婚約破棄の味?

岡暁舟

文字の大きさ
1 / 1

婚約破棄

しおりを挟む
婚約破棄に味なんてものはない……そう思っていたのだが、私の愛しい婚約者の頬を舐めてみると、どうも塩辛い味がしたようだった。その理由は、言うまでもなく私になる。

私がクズだから?????まあ、そう言うことになる。私が他の貴族を好きになって、たった今、婚約者を捨てようとしているから、このようなことになったのだと思う。

「ごめんなさい。私は尻軽女なので、これ以上、あなたのことを好きにはなれません……」

私は最後にこう言った。

「そうか……やっぱり、僕は全て間違っていたんだ。君みたいな人間を愛したこと……それは全部間違いだったんだ……」

間違いと言われても気にしない。まあ、現実はそのようなものだから。否定のしようがない。

私は自分が間違っていることに薄々気が付く。でも、これもある意味、一つの病のようなものだから。

私は自分の神経の昂ぶりに身を任せているだけなのだ。

それがたまたま他人に向けられてしまうと言うのだったら、それはそれで仕方がない。

ただ、それだけのことなのだから。

さて……間もなく時間がやって来る。このまま、野放しになっても仕方がない。ただ、殺されるのを待つだけになってしまう。松茸にはお吸い物が合うように、私には新しい婚約者が待っている。

後は、その婚約者が命懸けで私を守ってくれる場所にたどり着けばいい。
簡単そうに見えて、実際は難しいことだと思う。でも、私はもう逃げない。隠れる必要もない。

堂々と、新しい恋を始めれば、もうそれでいいのだ。

しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢として断罪された聖女様は復讐する

青の雀
恋愛
公爵令嬢のマリアベルーナは、厳しい母の躾により、完ぺきな淑女として生まれ育つ。 両親は政略結婚で、父は母以外の女性を囲っていた。 母の死後1年も経たないうちに、その愛人を公爵家に入れ、同い年のリリアーヌが異母妹となった。 リリアーヌは、自分こそが公爵家の一人娘だと言わんばかりにわが物顔で振る舞いマリアベルーナに迷惑をかける。 マリアベルーナには、5歳の頃より婚約者がいて、第1王子のレオンハルト殿下も、次第にリリアーヌに魅了されてしまい、ついには婚約破棄されてしまう。 すべてを失ったマリアベルーナは悲しみのあまり、修道院へ自ら行く。 修道院で聖女様に覚醒して…… 大慌てになるレオンハルトと公爵家の人々は、なんとかマリアベルーナに戻ってきてもらおうとあの手この手を画策するが マリアベルーナを巡って、各国で戦争が起こるかもしれない 完ぺきな淑女の上に、完ぺきなボディライン、完ぺきなお妃教育を持った聖女様は、自由に羽ばたいていく 今回も短編です 誰と結ばれるかは、ご想像にお任せします♡

嘘の誓いは、あなたの隣で

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢ミッシェルは、公爵カルバンと穏やかに愛を育んでいた。 けれど聖女アリアの来訪をきっかけに、彼の心が揺らぎ始める。 噂、沈黙、そして冷たい背中。 そんな折、父の命で見合いをさせられた皇太子ルシアンは、 一目で彼女に惹かれ、静かに手を差し伸べる。 ――愛を信じたのは、誰だったのか。 カルバンが本当の想いに気づいた時には、 もうミッシェルは別の光のもとにいた。

婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。

國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。 声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。 愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。 古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。 よくある感じのざまぁ物語です。 ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

悪役令嬢は手加減無しに復讐する

田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。 理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。 婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

その支払い、どこから出ていると思ってまして?

ばぅ
恋愛
「真実の愛を見つけた!婚約破棄だ!」と騒ぐ王太子。 でもその真実の愛の相手に贈ったドレスも宝石も、出所は全部うちの金なんですけど!? 国の財政の半分を支える公爵家の娘であるセレスティアに見限られた途端、 王家に課せられた融資は 即時全額返済へと切り替わる。 「愛で国は救えませんわ。 救えるのは――責任と実務能力です。」 金の力で国を支える公爵令嬢の、 爽快ザマァ逆転ストーリー! ⚫︎カクヨム、なろうにも投稿中

婚約破棄を申し込まれたので快諾したら、信じられないとばかりに逆ギレされました。

香取鞠里
恋愛
婚約者のマークと結婚を前提に一緒に住み始めたクレアだが、マークにより嫌がらせのような扱いを受け、結婚前からうんざりしていた。 このまま結婚して、永遠にこの生活が続くようになるのかと悲観していたある日、マークから婚約破棄の書面を突きつけられる。 内心嬉々としてサインするクレアだが、そんなクレアにマークは逆ギレしてきて!? あなたが言ったから私はここにサインしたんですよ?

処理中です...