28 / 41
二章『シエルの居場所』
夏の章 はじめての報酬
しおりを挟む
「一匹! ソッチ行ッたぞ!」
「ええ!」
地を駆ける足音。
背高な木と、豊かな草花の生い茂る高原地。
「――はぁっ!」
怒声の先で、レイピアの刺突音が響いた。薄紅の髪がふわり宙を躍動する。
「ピェ――!!」
「仕留めた! 二羽目!!」
少女の真白な額から雫が滴る。
ドスン、と音を立てて倒れたものを、少年・シエルが見つめた。まるまると肥えた体。黒い、つぶらな瞳が徐々に開き――ギラリと輝いた。
「ピェエ!!」
叫び声と同時に、俊敏な蹴りが放たれる。
「いやぁ!! ごめんなさい、やってない!」
メアリが咄嗟の防御に使った細剣を振り直すより早く。それは鳥脚を踏ん張って、再び走り出していた。
「追いかけて!!」
馬車顔負けのスピードで逃げる、丸い胴体で首だけ長いやつ。
シエルは度肝を抜いた。
「うわあっ!! なにこいつ速っ!」
「トリだっつッてんだろ!」
「鳥って……」
大量発生の依頼文句通り、高原地帯一帯、この鳥しか見当たらない。
まるまるとしたフォルムの胴体。見上げた細長い首の先、長いピンクのくちばしからよだれが垂れている。
そう。やつらはシエルたちより余程、背が高い。
「普通の鳥は、こんなデカくないです!」
「フツーのトリなら依頼こねーンだよ」
「ライチョウ。大型の鳥類だが脚力に優れ、あらゆるものを蹴り殺す。獰猛種だ」
先輩と幹部の男の説明に、少年少女は心の中で同時につぶやいた。
(……それは、聞いてない!!)
心の叫びと言ったほうが正しいか。翡翠の長剣を握りしめながら、年若いシエルは苦言を呈する。
「そういうのは、依頼文に書いておいてくださいよ……! 『五羽狩って』じゃ、分かんないです……!」
「そうは言われてもな。今から覚えておけ」
白髪の男が、ため息をつく。
「シエル!」
メアリの警告の声。
ピエッと叫びつつ、ライチョウの一羽が猛スピードで少年に突進してくる。彼女の掛け声の直後、爆発音が高原に響いた。
「フッ!」
ファクターの投げた発火爆薬が二発、ライチョウに見事に命中した。並走していたロネが双剣を構えたまま、幹部に向かって大声で怒鳴った。
「オイクソジジィ! 老い先短けェくせに、調子こいてンじゃねェぞ!」
「おーおーよく吠えるな! ケツの青い泣き虫小僧が」
「アァッ!?」
「だから、なんでケンカを!?」
いつの日かも見た口喧嘩である。なにも戦闘中で! と突っ込んでいる眼鏡の少年を尻目に、戦況は刻一刻と進んでいる。
ライチョウは日々増える数こそ少ないが、群れを形成すれば、人を襲うことで知られる危険生物だ。それを知る結社の面々は、対象に向かって武器を構えた。
「クソガキどものカバーだ! しくじるなよ!!」
「当然! 皆、迎撃準備! 来るぞ!!」
「――えぇ!」「はいっ!」
普段は無口なファクターの号令で、少年少女たちは一気に緊張し、得物を握り直す。
瞬間。
『ピギェア――!!』
集団で囲ってきた鳥がダッシュで跳躍し、丸々とした巨体が空を舞う。蹴りの予備動作を見せた害鳥に、渾身の剣閃が迸る。
「オラァッ!」
「はぁっ……!」
「やぁっ――!」
鈍色の双剣、翡翠の長い軌跡、銀の閃光。
背後で弾ける、炎。
ほぼ同時に、複数体のライチョウが倒れた。
続け様、先頭の人影だけが、連続斬りに動きを切り替える。結社の先輩・ロネは、メアリが取り逃して逃げた一羽を、見事に狩り捕えていた。彼はそのまま振り向き、戦った後輩たちを讃えた。
「中々やるじゃねェか」
「……そっちこそ」
流石ねと、メアリは微笑んだ。彼の実力は目を見張るものがある。
現場には五羽のライチョウが倒れた。攻撃的な群れは、散ったようである。
「オイ、包んで持って帰ンぞ」
灰色髪の青年が声を上げる。
「うそっ! こんな大きい鳥を!?」
