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「まずはチャーリーから聞いてみよう。一体、どんな具合なのだ?」
長女のチャーリーは王子スミスに促されて話を始めた。
「まずはこの場で公爵令嬢アリエッタ様の罪を告白出来ることにつきまして、王子スミス様に御礼申し上げます」
恭しく頭を下げたかと思えば、今度は品のないウインクをした。実際のところ、スミスはアリエッタのような淑やかな令嬢よりも、チャーリーのような品のない令嬢を好んだのだ。
「アリエッタ様は公爵令嬢の地位を利用して、私を始めとして多くの学生を虐めておりました・・・私が関わったのは試験のカンニングですね。アリエッタ様は学院の中で成績が・・・正直なところよろしくないようで留年の危機にありました。そんな折、私に助けを求めたのです。試験の時、カンニングさせろ、と・・・」
「そんなのは言いがかりだ!アリエッタは常にトップクラスの成績を修めているんだっ!」
アリエッタの父:アダムスが直ちに反論した。
「アダムス殿・・・今はチャーリーの話を聞いているのです。余計な口出しはなきように!」
スミスはアダムスの反論を封じた。王子に命令されてしまったので、アダムスはチャーリーに対する糾弾がこの場ではひとまず出来なくなった。
「その成績は・・・要するに我々名もなき令嬢たちがカンニングに協力しているからなのです。実際のところ、アリエッタ様の能力はほとんどないのですっ・・・」
会場が騒然となった。カンニングが真実であれば、アリエッタのみならず、チャーリーたちも処罰の対象になる。罪の意識が芽生えて勇気を出し告白に至ったチャーリーたちを称賛する声が少しずつ出始めた。
「そんなこと・・・私の娘に限ってありえない。なあ、アリエッタ?君には反論する権利がある。あの者たちが言っていることは全て嘘なんだよな?なあ、なんとか言ってみなさい!」
「・・・・・・」
アリエッタはやはり反論しなかった。
「反論しないということは・・・やはり、私どもの主張が正しいということになりますね・・・」
アダムスは娘の無実を信じていた。だが、アリエッタが反論しない以上、話のなり行きはチャーリーたちに有利となった。
「どうして何も言わないんだ?アリエッタ・・・我が公爵家はこれで終わりだっ・・・」
アダムスはその場で卒倒し会場から運び出された。
長女のチャーリーは王子スミスに促されて話を始めた。
「まずはこの場で公爵令嬢アリエッタ様の罪を告白出来ることにつきまして、王子スミス様に御礼申し上げます」
恭しく頭を下げたかと思えば、今度は品のないウインクをした。実際のところ、スミスはアリエッタのような淑やかな令嬢よりも、チャーリーのような品のない令嬢を好んだのだ。
「アリエッタ様は公爵令嬢の地位を利用して、私を始めとして多くの学生を虐めておりました・・・私が関わったのは試験のカンニングですね。アリエッタ様は学院の中で成績が・・・正直なところよろしくないようで留年の危機にありました。そんな折、私に助けを求めたのです。試験の時、カンニングさせろ、と・・・」
「そんなのは言いがかりだ!アリエッタは常にトップクラスの成績を修めているんだっ!」
アリエッタの父:アダムスが直ちに反論した。
「アダムス殿・・・今はチャーリーの話を聞いているのです。余計な口出しはなきように!」
スミスはアダムスの反論を封じた。王子に命令されてしまったので、アダムスはチャーリーに対する糾弾がこの場ではひとまず出来なくなった。
「その成績は・・・要するに我々名もなき令嬢たちがカンニングに協力しているからなのです。実際のところ、アリエッタ様の能力はほとんどないのですっ・・・」
会場が騒然となった。カンニングが真実であれば、アリエッタのみならず、チャーリーたちも処罰の対象になる。罪の意識が芽生えて勇気を出し告白に至ったチャーリーたちを称賛する声が少しずつ出始めた。
「そんなこと・・・私の娘に限ってありえない。なあ、アリエッタ?君には反論する権利がある。あの者たちが言っていることは全て嘘なんだよな?なあ、なんとか言ってみなさい!」
「・・・・・・」
アリエッタはやはり反論しなかった。
「反論しないということは・・・やはり、私どもの主張が正しいということになりますね・・・」
アダムスは娘の無実を信じていた。だが、アリエッタが反論しない以上、話のなり行きはチャーリーたちに有利となった。
「どうして何も言わないんだ?アリエッタ・・・我が公爵家はこれで終わりだっ・・・」
アダムスはその場で卒倒し会場から運び出された。
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