不吉な双子と呼ばれた妹ですが、巫女になって兄をざまぁします〜迷信を打ち破ったら、なぜか溺愛されました〜

桃源 華

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第3章 妹のざまぁ戦術

第24話 家臣の裏切り

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領主館の重厚な扉が閉じられた広間。
祭での失態から数日が経ち、アルト
リウスは苛立ちを隠さず玉座に座って
いた。

「……民どもが私を笑っただと? 
すべて奴らのせいだ……いや、あの女
のせいだ!」

怒鳴り散らす声に、居並ぶ家臣たち
は顔を伏せる。
だがその沈黙の裏には、もう隠し
きれない疲弊と苛立ちが漂っていた。

「領税はさらに上げる。反抗する者は
捕らえ、見せしめに処刑せよ!」
拳で肘掛けを叩くアルトリウス。

その瞬間、重臣エルドランが一歩前
に進み出た。
長年仕えてきた忠臣――しかし、
瞳の奥に宿る光は冷ややかだった。

「……領主様。もはや領民は限界で
ございます」

「黙れ! 私の命令に逆らうのか!」

「逆らうのではなく……止めている
のです」
エルドランの声は低く響く。
「祭のざわめき、領民の怒声……
我ら家臣の耳にも届いております。
領主様が民を顧みぬなら、この領
は滅びましょう」

広間に重苦しい沈黙が走る。
他の家臣たちが顔を上げ、次々に
頷いた。

「……領民の側に立つべき時だ」
「神殿の巫女様は、すでに人々の信
を得ている」
「領主様、我らは……」

その言葉に、アルトリウスは血相
を変えた。

「裏切るのか!? この私を、主君
を――!」

だが誰一人、彼の叫びに応じない。
広間を支配するのは、冷え切った
沈黙だけだった。

やがて、エルドランが短く告げる。

「我らは神殿に協力します。領民の
ために」

その宣言は、長年の忠誠を捨て去る
刃のようだった。

 ☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

扉の外、廊下の影に身を潜めていた
エリナは、その一部始終を耳にしていた。
兄が孤立し、家臣にまで背を向け
られる瞬間を――。

(……これで、兄様はもう一人きり。
自ら築いた孤独に沈むだけ……)

妹の胸に去来するのは、
冷酷な決意と……わずかな痛みだった。

♊️キャラクター紹介♥:.。
≡目次からどうぞ🗝
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