どうするの? と口元を覆うメアリを尻目に、ロネはファクターを見やった。
「決まってンだろ、なァ」
「ああ。行きつけの酒場に引き渡す」
男たちがニヤリと笑う。ゼエゼエと肩で息をしていた少年はバッと顔を上げて、無垢な瞳を輝かせた。
「食べられるんですか! この鳥!」
「美味いぞ」
「おおお!」
「シエル……、嬉しそうね」
釣られてメアリの口元から笑みが溢れる。――私の弟は、おいしいものに目がないのである。
「よっし! 帰ろうぜ!」
先輩の号令を受けて、結社一行は荷馬車にて首都への帰路についた。
◆
結社、二階。広めの事務室内にて。
月末に呼び出された新人ふたりの前に、他ならぬ、結社のボスが立っていた。存在感のある紺のロングコートが揺れる。
黒髪赤目の彼女は、にっこり笑みを讃え、あるものを差し出した。
「ふたりとも! 今日は渡すものがあるよ♪」
「ボ、ボス。これは……」
赤茶色の封筒。その細長さと、ずっしりとくる重み。
触れただけで分かる。これは、紙幣の束だ。
「依頼の報酬だ。受け取れ」
「ありがとうございます!」
メアリが深く頭を下げる。
「あと、研修がんばったご褒美もまとめて、ね♪」
新人たちにボスがウィンクしてみせる。頑張りを認めてもらった証拠のようで、なんだか誇らしい。ふたりが重ねて礼を言うと、結社のボスは、笑顔で何度も頷いた。
ボスたちがギルド長室に戻って行ったあと、長机の隅で少年は呻いていた。
「うぉぉ……」
封筒の厚み。以前受け取った初期費用より、多く感じるのは、気のせいではないのだろう。恐る恐る封を切ろうとしたのを、細い指が咎めた。
「結社で開けるものじゃないでしょ? シエル」
メアリの手である。少年は焦って言葉をこぼした。
「あっ、そっか。でもさ、実感湧かなくて……。僕、こんな、ちゃんとお金もらったの、はじめてだし」
「んー。それもそうか……」
〈結社〉に迎え入れてもらった際。祝いと言ってボスに大金を手渡されたときは、メアリもシエルも驚いたものだが、あっという間に新生活の予算としてそれは消えていった。
首都ズネアータでの生活は、村出身の少年少女には想像もつかない程に、お金がかかった。つきに一度徴収される国税。何気ない治療費、家賃、食費に雑費――。裏を返せば、共和国の首都はそれだけ交易が豊かで、便利なモノで溢れかえっているのだ。
今回こそは、自分の手で稼いだ『はじめての報酬』と言える。
メアリは閃いた。
「じゃあ、明日、お買い物に行きましょうよ!」
「買い物に?」
首を傾げるシエルに向かって、ずいっと肩を寄せて、指を立てた。
「確か、お休みだったでしょ。街で色んなものを見て、好きなもの買ったら、きっと楽しいと思うわ」
「……なるほど!」
シエルの実家にはまともな小遣い制度がなかった。多分、彼にはまだ、適切なお金の使い方がわからないのだろう。
そう考えたメアリの誘いを受け、シエルは目を丸くして笑った。
「いいね!」「でしょー?」
ふたりは笑顔で顔を見合わせた。
「ン、買いモン行くんか」
事務室に居合わせた灰髪の青年が、声を掛ける。
「よかったら、ロネ先輩も行きましょうよ!」
「オレもか?」
「もちろん。私たちの見張り役なんでしょ?」
「見張ってはねェけど……」
少年少女の言葉に、彼はどことなく意味ありげに首を振った。
さらに、帽子の少女・カレサも、事務カウンターの奥からひょっこりと顔を出す。
「ちょー! なにイイ話してんのー!?」
「えっと、街に買い物に……」
「アタシも行く~!」
バンザイで参加表明した少女に、メアリは首肯した。
「もちろんよ! 出発時間は……そうね、〈十の鐘〉のときでいいかしら?」
「う、うん」「いいぜ」
あれよあれよという間に、休日の予定が決まっていく。
「集合は? 結社前?」
「いンや。オレが順番に迎え行く。最近、治安悪ィからな」
「オッケー!」
「じゃあ、明日の朝ね」
また明日!
