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20. ニアリー・シンメトリー・ハート
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梓はこてんと寝てしまったが、寝る前のひと言が遥二の気持ちを昂らせて眠れない。
「明日朝、起きたら、シよ?」
おれの恋人は、おれが思ってる以上に積極的で大胆だ。どうしよう。こんなラッキーでいいんだろうか……。
「……ねえ、遥二」
肩を揺すられて目が覚めた。
「う……おはよ」
「朝ごはん買いに行きたい。鍵貸して」
梓がお腹をすかせている! その情報で遥二の脳は覚醒した。
「あ、ごめん、何時?」
「9時過ぎ」
「あー……。何時に起きたの?」
「8時。お腹すいちゃった」
「そういうときは1時間待たずに起こしてー!?」
「そっか。分かった」
梓はふわっと笑った。朝からかわいい。
それから遥二の腰に腕を回して顔を肩にうずめた。これは絶対に顔を見られないぞという構えだ。
「ね、でも、家に食べるものがあるなら軽く食べて……する?」
梓は恥ずかしそうに誘った。
おれの恋人は大胆なんだかシャイなんだか分からない。かわいい。
8枚切りの食パンをトーストして食べて、歯を磨いて、着々と近づいてくる甘い行為に2人はそわそわして顔を合わせない。
なぜかベッドに体育座りで待機する梓がかわいくて、遥二は全身で覆い被さった。
けらけら笑ってからじゃれるようなキスを。それからゆったりと、愛を確かめ合うキスを。
「よーじ、ゆび」
「指?」
手を差し出すと、待ちきれないようにぱくりとくわえて舌ですみずみまでたどる。
この行為は2回目だけれど、もう遥二はクセになりそうで焦っている。指を舐められてくらくらするほど興奮するなんて、思ってもみなかったから。
「交代しよ」
名残惜しそうに梓が口を離す。梓がよく分からない表情で右手を差し出すのを遮る。
「そっちじゃなくて。脚開いて」
一瞬考えて意味を理解した梓は、恥ずかしさと期待でぽうっと頬を染めた。遥二がパジャマのズボンと下着をまとめて脱がせる。梓は腰を浮かせて、素直に脱がされる。
梓のまだ柔らかいものに手を触れると、どんどん硬さを増してゆく。梓は必死に声をこらえてシーツを握りしめる。
上目遣いで見せつけて舐めようと思ったのに、梓は目をぎゅっとつむってそれどころではない様子だ。
舌を上から下まで這わせると、梓の弱いところはすぐに分かってしまった。
「あぁっそこだめっ!!」
「だめなの? もうやめる?」
「もう交代!」
「交代はないよ」
また口に含む。反応して漏れる甘い吐息が愛しくて仕方ない。
とろけるような恋人同士の時間を過ごした。甘い愛の言葉を交わした。
梓はカーテンを少しだけ開けて「雨だよ」と言う。その裸の背中に遥二が抱きついて、梓の肩に顔を乗せる。
「ほんとだ」
小雨だった。遥二は雨よりも恋人の首筋を嗅ぐことに興味があった。すんすんと鼻をうずめて嗅ぐ。梓が身をよじり、「ちょっと」と軽く抗議する。
「跡つけていい?」
「えっ!? 見えないとこにして」
「こことか」
浮き上がった肩甲骨に唇をつける。
「ひゃっ! くすぐったい」
「ここでいい?」
「いいけど……」
遥二は独占欲に突き動かされるままに、じゅうっと皮膚を吸い上げた。赤い印がぽつんとついて、満足で頬を緩める。
このままもう一回戦……。
ぐぅ。
梓のお腹が鳴った。二人で笑う。トースト一枚じゃ少なかったな。
「近くのスーパーのクリームコロッケがうまいんだけど。買ってこようか?」
「一緒に行きたい」
大好きな人とスーパーへデート。嬉しくないわけがなく、遥二は笑顔を隠しきれずに了承した。
「あ、傘。返すよ」
玄関で傘を渡された梓は、ハッと目を見開いてくしゃりと笑った。
「え、どうしたの?」
「思ったよりずっと早く返してもらえたなって」
「確かに」
噛み締めるように遥二は返事をした。あのときの約束は「いつか」「また」「何年後でも」だったのに。2人の運命はくるくると回って、こんなに早く好きな人と恋人になれた。
「相合傘しよ」
恋人らしいことがしたくて、遥二は少し甘えてみる。小降りだし。
「うん」
梓がはにかむ。もしかして、同じことを思っていたのかもしれない。
幸福だ。
「おれが持つよ」
「うん。遥二は背が高いねえ。かっこいい」
謙遜を許さない、まっすぐな褒め言葉と輝く瞳だった。遥二は照れて笑う。
「遥二、ちゃんと傘に入ってるの? もっとそっちに傾けて」
「いやいや。小降りだし」
「こういうときは平等でなくちゃ……」
「相合傘で平等は難しい」
「うーん」
梓は遥二の腕を引き寄せて、よりぴったりと身体を密着させた。
「これでどう? 入れた?」
「だいたいオッケー」
「ならよし」
肩を寄せ合う遥二と梓は、外から見たら全然似ていなくて、傘だって本当は梓の方に少し傾いていて、遥二の肩の方が濡れている。
でも、二人の長い「これから」のうちのほんの些細なアンバランスなのだ。
