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6話 妻(仮)が出来ました
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「つ、付いて行くって・・・もしかしてヤロヴァツカに!?」
「アタシってば、自分の目で確かめないと気が済まない性質じゃない?」
「いや、知らないですけど・・・」
「いつかはアタシらにとって最低最悪の国をこの目で見てみたいって
思ってたのよね。・・・と、いうわけでアンタ、協力しなさい」
「いや、ホント危ないから行かないほうがいいって! 何故そんな
自殺行為的な事を? 何か悩んでるの? 自暴自棄になっちゃいけない。
話し聞こか?」
「う、うるさい!! そんなんじゃないわよ!! あのね、アンタが無事
なのはアタシが何もしいないからなのよ? ・・・協力しないって言うなら
今すぐにでもその首をチョンパっちゃってもいいんだけど?」
そう言いながら意地の悪そうな顔で彼女は僕にスッと近づいて人差し指で首を横になぞった。
「ううっ!(ブルッ) ・・・わ、分かった。協力するよ・・・」
「うんうん♪ 分ればよろしい」
「・・・じゃあ、僕らの国に着く前にこれをつけて欲しいんだ」
僕は屈魂指輪を取り出して彼女に見せた。
「何それ?」
「ああ、これはね――」
僕は指輪の事や妻の事、国での亜人の扱いなどを詳しく彼女に話した。
「・・・ふぅ~ん、なるほどねぇ」
そう言いながら彼女は左手の薬指に屈魂指輪をスッと嵌めた。
「ちょっ、ちょっと何してるの!!」
「え? 何よ」
屈魂指輪の屈魂魔法を発動させるには使用者の血を指輪に吸わせる必要があるのだ。
「何の警戒もなしに指輪を嵌めるなんて、何を考えてるんだ!! その指輪はまだ
屈魂魔法が発動してないから良かったものの、僕が君を騙していたらとか疑わな
かったの!?」
「あん? アンタ、アタシを騙そうとしたの?」
「いや、そんな気は無いけど・・・」
「ならいいじゃん。ほら、さっさとアタシを連れて行きなさいよ」
(な、何なんだこの娘は・・・)
「あ、そーいやまだアタシの名前言ってなかったわ。アタシは「ルビィ」。宜しくね、
ジェント♪」
こうして僕とんでもない不安を抱えながら帰路についたのだった。
◇◇◇◇◇
「――いやぁ~ははは・・・こいつは驚いた。無事に帰って来ただけじゃなく
妻まで捕えて来るとは・・・」
報告しようとロージさんの所に行くと、ワッセさんと共にすごく驚かれた。まぁ城壁の所のミリハさんや、ここまでくる途中の皆の顔でもう慣れたんだけど。
「偶然寝ていた所を捕まえることが出来たんですよ。運が良かったんです。
運が~・・・いやホント。あはははっ!」(チラッ)
「・・・・」
・・・という体でいこうと事前にルビィと決めておいた。今も彼女は屈魂指輪の力に屈しているフリをして無言、無表情を頑張っている。ボロが出る前にさっさと帰ろう・・・。
「・・・ジェント殿。落街にどんな手を使ってもここから這い上がろうとする連中が
ごまんといる。連中は君の妻をどうにかして奪おうとしてくるだろう。手元に置いて
おきたいと思うなら十分に気を付けた方がいい」
・・・おいおい、マジかよ。僕はルビィに目をやる。彼女は無表情にパチパチと瞬きをしてきた。多分、「大丈夫。問題ない」と言っている。・・・と思う。僕たちが出て行こうとするとロージさんが懐から小さな紙を出して渡してきた。
「この紙に書かれている大通りの道具屋に集めた薬草を売りに行きなさい。
本来は外で手に入れた物はギルドに卸すのが決まりだ。だがそこは昔からの
馴染みの奴がしている店だ。ワシの名を出せば悪いようにはせんだろう」