彼らは手を振って、その場を解散した。
――……
――――……
朝、起きて。顔を洗って、襟付きの白いワンピースを着て。
メアリはいつもように髪を編み、簪《かんざし》二本でくるりとまとめる。このお団子ハーフアップは、可愛くて動きやすくて、お気に入りの髪型だ。
リップをひいて、家を出る。
アパートの軒下では、すでに見知った顔ぶれが、彼女の到着を待っていた。
「オッハヨー!」
「おはよう……ございます?」
「ふふ。おはよう、みんな!」
大きく両手を振ったカレサの後ろ。ロネは、挨拶代わりに軽く手を挙げる。彼は、私服の赤いシャツを着ていた。
「あら! ロネさん、オシャレ!」
「あんたもな。……それか、このチビに言ッてやれ」
青年の言葉に彼の右下を見ると、ボブヘアの少女は、オレンジのチュニックに黒のレギンスを着込んでいる。
「カレサちゃんも、今日は大人っぽいわね!」
「へへ! でも、メアリには勝てないなぁ~!」
ちいさな少女もはにかむように笑う。
カレサの後ろで、弟・シエルが半分隠れて立っている。上下真っ黒の質素な服に、ジッパーのワンポイント。背高い少年を見上げながら、カレサは肩をすくめる。
「でもさ、シエルはいつもと同じ~」
「あはは……」
「まあ、シエルだからねぇ」
シエルは昔から服を選ぶのが苦手だった。〈結社〉の制服を選ぶときだって、変なデザインのものを選びかけたほどだ。それもまた、素朴な弟らしいと思う。
首都の雑踏の片隅で、メアリは指を組んで、言った。
「さっそくお買い物ね! 行きたいところとか、ある?」
「そーだな。とりあえず、パーッとカジノとか……」
ロネの提案に、メアリは焦りに頬を真っ赤に染めて止めた。
「だ、だめっ!」
「即答かよ」
弟が賭博に目覚めても困る。メアリは姉として、ロネの趣味をシエルに教えるのだけは、断固阻止せねばならなかった。
「ロネはいっつもリル溶かしてるからな~」
ボブヘアの後ろで腕を組みつつ、からかうように言ったカレサを、ロネが即時で制する。
「チビは黙ッてろ」
女の子は一度、ぶー、という視線で青年を刺して。
それから、パッと明るく笑ってみんなを振り返った。
「なぁなぁ! じゃあ、『雑貨屋』はどうっ? 見てて楽しいモノがいーっぱいあるんだぜ!」
――雑貨屋。
地元民であるカレサの案内で辿り着いたのは、黄色い外装の、ファンシーなお店だった。
ベルを鳴らして中に入ると、店内はこれまた色とりどりの商品に彩られていた。カラフルなお皿。ティーポット。小ぶりな観葉植物、ぬいぐるみまでもが綺麗に飾ってある。
「素敵!」
メアリは目を輝かせた。店内は広くないけれど、夢のような場所だった。
しばらく巡ってもまるで飽きがこない。
そんな中からシエルが見つけたのは、一枚のハンカチだった。
「ウシ……!」
肌触りのよさそうな滑らかなハンカチの角には、横向きの牛の刺繍があしらわれている。
「ウシさんがどうかしたの? シエル」
「僕、ウシに憧れてるんです」
横から、カレサが首を傾げた。
「……なんで?」
「だって、食べても美味しいし、でっかいし、ミルクも生み出せるし……」
すごくないですか? とごく真顔で言った少年に、カレサも真顔で返した。
「よくわかんないけど、ウシ好きなんだねってことは分かった」
「コイツ気がきかねェンだよな」
「それ、ロネが言う?」
「オイ、どーいうイミだよ」
突っかかりかけた青年に、メアリがくすっと笑って肩をすくめる。
「ふたりとも、正直者のかわいい男の子だって意味よ。ね、カレサちゃん!」
「ねーっ!」
元気な返事に笑みを浮かべたが、しかし、男子たちの反応は違っていた。
「男にカワイイだの言うな」
「ほんとだよ……」
珍しく、シエルとロネの意見が合致した。かわいい、というのは万能の褒め言葉だと思っていたが、どうやら違うらしい。メアリはなんだかおかしくなって、思わず吹き出した。
「やっぱり、かわいい!」
――またちょっぴり怒られたのは、言うまでもない。
紙袋を抱えて店を出て、シエル一行は首都の大通りに足音を響かせる。
治安の悪いズネアータといえど、夏の陽光の真下では、街は平和そのものだ。
「ンで。次はドコ行くよ」
あくびを噛み殺しながらロネが問えば、シエルが一歩分前に出た。
「……僕、パン屋さんに行きたいです!」
