっそんなに早いの?」
物思いにふけるレフトだが、驚くアレサをみて現実に戻る。
「三日後よ、三日」
「会合?」
「はい、先ほど機関の使者が伝令にきました」
「明日、ヴァンを呼び戻してすぐにヘルゲートへ向かうわよ」
「えっ、もう?」
「施設を調べたい。私だけ先に向かうでもいいわよ。レフトはヴァンと後から合流すればいいでしょ?」
「行きますよ」
翌日、ヴァンは儀式があるらしく、二人をヘルゲートに転移し集落へ戻り当日に合流するようだ。
「ヘルゲート…」
「ほらいくわよ。感傷に浸る暇はないわよ」
「はい」
ヘルゲート入りしたレフトたち。
会場は入口付近に建造された高級感あるドームである。
「こんなドーム、いつの間に建造されたのだろうか。会合というか競技場みたいだわ」
「あら、競技場にするつもりだったのかもよ?市街の中に建造しないことが怪しいのよ」
「つまりヘルゲートの事業ってことかな」
「さあ、どうだか。ただレフト、注意する必要があるわよ、この会合は様々な陰謀がありそうだわ。状況によっては…」
「ん?状況に?」
「復興機関と戦う可能性があるかも…」
「覚悟はできているよ。集落代表の市民として参加するからね」
「ふふ、頼もしいわね」
「その声は」
ふりかえる二人。
そこにはニナとオメガが立っていた。
次回へ続く。
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