悪役の妹は姉の婚約者候補を葬り去る

岡暁舟

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「ほら、さっさと歩け!急ぐんだ!ああ、むしゃくしゃするぜ!僕をなんだと思っているんだ!今日こそ地獄に突き落としてやるぞ!」

 簡単に言えば利害の一致…お姉様がいなくなれば、少しは脚光を浴びる。日の当たる舞台に立つことが出来ると思った。もちろん、お姉様ほど美しくないことは分かっている。それでも…お姉様が消えてしまえば、我が家も一応は公爵家であるゆえ、お父様、お母様は本気で私の相手をしてくれるんじゃないか、なんて考えたのだった。

「おいおい、どうしたんだ?テンション高くてノリノリじゃないか?そんなに僕とするのが気持ちよかったのか?」

 男って本当にバカ…でも、今はこうしておだてておいた方がいいと思ったから、私は「これも全部あなたのおかげよ」と答えておいた。

「そうかそうか!!ああ、実際のところ高慢なマーガレットよりも貴様の方がいいかもしれないな!」

 フンボルトは言った。


 自宅に到着すると、フンボルトと同じような運命を辿りそうな男たちがちらほら、不審者のようにうろついていた。特別な光景では決してなかった。

「ああ、どうしてマーガレット嬢は私の方に振り向かないのだ!」

「おい、貴様はマーガレットの何なのだ?」

 怒ったフンボルトが男に近づいて行った。

「何って…一々あなたに説明する義理はないだろう…」

 まあ、その通りだ。でも、フンボルトは苛立った。

「貴様…私を差し置いてマーガレットと婚約しようって魂胆だな!許さん!」

 そう言って、フンボルトは男を蹴飛ばした。男は地面に倒れこんでしまった。


「いきなり何をするんだ!」

 男はピストルを取り出した。

「この私を誰だと思っているんだ!」

「貴様の前に僕から名乗ってやる。公爵のフンボルトだ!」

 フンボルトと聞いて、男は平伏した。どうやら、公爵よりは下位の貴族みたいだ。

「はぁあっ、失礼いたしました!」

「当たり前だ。この私を差し置いて婚約しようなどとは100万年早いんだよ!」

 そう言って、私とフンボルトはいよいよ屋敷の玄関を通り抜けた。何百回…下手したら何千回と繰り返している行動パターンであるはずだが、異様に緊張したのだった。

「これで…マーガレットの時代は終わるんだ!」

 フンボルトがこう言って、私は少し安心した。お姉様のお部屋までもう少しの距離だった。



 マーガレット、絶体絶命?
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