「パン屋、だァ?」
「ドコのー?」
視線が集まる。茶色い天然パーマを風に揺らしながら、少年は続ける。
「ほら。あの、大きな宿屋の隣にある……」
メアリはピンときた。
「それなら、私も覚えてるわ! こっちよ!」
街角の路地。
レンガの上で腰を下ろしたちいさな少女が、ねじれたパンにかぶりつく。
「おいし~!」
出店で買ったパンを、みんなで並んで食べる。
柔らかなそれを齧りつつ、青年も頷いた。
「最近、有名なんだよな。ココ」
「そうなの? ほんとにおいしいわよね!」
少年も何度も嬉しそうに頷く。
「僕、このパン、大好きなんです! 甘くて、柔らかくて……。初めて食べた日は、そりゃもう感動しちゃって……」
語り始めた少年の横顔。
横一列に並んで座った一行の中で、シエルの言葉の真意を、メアリだけが知っていた。
故郷のガルニア帝国では、固い黒パンが主流であったこと。〈結社〉を訪れる前日に、路地の小さなパン屋さんで一緒にパンを買ったこと。新生活の不安と希望に揺れていたあの日、この柔らかなパンは私たちの心まであたためてくれたのだ。
彼女はしみじみと口にした。
「思えば、シエルが『このお店に行きたい』なんて言ったのも、はじめてよね」
「そう、かな……そうだったかも……」
「帝国には都に行かなきゃ、こんな商店街なかったもんね」
「うん。僕、もっと……いろんな場所に行ってみたいな」
呟いて、少年は眼鏡の奥の瞳を何度か瞬かせた。シエルの澄み切った瞳が、ひときわ光を帯びた。
「この世界には、どんな本にも載ってないものが……まだまだたくさんあるんだ!」
「そうね」
メアリは長いまつ毛を伏せた。
シエルは、この週明けに成人を迎える。少年は今確かに、大人になろうとしている――けれど、今はもう少しだけ、子どもで居させてあげて欲しい。
メアリは切にそう思う。ときは戻せないから。十代の季節は、あっという間に、過ぎ去ってしまうから。
「私も、一緒に見てみたいわ」
柔らかに微笑む少女は、強く想う――もう居ない父のぶんまで、シエルの家族であろうと。天涯孤独の者同士、唯一無二の家族として。
その言葉を聞き、カレサが彼女の袖をくいっと引っ張った。
「なになに、ナイショ話? 仲間はずれはヤダよ!」
「そーだ! ガキだけじゃどーにもならねェだろ。混ぜろっての」
「え、いや、ナイショってワケじゃ……あいたたた」
ロネに肩を組まれ、シエルがうめいた。
みんなの笑い声が溢れる。胸の奥が、じんわりとあたたかい。――〈結社〉は、彼らを決して孤独にはしなかった。
すっかりパンを食べ終わり、メアリは立ち上がった。
「次は、どこ行く?」
風になびくの薄紅の髪。
服屋さんなんていいかもね、と彼女が言えば、次々と賛同の声が上がる。
ズネアータに降りそそぐ夏の陽射しが、若者たちの行く先を照らしていた。
夏の章 はじめての報酬 完
「ええ!」
地を駆ける足音。
背高な木と、豊かな草花の生い茂る高原地。
「――はぁっ!」
怒声の先で、レイピアの刺突音が響いた。薄紅の髪がふわり宙を躍動する。
「ピェ――!!」
「仕留めた! 二羽目!!」
少女の真白な額から雫が滴る。
ドスン、と音を立てて倒れたものを、少年・シエルが見つめた。まるまると肥えた体。黒い、つぶらな瞳が徐々に開き――ギラリと輝いた。
「ピェエ!!」
叫び声と同時に、俊敏な蹴りが放たれる。
「いやぁ!! ごめんなさい、やってない!」
メアリが咄嗟の防御に使った細剣を振り直すより早く。それは鳥脚を踏ん張って、再び走り出していた。
「追いかけて!!」
馬車顔負けのスピードで逃げる、丸い胴体で首だけ長いやつ。
シエルは度肝を抜いた。
「うわあっ!! なにこいつ速っ!」
「トリだっつッてんだろ!」
「鳥って……」
大量発生の依頼文句通り、高原地帯一帯、この鳥しか見当たらない。
まるまるとしたフォルムの胴体。見上げた細長い首の先、長いピンクのくちばしからよだれが垂れている。
そう。やつらはシエルたちより余程、背が高い。
「普通の鳥は、こんなデカくないです!」
「フツーのトリなら依頼こねーンだよ」
「ライチョウ。大型の鳥類だが脚力に優れ、あらゆるものを蹴り殺す。獰猛種だ」
先輩と幹部の男の説明に、少年少女は心の中で同時につぶやいた。
(……それは、聞いてない!!)