——その「これから」が、できるだけ長くありますように。
遥二は傘の中で、頬を梓の頬にすり寄せた。
「わ! なにー!?」
「なんでもない」
「明日朝、起きたら、シよ?」
おれの恋人は、おれが思ってる以上に積極的で大胆だ。どうしよう。こんなラッキーでいいんだろうか……。
「……ねえ、遥二」
肩を揺すられて目が覚めた。
「う……おはよ」
「朝ごはん買いに行きたい。鍵貸して」
梓がお腹をすかせている! その情報で遥二の脳は覚醒した。
「あ、ごめん、何時?」
「9時過ぎ」
「あー……。何時に起きたの?」
「8時。お腹すいちゃった」
「そういうときは1時間待たずに起こしてー!?」
「そっか。分かった」
梓はふわっと笑った。朝からかわいい。
それから遥二の腰に腕を回して顔を肩にうずめた。これは絶対に顔を見られないぞという構えだ。
「ね、でも、家に食べるものがあるなら軽く食べて……する?」
梓は恥ずかしそうに誘った。
おれの恋人は大胆なんだかシャイなんだか分からない。かわいい。
8枚切りの食パンをトーストして食べて、歯を磨いて、着々と近づいてくる甘い行為に2人はそわそわして顔を合わせない。
なぜかベッドに体育座りで待機する梓がかわいくて、遥二は全身で覆い被さった。
けらけら笑ってからじゃれるようなキスを。それからゆったりと、愛を確かめ合うキスを。
「よーじ、ゆび」
「指?」
手を差し出すと、待ちきれないようにぱくりとくわえて舌ですみずみまでたどる。
この行為は2回目だけれど、もう遥二はクセになりそうで焦っている。指を舐められてくらくらするほど興奮するなんて、思ってもみなかったから。
「交代しよ」
名残惜しそうに梓が口を離す。梓がよく分からない表情で右手を差し出すのを遮る。
「そっちじゃなくて。脚開いて」
一瞬考えて意味を理解した梓は、恥ずかしさと期待でぽうっと頬を染めた。遥二がパジャマのズボンと下着をまとめて脱がせる。梓は腰を浮かせて、素直に脱がされる。
梓のまだ柔らかいものに手を触れると、どんどん硬さを増してゆく。梓は必死に声をこらえてシーツを握りしめる。
上目遣いで見せつけて舐めようと思ったのに、梓は目をぎゅっとつむってそれどころではない様子だ。
舌を上から下まで這わせると、梓の弱いところはすぐに分かってしまった。
「あぁっそこだめっ!!」
「だめなの? もうやめる?」
「もう交代!」
「交代はないよ」
また口に含む。反応して漏れる甘い吐息が愛しくて仕方ない。
とろけるような恋人同士の時間を過ごした。甘い愛の言葉を交わした。
梓はカーテンを少しだけ開けて「雨だよ」と言う。その裸の背中に遥二が抱きついて、梓の肩に顔を乗せる。
「ほんとだ」
小雨だった。遥二は雨よりも恋人の首筋を嗅ぐことに興味があった。すんすんと鼻をうずめて嗅ぐ。梓が身をよじり、「ちょっと」と軽く抗議する。
「跡つけていい?」
「えっ!? 見えないとこにして」
「こことか」
浮き上がった肩甲骨に唇をつける。
「ひゃっ! くすぐったい」
「ここでいい?」
「いいけど……」
遥二は独占欲に突き動かされるままに、じゅうっと皮膚を吸い上げた。赤い印がぽつんとついて、満足で頬を緩める。
このままもう一回戦……。
ぐぅ。
梓のお腹が鳴った。二人で笑う。トースト一枚じゃ少なかったな。
「近くのスーパーのクリームコロッケがうまいんだけど。買ってこようか?」
「一緒に行きたい」
大好きな人とスーパーへデート。嬉しくないわけがなく、遥二は笑顔を隠しきれずに了承した。
「あ、傘。返すよ」
玄関で傘を渡された梓は、ハッと目を見開いてくしゃりと笑った。
「え、どうしたの?」
「思ったよりずっと早く返してもらえたなって」
「確かに」
噛み締めるように遥二は返事をした。あのときの約束は「いつか」「また」「何年後でも」だったのに。2人の運命はくるくると回って、こんなに早く好きな人と恋人になれた。
「相合傘しよ」
恋人らしいことがしたくて、遥二は少し甘えてみる。小降りだし。
「うん」
梓がはにかむ。もしかして、同じことを思っていたのかもしれない。
幸福だ。
「おれが持つよ」
「うん。遥二は背が高いねえ。かっこいい」
謙遜を許さない、まっすぐな褒め言葉と輝く瞳だった。遥二は照れて笑う。
「遥二、ちゃんと傘に入ってるの? もっとそっちに傾けて」
「いやいや。小降りだし」
「こういうときは平等でなくちゃ……」
「相合傘で平等は難しい」
「うーん」
梓は遥二の腕を引き寄せて、よりぴったりと身体を密着させた。
「これでどう? 入れた?」
「だいたいオッケー」
「ならよし」
肩を寄せ合う遥二と梓は、外から見たら全然似ていなくて、傘だって本当は梓の方に少し傾いていて、遥二の肩の方が濡れている。
でも、二人の長い「これから」のうちのほんの些細なアンバランスなのだ。
——その「これから」が、できるだけ長くありますように。
遥二は傘の中で、頬を梓の頬にすり寄せた。
「わ! なにー!?」
「なんでもない」
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