気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、見守ります

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「ナターシャ……ナターシャ……」

俺は夢の中で、彼女の名前を何度も叫び続けていた。ああ、これが夢の中で完結してしまえばどんなにいいことか、と思った。だって……俺の前で覚えている彼女は、全然違うから。

「あなたが人殺しをしてきたことは、とっくにばれているのよ？？？」

そして、ナターシャの隣には、あの時と同じようにエリスがいる。

「ねえ、どんな理由があっても、人殺しはまずいんじゃないかしら？？？」

エリスは尋問を重ねていく。彼女は……どうしても自分の手でこの犯罪を裁きたいらしかった。でも、よく考えてみると、一概に正義と言えるかどうか微妙だった。

感情の暴露が多すぎた。裁判は本来、公正なものでなくてはならない。それをエリスは知らないみたいだった。だから、俺は時々アドバイスをした。

「なあ、エリス。いくらなんでも、このやり方はまずくないか？？？」

俺がこう言うと、エリスはまた不機嫌になって、

「ねえ、ボリス様。人命を軽んじる女に……公平な裁きなんて必要あるんですか？？？」

と言った。感情論に任せてはいけないが……このままでは、どのみち処刑される運命であることには変わりないだろう……なにか手段はないのか……。


「さっきから、ボリス様はナターシャを救うことを考えているように見えますが……そんなはずはないですよね？？？」

ナターシャを救う……俺は無意識にそう考えていたのか？？？確かに、エリスの言う通りかもしれない。

どうして？？？理由は？？？

俺はナターシャのことをどう思っているんだ？？？

「汚れていくナターシャを見ているのが……そんなにつらいですか？？？」

投げかけるエリスも同時に汚れていく。彼女はナターシャを殴っている。

「ああ、汚くなっていくのが滑稽！！！」

それはまるで、一つの快楽のよう……。ナターシャを傷つけることに、ある種の快楽を感じているようなんだ。

「どうして？？？君はどうして、ナターシャを傷つけるんだ？？？」

俺は直接質問してみた。

「虐めるですって？？？人殺しに比べたら、こんなものは些細なものですわ！！！」

まあ、命を奪ってはいないから……。でも、まずくないか？？？

「これ以上、ナターシャを贔屓にするのはやめてください！！！」

エリスはとうとう叫んでしまった。その原因が俺にあることは、明白だった……。