心の叫びと言ったほうが正しいか。翡翠の長剣を握りしめながら、年若いシエルは苦言を呈する。
「そういうのは、依頼文に書いておいてくださいよ……! 『五羽狩って』じゃ、分かんないです……!」
「そうは言われてもな。今から覚えておけ」
白髪の男が、ため息をつく。
「シエル!」
メアリの警告の声。
ピエッと叫びつつ、ライチョウの一羽が猛スピードで少年に突進してくる。彼女の掛け声の直後、爆発音が高原に響いた。
「フッ!」
ファクターの投げた発火爆薬が二発、ライチョウに見事に命中した。並走していたロネが双剣を構えたまま、幹部に向かって大声で怒鳴った。
「オイクソジジィ! 老い先短けェくせに、調子こいてンじゃねェぞ!」
「おーおーよく吠えるな! ケツの青い泣き虫小僧が」
「アァッ!?」
「だから、なんでケンカを!?」
いつの日かも見た口喧嘩である。なにも戦闘中で! と突っ込んでいる眼鏡の少年を尻目に、戦況は刻一刻と進んでいる。
ライチョウは日々増える数こそ少ないが、群れを形成すれば、人を襲うことで知られる危険生物だ。それを知る結社の面々は、対象に向かって武器を構えた。
「クソガキどものカバーだ! しくじるなよ!!」
「当然! 皆、迎撃準備! 来るぞ!!」
「――えぇ!」「はいっ!」
普段は無口なファクターの号令で、少年少女たちは一気に緊張し、得物を握り直す。
瞬間。
『ピギェア――!!』
集団で囲ってきた鳥がダッシュで跳躍し、丸々とした巨体が空を舞う。蹴りの予備動作を見せた害鳥に、渾身の剣閃が迸る。
「オラァッ!」
「はぁっ……!」
「やぁっ――!」
鈍色の双剣、翡翠の長い軌跡、銀の閃光。
背後で弾ける、炎。
ほぼ同時に、複数体のライチョウが倒れた。
続け様、先頭の人影だけが、連続斬りに動きを切り替える。結社の先輩・ロネは、メアリが取り逃して逃げた一羽を、見事に狩り捕えていた。彼はそのまま振り向き、戦った後輩たちを讃えた。
「中々やるじゃねェか」
「……そっちこそ」
流石ねと、メアリは微笑んだ。彼の実力は目を見張るものがある。
現場には五羽のライチョウが倒れた。攻撃的な群れは、散ったようである。
「オイ、包んで持って帰ンぞ」
灰色髪の青年が声を上げる。
「うそっ! こんな大きい鳥を!?」
どうするの? と口元を覆うメアリを尻目に、ロネはファクターを見やった。
「決まってンだろ、なァ」
「ああ。行きつけの酒場に引き渡す」
男たちがニヤリと笑う。ゼエゼエと肩で息をしていた少年はバッと顔を上げて、無垢な瞳を輝かせた。
「食べられるんですか! この鳥!」
「美味いぞ」
「おおお!」
「シエル……、嬉しそうね」
釣られてメアリの口元から笑みが溢れる。――私の弟は、おいしいものに目がないのである。
「よっし! 帰ろうぜ!」
先輩の号令を受けて、結社一行は荷馬車にて首都への帰路についた。
◆
結社、二階。広めの事務室内にて。
月末に呼び出された新人ふたりの前に、他ならぬ、結社のボスが立っていた。存在感のある紺のロングコートが揺れる。
黒髪赤目の彼女は、にっこり笑みを讃え、あるものを差し出した。
