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21.謎のスポンサー

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百瀬から渋谷と婚約
の話を聞いた代表は、
嬉しいけど、寂しい
気持ちらしい。

杉下とは、お互いに
あの夜から
仕事話以外の話題を
しなくなった。

(代表の執務室)

「急に呼び出して
すまない。

麗美ちゃん。

以前に新規事業の
アイデア募集て
全社員に提案して
もらったの覚えてる」

「なんとなく、
記憶あります。」

「麗美ちゃんが
その時に提案した。

バイオミクスが
新規事業として
始動してるんだよ。」

「ありがとうございます。
嬉しいです。」

「でも、研究開発費が
当初の見込みより
予算オーバーしちゃてね」

「そうですか。
スポンサーを探して
みてはいかがでしょうか」

「今、見込みがありそう
な所に営業してる最中
なんだ」

「私から百瀬様にも
協力をお願いして
みましょうか」

「出来れば、百瀬様にも
お願い出来れば助かるよ」

数日後、
出資に関する詳しい話が
聞きたい知人が
居るのでと百瀬から
代表に連絡があった。

百瀬の知人は、
今回は、プライベートな
投資になるので
滞在ホテルでの
話を聞きたいとの
要望だった。

指定された日時に
代表に杉下と一緒に
同行して、
ホテルの部屋を訪れると

(スイートルーム)

出迎えてくれた
出資者の執事に
リビングに案内されて、
淹れたてのコーヒー
を給仕してくれた。

しばらくすると
執事からメモを
渡された。

「鈴木さん、この部屋
めちゃくちゃ広く
ないですか」

はしゃぐ杉下

「そうだね!ゴウジャス
て感じ……」

「代表なんて書いて
ありました。」

「杉下さん、目の前の
リモコンを渡して
ください。」

いつもになく、代表が
丁寧な口調で、杉下に
指示を出す。

リモコンを操作すると
天井から
巨大なスクリーンが……

執事がスクリーン起動
と同時に部屋に現れ
スクリーンに投写を開始した。

代表と私は……
悲鳴に近い声を上げて
しまった。

「どうしたんですか。」

「ごめん!杉下さん……」

写し出された人物は、
JアルファCEOだった。

ネット回線でのLIVE
映像で、やはり
セキュリティ問題で
日本に来れなくなった
謝罪から始まり、
事業内容に賛同したので
私財での投資をする
つもりがあると英語で
スピーチをCEOが
し終え映像は、消えて
暗くなった部屋の明かりも
普通に戻った。

映画上映が終わったみいな
静けさの中に、執事に
案内されて日本人の男性が
部屋に入って来た。

「お疲れ様でございました。
私、今回の出資に関する
CEO代理人の
顧問弁護士です。……」

自己紹介の後、
再びネット回線で
CEOが登場して、
契約について話し合い
がされた。

私は、主に書記を務め
通訳は、杉下さんに
お願いした。

私の中では、
CEOが元婚約者の
JUNに思えるから、
通訳でも直接会話は
避けたかった。
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