ファンタジー/ストーリー5

雪矢酢

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第二章

二話 ゲートの行く末

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「お待たせしました、アン到着しました」


ガチャリと扉が開きアンが入室してくる。


「ふふ、アンさん、ごきげんよう」


「既に話はまとまったわい。後は旦那から聞くとよい」


ゼノンブールは飲み物を手にしてそそくさと退出する。
アンに一礼しアローもゼノンブールに続き退出していった。


「ち、ドライだねえ」


「ふふ、気を悪くしないで下さいね、大老やアローさんはバイオさんを目覚めさせようと必死なのですわ」


「昏睡状態といってましたね」


「ええ。エンデにはまだ秘密があったのかもしれないですわね、ふふ」


「ですがエンデは沈んだと…」


アンは二人の顔を見る。


「沈んだほうがよかっただろう。良からぬ事を考える輩の手におちたら…それこそ本当に世界は終わってしまうかも…」


腕を組み話すガルシア。


「ふふ、ガルシアさんは堅実ですね。この件が片付いたら息抜きにアンさんと旅行にでも行かれたらどうでしょう?休暇を許可しますよ?」


「えっ…」


その言葉に何かを感じるガルシア。


「ほ、本当ですかマーガレット様?」


「ふふ、もちろんですわ。さあこの不気味な現象の謎を皆で解き明かしましょう」


「はっ」


マーガレットが席を立つと二人は挨拶。
にっこり笑う彼女。そしてゆっくりと歩き部屋を後にした。


「マーガレット様は本当にお優しい」


「あ、ああ、そうだな……なんつーか、あの方の前だとどうも調子が狂うぜ…」


「あらそう?」


「どうもバイオ様と……」


エンデの知人ビギニングがその身をもって制御していた「ボーダーライン」
それを解除したことにより生命は本来の眠っていた能力を全て取り戻した。
アゲインの管理、ビギニングの抑制、それらを統括しコントロールするジエンド。
これらが一斉に崩壊したことで生命体はその反動により昏睡状態に。
そのような噂が奇病として一部広がっていた。


「ふむ、この病、原因は魔力とみるが…」


「大老、それを何故マーガレット様に…」


「マーガレットはもう気付いておるだろうよ。一番歯がゆいのはあやつじゃろ」


二人は執務室へ戻るとひと息つく。


「マーガレット様なら、自分で動き事態を解決させるかと…」


「じゃな、しかしあやつの魔力は消滅した。レフトやオメガ、それにフラットと……かつての実力者たちは揃って力を失ったようじゃ」


「それが……本来の姿、そういうことなのでは?」


「うむ」


執務室では真剣な議論が展開されている。


「魔法を使う者たちが昏睡状態になっている……ですから魔力が原因と?」


「そうじゃ。魔法は悪魔がもたらしたモノであり、もともとこの世界には存在しなかった力じゃ」


「エンデが把握できなかった……」


「うむ」


事実、エンデの知人、アゲインとまともに戦えたのは悪魔武器を持った三人だった。


 
「悪魔とて、この世界で人と接触し力を授けることになるとは思っても見なかったじゃろう」


「偶然が必然となり世界の運命が変わった…ということですかね」


「お前、さっきから哲学者みたいにわしの話を論じてよくまとめてとるな。前職は学者か?」


「いえ、ゼノンブール様の話は要点を的確に述べられれ分かりやすいので、まとめやすいのです」


両者は飲み物を手に取りひと息入れる。


「魔力の根元、つまり悪魔の正体を解明することがこの昏睡状態の解決に…」


考え込むゼノンブールとアロー。
そこへ一人の女性が突然入室してくる。


「むっ…あなたは…」


とっさに身構えるアロー。


「悪魔の正体ですか……」


「ホ、ホープ先生…」


「久しぶりですねゼノンブール様、私の出番とか思い参上しましたが……」


ゼノンブールとホープ。


「大老、このお方は?」


「ホープ先生はバイオを導いた方じゃ」


「ふ、今のあなたは大老ですか……」


「ええ、ですが肉体は老いても気持ちは当時のままですぞ」


「そのようで安心したわ」


握手し昔を懐かしむ二人。


「えっと……ホープ様…」


「ああ、失礼」


「うむ、すまん」


三人は椅子に座り対話を始める。


「ホープ様、失礼ですが……」


アローはホープを見つめ話す。


「ええ、あなたの思っていることで間違いないわよ」


「先生、今回の件、何かご存知でしょうか」


「なんというか……もう動いているのよ…その解決にむけて……確証がないからこういう言い方になってしまうのだけど…」


「動いて…いる?」


腕を組み考え込むアロー。


「うむ…」


「世界を統治する存在ってのは必要でしょう?たぶんそれがこの謎を解く鍵なのよ」


「世界の統治……それは…いったい?」


ゼノンブールは核心をホープに問う。


「これは私の推測だけど、それはこの大陸の意志というか……」


「えっ」


ホープは飲み物を手に取りゆっくりと話す。


「聞いてちょうだい、私たちはもともとこの大陸には存在しない種なのよ。その私たちがこの地に降りたことで…衝突やらあって……それが全ての始まりだったと思うのよね」


「……すみません、私には話が…みえない…」


アローはホープに伝える。
ゼノンブールはコーヒーを飲み一息入れる。


「そ、そうよね。えっと、分かりやすく伝えると…私たちは招かれざる客だった…というか…悪魔は……」


「先生…」


「ホープ様、私はそうは思わない」


「えっ…」


「悪魔のことはよく知りませんが、共存を望んだという事実は理解できます。この大陸へ来た経緯は侵略なのか分かりませんし、それを今ここで聞こうとも思いません」  


「うぅ~ん」


「私たちは昏睡状態の人たちを目覚めさせたい、それだけです。そしてホープ様はその方法を…」


アローは熱く語る。


「ずいぶん熱いハートを持っているのね、驚いたわ」


「アローはバイオに戻ってきてほしいのですじゃ」


「はい」


「……慕われているの?…彼女が…」


その時、外で爆発音が響く。


「なんだ?」


「外が騒がしいですね」



次回へ続く
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