「ふたりとも! 今日は渡すものがあるよ♪」
「ボ、ボス。これは……」
赤茶色の封筒。その細長さと、ずっしりとくる重み。
触れただけで分かる。これは、紙幣の束だ。
「依頼の報酬だ。受け取れ」
「ありがとうございます!」
メアリが深く頭を下げる。
「あと、研修がんばったご褒美もまとめて、ね♪」
新人たちにボスがウィンクしてみせる。頑張りを認めてもらった証拠のようで、なんだか誇らしい。ふたりが重ねて礼を言うと、結社のボスは、笑顔で何度も頷いた。
ボスたちがギルド長室に戻って行ったあと、長机の隅で少年は呻いていた。
「うぉぉ……」
封筒の厚み。以前受け取った初期費用より、多く感じるのは、気のせいではないのだろう。恐る恐る封を切ろうとしたのを、細い指が咎めた。
「結社で開けるものじゃないでしょ? シエル」
メアリの手である。少年は焦って言葉をこぼした。
「あっ、そっか。でもさ、実感湧かなくて……。僕、こんな、ちゃんとお金もらったの、はじめてだし」
「んー。それもそうか……」
〈結社〉に迎え入れてもらった際。祝いと言ってボスに大金を手渡されたときは、メアリもシエルも驚いたものだが、あっという間に新生活の予算としてそれは消えていった。
首都ズネアータでの生活は、村出身の少年少女には想像もつかない程に、お金がかかった。つきに一度徴収される国税。何気ない治療費、家賃、食費に雑費――。裏を返せば、共和国の首都はそれだけ交易が豊かで、便利なモノで溢れかえっているのだ。
今回こそは、自分の手で稼いだ『はじめての報酬』と言える。
メアリは閃いた。
「じゃあ、明日、お買い物に行きましょうよ!」
「買い物に?」
首を傾げるシエルに向かって、ずいっと肩を寄せて、指を立てた。
「確か、お休みだったでしょ。街で色んなものを見て、好きなもの買ったら、きっと楽しいと思うわ」
「……なるほど!」
シエルの実家にはまともな小遣い制度がなかった。多分、彼にはまだ、適切なお金の使い方がわからないのだろう。
そう考えたメアリの誘いを受け、シエルは目を丸くして笑った。
「いいね!」「でしょー?」
ふたりは笑顔で顔を見合わせた。
「ン、買いモン行くんか」
事務室に居合わせた灰髪の青年が、声を掛ける。
「よかったら、ロネ先輩も行きましょうよ!」
「オレもか?」
「もちろん。私たちの見張り役なんでしょ?」
「見張ってはねェけど……」
少年少女の言葉に、彼はどことなく意味ありげに首を振った。
さらに、帽子の少女・カレサも、事務カウンターの奥からひょっこりと顔を出す。
「ちょー! なにイイ話してんのー!?」
「えっと、街に買い物に……」
「アタシも行く~!」
バンザイで参加表明した少女に、メアリは首肯した。
「もちろんよ! 出発時間は……そうね、〈十の鐘〉のときでいいかしら?」
「う、うん」「いいぜ」
あれよあれよという間に、休日の予定が決まっていく。
「集合は? 結社前?」
「いンや。オレが順番に迎え行く。最近、治安悪ィからな」
「オッケー!」
「じゃあ、明日の朝ね」
また明日!
