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ホールデン様主催のパーティーに呼ばれるのは、多くの貴族……そして、彼らは一目ソフィアを眺めようと思っていた。美しいと評判の彼女……その姿を目に焼き付けようと躍起になっていたのだ。
ところが……想像の通り、いまの彼女は全く美しくない。
それに比べて、私は美しくなったのか分からないけど、サンダー様は私のことを評価しているようだった。
「美しい……あの世界に閉じ込めれば、君はもっと美しくなる!!!」
なんて、怖いことを言いだす始末で、私は困惑を隠せない。まあ、仕方ないか……。私はこれからサンダー様の言いなりになっていくようなものだから……。
「さて……行くとしますか」
サンダー様は随分と気合が入っていた。私は……当然そこまで気合が入っていなかった。というか、やっぱり行きたくなかった。サンダー様の面子を保つために仕方なく……不本意だったが、行くことにした。
会場には既に多くの貴族たちがいた。サンダー様が入って来ると、やはり一度騒然となる。それほど、世間の注目を浴びるのに十分な貴族ってことになるのだろう。
サンダー様が一歩先に入ってしまい、そして、彼にたくさんの視線が注がれているのを目の当たりにし、私はそのまま立ち竦んでしまった。だって……このままサンダー様の横を一緒に歩くっていうのは……どうも気が引けるのだった。
「おいおい……マリア殿。どうしたんだ???さあ、はやく入ろうよ……」
サンダー様がこんな感じで声をかけてくれたのは良かったのだが……どちらにしても、緊張してしまった。あれが王子の嫁か……なんて言われるオチが待っているはずだったから。
でも、ここまで来た以上、引き下がることはできなかった。勇気を出して、私は新しい一歩を踏み出すことにした。
「見て……あそこにいらっしゃる令嬢様は誰でしょうか???」
一番近くにいた見ず知らずの令嬢が自分の旦那に質問した。
「さあ、分からないな……」
貴族はもちろん、私のことを知らなかった。そんなにひどかっただろうか……私はすぐさま後悔し始めた。
だがしかし……そうではなかったのだ。
ところが……想像の通り、いまの彼女は全く美しくない。
それに比べて、私は美しくなったのか分からないけど、サンダー様は私のことを評価しているようだった。
「美しい……あの世界に閉じ込めれば、君はもっと美しくなる!!!」
なんて、怖いことを言いだす始末で、私は困惑を隠せない。まあ、仕方ないか……。私はこれからサンダー様の言いなりになっていくようなものだから……。
「さて……行くとしますか」
サンダー様は随分と気合が入っていた。私は……当然そこまで気合が入っていなかった。というか、やっぱり行きたくなかった。サンダー様の面子を保つために仕方なく……不本意だったが、行くことにした。
会場には既に多くの貴族たちがいた。サンダー様が入って来ると、やはり一度騒然となる。それほど、世間の注目を浴びるのに十分な貴族ってことになるのだろう。
サンダー様が一歩先に入ってしまい、そして、彼にたくさんの視線が注がれているのを目の当たりにし、私はそのまま立ち竦んでしまった。だって……このままサンダー様の横を一緒に歩くっていうのは……どうも気が引けるのだった。
「おいおい……マリア殿。どうしたんだ???さあ、はやく入ろうよ……」
サンダー様がこんな感じで声をかけてくれたのは良かったのだが……どちらにしても、緊張してしまった。あれが王子の嫁か……なんて言われるオチが待っているはずだったから。
でも、ここまで来た以上、引き下がることはできなかった。勇気を出して、私は新しい一歩を踏み出すことにした。
「見て……あそこにいらっしゃる令嬢様は誰でしょうか???」
一番近くにいた見ず知らずの令嬢が自分の旦那に質問した。
「さあ、分からないな……」
貴族はもちろん、私のことを知らなかった。そんなにひどかっただろうか……私はすぐさま後悔し始めた。
だがしかし……そうではなかったのだ。
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