「ありがとうございます。早速行ってきます」
――僕たちはロージさんから貰った紙を頼りにヤロヴァツカの中央に伸びる大通りまでやって来た。落街の住人でもここへ来るのに問題なく行き来はできる。が、行きかう人々の目は明らかに差別的な視線を感じるな・・・。そんな男たちの少し後ろを妻たちが歩いている。中には可愛らしい服を着ていたり、派手な装飾品を身に付けた娘もいるが、あれは主人の力を周りに誇示する為であって、そこに情も愛もない。こんなものを見て僕の後ろを「妻」のフリをして付いて来ているルビィはどう思っているんだろう・・・。
◇◇◇◇◇
「――別に?」
「え」
道具屋で薬草を換金を済ませて家に帰って来た。夕食にと帰りの途中の屋台で買った物を食べながらその事をルビィに聞いたら、そんなあっさりとした答えが返ってきた。
「・・・別に知り合いでもないし。まぁ同族なら気の毒だなくらいは
思うかもけど」
「そ、そう・・・」
・・・ずいぶんと淡白だな。それにこの国の事を知りたいとか言ってたけどそれほど興味もなさそうに見えたた。・・・はぁ、もういいか。ともかく今日は色々あって疲れた。明日も外に行く予定だし早く寝てしまおう。
「じゃあルビィはそこのベッドでやすんで。僕はこっちの床で寝るから」
「襲わないの?」
「ブッッ!!」
あまりにあっけらかんとそういう事を言うルビィに、思わず僕は吹いてしまった。
「いきなり何てこと言うんだよ!! お、襲うわけないだろ!!」
「・・・はぁ? 何、アンタもしかして「不能」だったりするわけぇ?」(ニヤニヤ)
俺を弄って遊んでやろうと思っているようだが、乗ってやらない。
「何とでも言え。明日も早いんだ。さっさと寝ろよな」
僕は毛布に包まり、彼女に背を向けて床に寝ころんだ。
「・・・ふん」
そんな態度の少し不満を洩らしつつもルビィもベッドに横になったようだ。暫くすると小さな寝息が聞こえてきた。それを聞いた僕も安心したのか、瞼が重くなりそのまま眠りに落ちていったのだった。
「アタシってば、自分の目で確かめないと気が済まない性質じゃない?」
「いや、知らないですけど・・・」
「いつかはアタシらにとって最低最悪の国をこの目で見てみたいって
思ってたのよね。・・・と、いうわけでアンタ、協力しなさい」
「いや、ホント危ないから行かないほうがいいって! 何故そんな
自殺行為的な事を? 何か悩んでるの? 自暴自棄になっちゃいけない。
話し聞こか?」
「う、うるさい!! そんなんじゃないわよ!! あのね、アンタが無事
なのはアタシが何もしいないからなのよ? ・・・協力しないって言うなら
今すぐにでもその首をチョンパっちゃってもいいんだけど?」
そう言いながら意地の悪そうな顔で彼女は僕にスッと近づいて人差し指で首を横になぞった。
「ううっ!(ブルッ) ・・・わ、分かった。協力するよ・・・」
「うんうん♪ 分ればよろしい」
「・・・じゃあ、僕らの国に着く前にこれをつけて欲しいんだ」
僕は屈魂指輪を取り出して彼女に見せた。
「何それ?」
「ああ、これはね――」
僕は指輪の事や妻の事、国での亜人の扱いなどを詳しく彼女に話した。
「・・・ふぅ~ん、なるほどねぇ」
そう言いながら彼女は左手の薬指に屈魂指輪をスッと嵌めた。
「ちょっ、ちょっと何してるの!!」
「え? 何よ」
屈魂指輪の屈魂魔法を発動させるには使用者の血を指輪に吸わせる必要があるのだ。
「何の警戒もなしに指輪を嵌めるなんて、何を考えてるんだ!! その指輪はまだ
屈魂魔法が発動してないから良かったものの、僕が君を騙していたらとか疑わな
かったの!?」
「あん? アンタ、アタシを騙そうとしたの?」
「いや、そんな気は無いけど・・・」
「ならいいじゃん。ほら、さっさとアタシを連れて行きなさいよ」
(な、何なんだこの娘は・・・)
「あ、そーいやまだアタシの名前言ってなかったわ。アタシは「ルビィ」。宜しくね、
ジェント♪」
こうして僕とんでもない不安を抱えながら帰路についたのだった。
◇◇◇◇◇
「――いやぁ~ははは・・・こいつは驚いた。無事に帰って来ただけじゃなく
妻まで捕えて来るとは・・・」
報告しようとロージさんの所に行くと、ワッセさんと共にすごく驚かれた。まぁ城壁の所のミリハさんや、ここまでくる途中の皆の顔でもう慣れたんだけど。
「偶然寝ていた所を捕まえることが出来たんですよ。運が良かったんです。
運が~・・・いやホント。あはははっ!」(チラッ)
「・・・・」
・・・という体でいこうと事前にルビィと決めておいた。今も彼女は屈魂指輪の力に屈しているフリをして無言、無表情を頑張っている。ボロが出る前にさっさと帰ろう・・・。
「・・・ジェント殿。落街にどんな手を使ってもここから這い上がろうとする連中が
ごまんといる。連中は君の妻をどうにかして奪おうとしてくるだろう。手元に置いて
おきたいと思うなら十分に気を付けた方がいい」
・・・おいおい、マジかよ。僕はルビィに目をやる。彼女は無表情にパチパチと瞬きをしてきた。多分、「大丈夫。問題ない」と言っている。・・・と思う。僕たちが出て行こうとするとロージさんが懐から小さな紙を出して渡してきた。
「この紙に書かれている大通りの道具屋に集めた薬草を売りに行きなさい。
本来は外で手に入れた物はギルドに卸すのが決まりだ。だがそこは昔からの
馴染みの奴がしている店だ。ワシの名を出せば悪いようにはせんだろう」
「ありがとうございます。早速行ってきます」
――僕たちはロージさんから貰った紙を頼りにヤロヴァツカの中央に伸びる大通りまでやって来た。落街の住人でもここへ来るのに問題なく行き来はできる。が、行きかう人々の目は明らかに差別的な視線を感じるな・・・。そんな男たちの少し後ろを妻たちが歩いている。中には可愛らしい服を着ていたり、派手な装飾品を身に付けた娘もいるが、あれは主人の力を周りに誇示する為であって、そこに情も愛もない。こんなものを見て僕の後ろを「妻」のフリをして付いて来ているルビィはどう思っているんだろう・・・。
◇◇◇◇◇
「――別に?」
「え」
道具屋で薬草を換金を済ませて家に帰って来た。夕食にと帰りの途中の屋台で買った物を食べながらその事をルビィに聞いたら、そんなあっさりとした答えが返ってきた。
「・・・別に知り合いでもないし。まぁ同族なら気の毒だなくらいは
思うかもけど」
「そ、そう・・・」
・・・ずいぶんと淡白だな。それにこの国の事を知りたいとか言ってたけどそれほど興味もなさそうに見えたた。・・・はぁ、もういいか。ともかく今日は色々あって疲れた。明日も外に行く予定だし早く寝てしまおう。
「じゃあルビィはそこのベッドでやすんで。僕はこっちの床で寝るから」
「襲わないの?」
「ブッッ!!」
あまりにあっけらかんとそういう事を言うルビィに、思わず僕は吹いてしまった。
「いきなり何てこと言うんだよ!! お、襲うわけないだろ!!」
「・・・はぁ? 何、アンタもしかして「不能」だったりするわけぇ?」(ニヤニヤ)
俺を弄って遊んでやろうと思っているようだが、乗ってやらない。
「何とでも言え。明日も早いんだ。さっさと寝ろよな」
僕は毛布に包まり、彼女に背を向けて床に寝ころんだ。
「・・・ふん」
そんな態度の少し不満を洩らしつつもルビィもベッドに横になったようだ。暫くすると小さな寝息が聞こえてきた。それを聞いた僕も安心したのか、瞼が重くなりそのまま眠りに落ちていったのだった。
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