彼らは手を振って、その場を解散した。
――……
――――……
朝、起きて。顔を洗って、襟付きの白いワンピースを着て。
メアリはいつもように髪を編み、簪《かんざし》二本でくるりとまとめる。このお団子ハーフアップは、可愛くて動きやすくて、お気に入りの髪型だ。
リップをひいて、家を出る。
アパートの軒下では、すでに見知った顔ぶれが、彼女の到着を待っていた。
「オッハヨー!」
「おはよう……ございます?」
「ふふ。おはよう、みんな!」
大きく両手を振ったカレサの後ろ。ロネは、挨拶代わりに軽く手を挙げる。彼は、私服の赤いシャツを着ていた。
「あら! ロネさん、オシャレ!」
「あんたもな。……それか、このチビに言ッてやれ」
青年の言葉に彼の右下を見ると、ボブヘアの少女は、オレンジのチュニックに黒のレギンスを着込んでいる。
「カレサちゃんも、今日は大人っぽいわね!」
「へへ! でも、メアリには勝てないなぁ~!」
ちいさな少女もはにかむように笑う。
カレサの後ろで、弟・シエルが半分隠れて立っている。上下真っ黒の質素な服に、ジッパーのワンポイント。背高い少年を見上げながら、カレサは肩をすくめる。
「でもさ、シエルはいつもと同じ~」
「あはは……」
「まあ、シエルだからねぇ」
シエルは昔から服を選ぶのが苦手だった。〈結社〉の制服を選ぶときだって、変なデザインのものを選びかけたほどだ。それもまた、素朴な弟らしいと思う。
首都の雑踏の片隅で、メアリは指を組んで、言った。
「さっそくお買い物ね! 行きたいところとか、ある?」
「そーだな。とりあえず、パーッとカジノとか……」
ロネの提案に、メアリは焦りに頬を真っ赤に染めて止めた。
「だ、だめっ!」
「即答かよ」
弟が賭博に目覚めても困る。メアリは姉として、ロネの趣味をシエルに教えるのだけは、断固阻止せねばならなかった。
「ロネはいっつもリル溶かしてるからな~」
ボブヘアの後ろで腕を組みつつ、からかうように言ったカレサを、ロネが即時で制する。
「チビは黙ッてろ」
女の子は一度、ぶー、という視線で青年を刺して。
それから、パッと明るく笑ってみんなを振り返った。
「なぁなぁ! じゃあ、『雑貨屋』はどうっ? 見てて楽しいモノがいーっぱいあるんだぜ!」
――雑貨屋。
地元民であるカレサの案内で辿り着いたのは、黄色い外装の、ファンシーなお店だった。
ベルを鳴らして中に入ると、店内はこれまた色とりどりの商品に彩られていた。カラフルなお皿。ティーポット。小ぶりな観葉植物、ぬいぐるみまでもが綺麗に飾ってある。
「素敵!」
メアリは目を輝かせた。店内は広くないけれど、夢のような場所だった。
しばらく巡ってもまるで飽きがこない。
そんな中からシエルが見つけたのは、一枚のハンカチだった。
「ウシ……!」
肌触りのよさそうな滑らかなハンカチの角には、横向きの牛の刺繍があしらわれている。
「ウシさんがどうかしたの? シエル」
「僕、ウシに憧れてるんです」
横から、カレサが首を傾げた。
「……なんで?」
「だって、食べても美味しいし、でっかいし、ミルクも生み出せるし……」
すごくないですか? とごく真顔で言った少年に、カレサも真顔で返した。
「よくわかんないけど、ウシ好きなんだねってことは分かった」
「コイツ気がきかねェンだよな」
「それ、ロネが言う?」
「オイ、どーいうイミだよ」
突っかかりかけた青年に、メアリがくすっと笑って肩をすくめる。
「ふたりとも、正直者のかわいい男の子だって意味よ。ね、カレサちゃん!」
「ねーっ!」
元気な返事に笑みを浮かべたが、しかし、男子たちの反応は違っていた。
「男にカワイイだの言うな」
「ほんとだよ……」
珍しく、シエルとロネの意見が合致した。かわいい、というのは万能の褒め言葉だと思っていたが、どうやら違うらしい。メアリはなんだかおかしくなって、思わず吹き出した。
「やっぱり、かわいい!」
――またちょっぴり怒られたのは、言うまでもない。
紙袋を抱えて店を出て、シエル一行は首都の大通りに足音を響かせる。
治安の悪いズネアータといえど、夏の陽光の真下では、街は平和そのものだ。
「ンで。次はドコ行くよ」
