光のその先

ささまろ

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きっかけ

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ある日、珠葵はとある筋より近々紫莉が攫われる計画をしる。
珠葵は紫莉を数日アレコレ理由を付けて家から出ないようにし、代わりに珠葵が紫莉に変装して学院へ通った(学院には一般家庭として在籍している紫莉の為、休む訳にはいかなかった)
入れ替わってから、数日後、帰宅途中で複数の怪しい男に囲まれ攫われてしまう。
(敵の目的を知るためにわざと捕まる)

仁の元に『紫莉が攫われ望みを叶えるよう』連絡がいく。が、紫莉は家いた。
珠葵が代わりに捕まっていることが分かった。
珠葵はとある倉庫にいた。
しばらくすれば、組の者がこの場所に来ることは分かっていた。
オヤジに言われ、盗聴器と発信機のついたペン(ペンとしての機能はなし)のようなものをいつも身につけていたからだ。
仁が来る前に珠葵はカタをつけたかった。
彼が周りに恨まれ疎まれていることは知っていたからだ。

珠葵は強い。組の中でもトップに入るほど。
そしてとても身軽だった。
両手を前で縄により固定されていても脚のみで誘拐犯共を圧倒した。
捩じ伏せるのが完了さたのと同時に倉庫の重い錆びた扉が引かれ開いた。

仁は立っていた。目の前の惨状に対して理解が追いつかなかった。
倒れている男たち。両手を結ばれている珠葵。男たちに意識はないように見えた、
仁は珠葵にゆっくり近づく。

「大丈夫なのか?」

「あぁ……」

仁は驚いた、返事をしながら振り返った彼女の目に覇気がなかったことに。
惨状に気を取られていたがよく見れば、彼女の衣服は乱れ、長くストレートだった髪も乱雑に切られたようだ。
うつろな彼女の焦点が自分とかち合った。

「あぁ……貴方か……」
ゆっくりと仁へと近づく珠葵。その時、珠葵の足元で敵の1人がスっと意識を取り戻した。目の前にいるのが仇なす仁だと認識した男は、胸に隠し持ってた銃を仁へと向けていた。

「外に車を用意してある、今、下のやつらを呼ぶ」
自らが開けた扉に目を向け部下を呼ぶため携帯を操作しながら珠葵に話しかける。

男は仁が背を向けたタイミングを見逃さなかった。
「死ねぇ!!!」

男は打った。仁に向けて2発。確実に殺せるよう左側を狙って。しかし、弾は仁には当たらなかった。男の殺気を感じた珠葵が、仁を庇い被弾していたからだ。元々体力も底をつきかけていた珠葵は最後の力を振り絞り仁の元へ駆けつけ自らを盾にした。

銃声で振り返った時には既に遅く、珠葵は仁の胸に力なく倒れた。青くなった顔、辛うじて意識はあるもののそれはか細く今にも消えようとしていた。
珠葵の手がゆっくりと上がり仁の頬に触れる。
「無事……ですね……」
自分のことより仁の心配をする珠葵。消えゆく声で「よかった」と発し彼女の意識は途切れた。

「おい!!しっかりしろ!!」
意識の失った珠葵に声をかける仁。打った本人は仁を打てたと思ったのか再び意識を失っていた。

外で待機していた部下は銃声を聞きつけ急いで中へ入った。
絶句した。慕う兄貴の腕の中に珠葵が血を流しながら倒れていた。仁は必死に彼女に声をかけ、周りには気を失っている男たち。

須藤はすぐさま組が世話になってる医者へ連絡をする。救急車は呼べないので珠葵に呼びかける仁に彼女を車へ運ぶよう肩を掴んだ。
須藤は目を疑った。振り返った仁のあんな顔を見ることになるとは。
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