目を開けるな

アイルトンこ

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目を開けるな

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小学校低学年の私は、人気のない森を一人で歩いていた。

木が鬱蒼としていて、昼間なのに薄暗い。
よく見回すと、冷蔵庫やら、
扇風機などの粗大ゴミがあちこちに捨ててある。

気にせず進んでいくと、
道の脇の一本の木の根元に
私でも両手で持てそうな小さめなサイズの
錆び付いた黒い金庫が捨ててあった。

その金庫は、絶対に開けてはならないような
不気味な雰囲気を纏っており、
一目見ただけで嫌なものを感じた。

その横を通るの、嫌だなあと思い
進む足が弱まった。

金庫の横に差し掛かった時、どこからともなく
何匹もの猫が出てきて私を取り囲んだ。
猫たちは鳴きもせず、静かに座っている。
不気味なことに、半径2、3mくらいの距離に
均等な間隔を空けて猫たちは並んでいる。

怖くなった私は思わず目をつぶった。

すると、
「目を開けるな」
と知らない少女の低い声が聞こえた。

「猫たちはちょっとでも薄目を開けたら分かる。
絶対に目を開けるな。」

怖くて体が固まっている。
しかし私は、半信半疑で目を少し開けてみようと思った。
ゆっくりと、少しずつバレないように瞼の力を抜いていく。
やっとうっすら猫たちが見えたかと思うと、
その猫たちが一斉に鳴きだした。

思わず目を見開くと、
あの金庫が少しだけ開いており、その中の少女と目が合った。

私は全力でその場を走り去り、森をぬけて家へ帰った。
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みんなの感想(1件)

べるんご
2020.03.08 べるんご

眠れぬ夜によく似合う、素敵なショートホラーでした

解除

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