あくびを噛み殺しながらロネが問えば、シエルが一歩分前に出た。
「……僕、パン屋さんに行きたいです!」
「パン屋、だァ?」
「ドコのー?」
視線が集まる。茶色い天然パーマを風に揺らしながら、少年は続ける。
「ほら。あの、大きな宿屋の隣にある……」
メアリはピンときた。
「それなら、私も覚えてるわ! こっちよ!」
街角の路地。
レンガの上で腰を下ろしたちいさな少女が、ねじれたパンにかぶりつく。
「おいし~!」
出店で買ったパンを、みんなで並んで食べる。
柔らかなそれを齧りつつ、青年も頷いた。
「最近、有名なんだよな。ココ」
「そうなの? ほんとにおいしいわよね!」
少年も何度も嬉しそうに頷く。
「僕、このパン、大好きなんです! 甘くて、柔らかくて……。初めて食べた日は、そりゃもう感動しちゃって……」
語り始めた少年の横顔。
横一列に並んで座った一行の中で、シエルの言葉の真意を、メアリだけが知っていた。
故郷のガルニア帝国では、固い黒パンが主流であったこと。〈結社〉を訪れる前日に、路地の小さなパン屋さんで一緒にパンを買ったこと。新生活の不安と希望に揺れていたあの日、この柔らかなパンは私たちの心まであたためてくれたのだ。
彼女はしみじみと口にした。
「思えば、シエルが『このお店に行きたい』なんて言ったのも、はじめてよね」
「そう、かな……そうだったかも……」
「帝国には都に行かなきゃ、こんな商店街なかったもんね」
「うん。僕、もっと……いろんな場所に行ってみたいな」
呟いて、少年は眼鏡の奥の瞳を何度か瞬かせた。シエルの澄み切った瞳が、ひときわ光を帯びた。
「この世界には、どんな本にも載ってないものが……まだまだたくさんあるんだ!」
「そうね」
メアリは長いまつ毛を伏せた。
シエルは、この週明けに成人を迎える。少年は今確かに、大人になろうとしている――けれど、今はもう少しだけ、子どもで居させてあげて欲しい。
メアリは切にそう思う。ときは戻せないから。十代の季節は、あっという間に、過ぎ去ってしまうから。
「私も、一緒に見てみたいわ」
柔らかに微笑む少女は、強く想う――もう居ない父のぶんまで、シエルの家族であろうと。天涯孤独の者同士、唯一無二の家族として。
その言葉を聞き、カレサが彼女の袖をくいっと引っ張った。
「なになに、ナイショ話? 仲間はずれはヤダよ!」
「そーだ! ガキだけじゃどーにもならねェだろ。混ぜろっての」
「え、いや、ナイショってワケじゃ……あいたたた」
ロネに肩を組まれ、シエルがうめいた。
みんなの笑い声が溢れる。胸の奥が、じんわりとあたたかい。――〈結社〉は、彼らを決して孤独にはしなかった。
すっかりパンを食べ終わり、メアリは立ち上がった。
「次は、どこ行く?」
風になびくの薄紅の髪。
服屋さんなんていいかもね、と彼女が言えば、次々と賛同の声が上がる。
ズネアータに降りそそぐ夏の陽射しが、若者たちの行く先を照らしていた。
夏の章 はじめての報酬 完
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
闇夜の復讐者
一樹たる
ファンタジー
「俺は、復讐を果たしに来たんだ──」
緑豊かな〈エスタール王国〉の片隅。かつての少年ルナンは、古代遺跡で幽霊のような男に襲われてしまう。
すんでのところを謎の少女に救われ、ルナンは命拾いした。しかし、その身に禁じられた呪詛を宿したことにより、十四歳で村を追い出される。
盗賊として森をさまよう中、再び【あの男】の影が現れ、ルナンは因縁の遺跡へと舞い戻る。そこで出会ったのは、命を救ってくれた謎の少女だったのだが……、少女は、すべての記憶を失っていた。
確かに在った居場所。憎き白髪の男。傷だらけの少女……懐かしい人々。
青年少女の過去を辿る冒険が、今始まる。
◆◆◆
☆異世界冒険 × バトルアクション。
シリアスあり、仲良しコメディあり!
復讐青年と忘却少女がゆく追憶の冒険ファンタジー!
*'25/11/03……タイトル改定しました。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる