[完結]おっさん、異世界でスローライフ はじめます3〜旅と鍋と猫耳と〜

桃源 華

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第5章:イベント三昧と氷の来訪者

第29話 新キャラ登場!氷の猫耳・ユエ

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迷宮を抜け、ようやく外に出た一行。

「はぁ~! やっと外の空気にゃ! 
新鮮でおいしいにゃ!」
「……お前、迷宮内でも普通に息して
ただろ」レオンが即ツッコミ。

すると、あたりの空気がひんやりし
始める。
「……寒っ!? なんで急に冷蔵庫
みたいに!」
「にゃ? わたしのせいじゃないにゃ!」ミュリが慌てて手を振る。

森の奥から、すらりとした影が歩い
てきた。
銀青色の髪、澄んだ瞳、そして
――氷のように白い猫耳。

「……旅人かしら?」
透き通る声の主が現れた瞬間、
草木に霜が降りた。

「ひゃあ! 冷たい!」ビビが
飛び上がる。
「やだ……氷属性来たわよ」
チャチャが眉をひそめる。

「わたしはユエ。氷を司る猫耳よ」
「ひ、氷の猫耳……!?」レオンが
思わず二度見した。

 🐈🐾 🐾 🐾

「ふふ……あなたたち、迷宮を抜けて
きたのね。強いのかしら?」
ユエがさらりと微笑むと、背後の木
がガチガチに凍った。

「うわぁぁぁ! 木がアイス
キャンディーにゃ!」ミュリが
しゃがみ込む。
「アイスキャンディーのサイズ
超えてるだろ!」レオンが慌てる。

「ねぇねぇ、氷って……溶けないの?」
ビビが興味津々で触ろうとして――
「さわっちゃダメ!」ユエの声と同時に、ビビの手元がキンッと凍った。

「わ、わぁぁ!? 手がつめたっ! 
氷の手袋になっちゃった!」
「……オシャレだけど命に関わるわね」
チャチャが冷静にコメント。

「ちょ、ちょっと! あんた加減って
もんを……!」レオンが叫ぶ。

 🐈🐾 🐾 🐾

「ごめんなさい。少し……不器用なの」
ユエが小さく頭を下げる。
「氷で不器用って、スケールが
致命的にゃ!」ミュリが叫ぶ。

「でも……あなたたちと一緒に旅が
したいの」ユエは静かに言う。
「えっ」
「えっ」
「えっ」

全員の声が揃った。

「な、なんで急に!?」レオンが
狼狽える。
「だって……迷宮の外で、みんなが
楽しそうにしてるのを見て……
羨ましかったの」
ユエの猫耳がぴく、と小さく揺れた。

「かわいい理由にゃ……!」ミュリが
即同情。
「いや! うっかり寝返りで村を
氷漬けにされたら困るからな!」
レオンが必死に拒否する。

 🐈🐾 🐾 🐾

「大丈夫。ちゃんと……鍋くらいなら
冷やせるわ」ユエが真剣な顔で言う。
「鍋を!? 逆だよ! 普通
あっためるんだよ!」レオンが総力で
ツッコむ。

「むしろ便利じゃない? 夏場に
最強よ」チャチャがニヤリ。
「確かに! 氷菓子食べ放題にゃ!」
ミュリも乗っかる。
「アイス! アイス! アイスー!」
ビビが騒ぎ出す。

「お前ら……完全に食欲で仲間に
入れる気だな!」レオンが頭を
抱える。

 🐈🐾 🐾 🐾

その時、ユエがふと目を細めた。
「でも……わたしといると、たぶん
大変よ。ほら」

パチン、と指を鳴らす。
一瞬でレオンの腰まで雪が積もった。

「ぎゃあああああ!!? 冷たっ! 
腰が、腰が死ぬぅぅ!」
「雪遊びにゃー!」ミュリとビビが
転げ回る。
「……子どもか」チャチャがため息。

「こ、これ以上は無理だ! 
胃と腰が凍死する!!」レオンが
絶叫した。

 🐈🐾 🐾 🐾

だがユエは真顔で、ぽつりと言った。
「……わたし、ずっと一人だったの。
だから……仲間になりたい」

静かな声に、一行の動きが止まった。
雪の中で、ユエの猫耳が小さく震え
ている。

「……仕方ないにゃ。仲間にしてあげる
にゃ!」ミュリが両手を広げた。
「えええ!? 早い! 決断早すぎ!」レオンが絶叫。
「でも……氷菓子は捨てがたいわね」
チャチャが頷く。
「冷蔵庫代わり!」ビビも大賛成。

「お前らあああああ!!!」

 🐈🐾 🐾 🐾

こうして――氷の猫耳、ユエが仲間に
加わった。
ただしこの後、野営の鍋がすべて
カチカチに凍りついたのは言うまで
もない。

「ほら……役に立ったでしょ?」
「違う! むしろ逆ぅぅぅ!!」

🐈🐾 🐾 🐾 🐈🐾 🐾 🐾
キャラ紹介は、目次≡の⬇️
📘特別編 ミュリの仲間たち
( 。・ω・。)ノ 凸ポチッ
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