婚約破棄って簡単に言われて落ち込んでいたら新しい伯爵様がいらっしゃって?

岡暁舟

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その1

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「ローズ。もう時間が来たようだ。婚約破棄だ」

「どうしてですか???」

ローズは焦った。そして嘆いた。どうして、こんなことに???自分は何も悪いことなんてしていないのだから。そして、かつて自分は王子に愛されたという自負があるのだ。

「どうしてって……君は私のことを全く愛していないだろう???君は私が王子であるから、好きであるふりをしているだけなんだ。私の地位を利用しようとしているんだ。違うのかな???」

「そんなわけありません!!!」

「いいえ、ローズ様はそういう女ですわ!!!」

聞きなれた声……ああ、そうか。ローズはこの時、全てを悟った。

それは友人のサマンサだった。同じ侯爵令嬢でありながら、その華やかさは雲泥の差があったわけで……。サマンサはこの世界の中心と言っても過言ではなかった。そんなサマンサが王子の隣にいるということは……。

ローズはこの世界を呪いたいと思った。

呪って呪って……でも、最後には何も残らないことを、ローズは知っていた。愛されるってことがどれほど素敵か……でも、その王子にはすでに裏切られてしまったのだ……。

「それでは、ごきげんよう……」

二人は消えてしまった。ローズは悲しんだ。でも、悲しんでいるだけではどうしようもない。

さあ、どうすればいいのか。そんな折に新たな出会いがやってくる。

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