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戦略的勝利をおさめた帝国陸軍士官のオングリザは国内に帰還し、第一王子スミスに謁見する運びとなった。
「スミス様・・・オングリザ殿が帰還されましたぞっ!」
陸軍の高官たちが若きオングリザを歓迎し、そのまま王子謁見の間に案内した。一方、スミスは中々自室から出てこなかった。
「スミス様?いらっしゃいませんか?名誉の戦士が帰ってきましたぞっ!」
高官たちが声をかけても、一向にスミスは姿を表さなかった。
「一体何をされておるんだ?名誉の戦士を労うのは元帥の務めではないか?」
「まあまあ、そう怒られるな。スミス様はおそらく・・・お取り込み中なのだろうさ・・・」
高官の1人がそう言った。
「お取り込み中とは・・・一体どう言うことだ?」
「・・・私の言っていることがわからないのか?」
「・・・一向にわからぬな・・・」
「そうかそうか、まあ無理はない。君は国家にのみ忠誠を捧げ、その健全なる肉体と健全なる精神を傷つけたことがないわけだからなっ・・・ああ、軍人にはそういった者が多いのだが・・・」
「だから、さっきから何を言っているのか、私には分からないぞっ!」
「そうだろうな・・・要するに、スミス様は婚約者と初夜を迎えて、本日の朝はお疲れなのだよっ・・・」
「婚約者と初夜?ああ、そう言うことか・・・」
ここまで聞いて、男女事情に鈍感な高官も理解出来たようだった。
「そうかそうか、確かに昨日は盛大に婚約披露宴が執り行われたそうだからなっ!あれっ・・・そういえば、スミス様の婚約者は・・・公爵令嬢アリエッタ殿・・・ひょっとして?」
「ああ、そのひょっとしてなのだよ。オングリザの妹君なのさっ」
「そうかそうか、それではダブルにめでたいじゃないか!」
「本当に。オングリザも盛大に祝われ、その妹君も盛大に祝われて・・・アダムス殿はいいご子息を持たれたな」
高官たちが感激しているところに、オングリザがいよいよ姿を現した。
「帝国陸軍少尉・オングリザでございますっ!」
「おおっ、主役のお出ましだなっ・・・」
高官たちはオングリザを部屋に招いた。
「私どもからでまずは恐縮だが・・・この度の戦功は誠に見事であったぞ!一体、どんな策を使ったのだ?」
オングリザは多数に囲まれて質問を浴びせられて困惑してしまった。
「いやっ・・・大したことはございませんな。強いて言えば・・・妹を愛する気持ち・・・ですかね?」
「・・・それが勝利の由来なのか?」
「ええっ、恐らくは・・・」
「・・・なるほど、不思議なことがあるもんだなっ・・・」
高官たちは半分くらいは納得したようだが、一方で腑に落ちない印象でもあった。まさか、敵将の王子と意見が一致したなんて、口が裂けても言えなかったから。
「それはそうと、王子様はまだ・・・いらっしゃらないのですかっ?」
オングリザが尋ねると、高官の1人がオングリザの肩をパンと叩いた。
「昨日何があったか、君も知っているな?」
「ええ、もちろんでございますとも。我が愛しき妹であるアリエッタと第一王子スミス様の盛大な婚約披露宴・・・ですよね?」
「その通り!さて、婚約披露宴の後はどうなるかというと・・・」
「一体どうなると言うのですか?まさか・・・」
「そのまさかだなっ、アリエッタ殿もこれで立派なレディーの仲間入りということだっ!」
「なるほど、それは家族総出でお祝いですなっ!」
オングリザは歓喜の雄叫びを上げた。
それからしばらくしてスミスが姿を現した。
「スミス様・・・オングリザ殿が帰還されましたぞっ!」
陸軍の高官たちが若きオングリザを歓迎し、そのまま王子謁見の間に案内した。一方、スミスは中々自室から出てこなかった。
「スミス様?いらっしゃいませんか?名誉の戦士が帰ってきましたぞっ!」
高官たちが声をかけても、一向にスミスは姿を表さなかった。
「一体何をされておるんだ?名誉の戦士を労うのは元帥の務めではないか?」
「まあまあ、そう怒られるな。スミス様はおそらく・・・お取り込み中なのだろうさ・・・」
高官の1人がそう言った。
「お取り込み中とは・・・一体どう言うことだ?」
「・・・私の言っていることがわからないのか?」
「・・・一向にわからぬな・・・」
「そうかそうか、まあ無理はない。君は国家にのみ忠誠を捧げ、その健全なる肉体と健全なる精神を傷つけたことがないわけだからなっ・・・ああ、軍人にはそういった者が多いのだが・・・」
「だから、さっきから何を言っているのか、私には分からないぞっ!」
「そうだろうな・・・要するに、スミス様は婚約者と初夜を迎えて、本日の朝はお疲れなのだよっ・・・」
「婚約者と初夜?ああ、そう言うことか・・・」
ここまで聞いて、男女事情に鈍感な高官も理解出来たようだった。
「そうかそうか、確かに昨日は盛大に婚約披露宴が執り行われたそうだからなっ!あれっ・・・そういえば、スミス様の婚約者は・・・公爵令嬢アリエッタ殿・・・ひょっとして?」
「ああ、そのひょっとしてなのだよ。オングリザの妹君なのさっ」
「そうかそうか、それではダブルにめでたいじゃないか!」
「本当に。オングリザも盛大に祝われ、その妹君も盛大に祝われて・・・アダムス殿はいいご子息を持たれたな」
高官たちが感激しているところに、オングリザがいよいよ姿を現した。
「帝国陸軍少尉・オングリザでございますっ!」
「おおっ、主役のお出ましだなっ・・・」
高官たちはオングリザを部屋に招いた。
「私どもからでまずは恐縮だが・・・この度の戦功は誠に見事であったぞ!一体、どんな策を使ったのだ?」
オングリザは多数に囲まれて質問を浴びせられて困惑してしまった。
「いやっ・・・大したことはございませんな。強いて言えば・・・妹を愛する気持ち・・・ですかね?」
「・・・それが勝利の由来なのか?」
「ええっ、恐らくは・・・」
「・・・なるほど、不思議なことがあるもんだなっ・・・」
高官たちは半分くらいは納得したようだが、一方で腑に落ちない印象でもあった。まさか、敵将の王子と意見が一致したなんて、口が裂けても言えなかったから。
「それはそうと、王子様はまだ・・・いらっしゃらないのですかっ?」
オングリザが尋ねると、高官の1人がオングリザの肩をパンと叩いた。
「昨日何があったか、君も知っているな?」
「ええ、もちろんでございますとも。我が愛しき妹であるアリエッタと第一王子スミス様の盛大な婚約披露宴・・・ですよね?」
「その通り!さて、婚約披露宴の後はどうなるかというと・・・」
「一体どうなると言うのですか?まさか・・・」
「そのまさかだなっ、アリエッタ殿もこれで立派なレディーの仲間入りということだっ!」
「なるほど、それは家族総出でお祝いですなっ!」
オングリザは歓喜の雄叫びを上げた。
それからしばらくしてスミスが姿を現した。
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