5 / 15
5
本来であれば皇帝陛下との面会は予約が必要、でもお父様に関してはそんなものは不要でした。
お父様との接し方を間違えてしまいますと、大変なことになると、皇帝陛下自信も知っていたからなのです。
「お連れしなさい」
もちろん、皇帝陛下はすぐさま招き入れました。
「皇帝陛下、お久しぶりですね」
「これはこれは……ランドン公爵、お久しぶりですな……」
皇帝陛下は、どうしてお父様が押しかけてきたのか、その理由が分かりませんでした。
「どうして、私がここに来たのか、分かりませんかね???」
「ええ、さっぱり……」
「まあ、そうでしょうなあ。あなた様は皇帝陛下としてこの世界の安寧を保つ重要な働きをなさった……そして、その教えは語り継がれるはずだった……それなのに……」
皇帝陛下のほうがかえって恐縮するような感じになってしまいました。
「ひょっとして、ポワソンが何か仕出かしたのですか???」
「おやおや、流石は皇帝陛下……察しがいいですねえ……」
「それは……まことに恐縮ですが……」
「いいえ、あなた様が恐縮することはありません。なんといっても、私はあなた様のよき僕なのですから」
(よく言うよ。実質的にはお前の方が上手なのだから……)
皇帝陛下の心の声を耳にしたお父様は思わず笑いだしてしまいました。
「どうかしたのですか???」
その笑いを見ていると、当然のことながら皇帝陛下は困惑一色……もう大変でした。ひょっとして、お父様の機嫌を損ねてしまったのではないか……(心の中では随分と言っておりますけどね)と。
「いえいえ、まあその話は置いておいて。今日ですね、娘であるマリアが我が家に帰って来たんですよ」
「マリア殿が???どうして???」
「どうしてって……理由は一つしかないでしょう???」
蛇に睨まれた蛙のように……皇帝陛下はすっかり固まってしまいました。
「まままままさか!!!!」
「ええ、そのまさかですよ」
「なんてことだ……」
皇帝陛下は一気に力が抜けて、その場に座り込んでしまいました。
「どうして……そんなバカなことを……」
「ねえ、皇帝陛下。この落とし前はどうなさるおつもりですかい???」
お父様は皇帝陛下の元に近づきました。距離が縮まるほど、皇帝陛下の恐怖はどんどん増強していくようでした。
「どうすると言っても……ポワソンのやってしまったことを、私がどうできるかって……」
「あらあら、それはがっかりですね。あなたは父親として誤った方向に進もうとしているご子息を再び正しい方向に導く義務があるんじゃないですか???」
「そんなことを言われましても……」
「おやおや、それは無理だとおっしゃるのですか???それは残念ですねえ……」
お父様は一瞬案じました。すると……???
「大変だ!!!誰か来てくれ!!!!!」
ポワソン様の声が王宮内に響きわたりました。そして、皇帝陛下の部屋にそのまま入って来たのでした。
「ああ、ロバート。ポワソンを止めるんだ……」
お父様と皇帝陛下のやり取りを見物されると再び話が厄介になる……そう思った皇帝陛下はポワソン様が部屋に入って来るのを阻止しようとしました。でも、ポワソン様があまりにも勢いよく走ってくるため、ロバートが軽めに体当たりをしても、その動きを止めることはできませんでした。
「皇帝陛下!!!!!」
「今はお客様の対応をしているところだ!!!!!」
皇帝陛下は叫びましたが、ポワソン様は聞く耳を持ちませんでした。
「そんなことはどうでもいいのです!!!!!」
いやいや、どうでもいいわけないのですよ。皇帝陛下と客人が話をしている場に、いくら王子様とは言え、関係のない人間がのこのこと入って来るのは、非常に失礼なことでした。
「皇帝陛下、私の友人が死にました!!!!!」
ポワソン様はそう言いました。
「既に警察を手配、王宮の出入り口を封鎖しました!!!!!」
「だから……そんなことを一々報告する必要があるのか???」
皇帝陛下は呆れかえっておりました。王子様の友人が死ぬなんて、大した問題ではありませんでした。それ以上に、お父様と話をする方が何百倍も大切だったのです。
「犯人はまだこの王宮のどこかに隠れているのでしょう。探してきます!!!!!」
そう言って、再び部屋から出ていきました。再び静まり返って、皇帝陛下とお父様が対峙しました。
「騒がしくて申し訳ない……」
「いえいえ、いいご子息を持たれて幸せですな……」
お父様の言葉には十分な皮肉が込められておりました。
「ひょっとして……」
「ああ、皇帝陛下。話を続けましょうか」
「…………はいっ……」
皇帝陛下は薄々気が付いていたのかもしれません。お父様が案ずるだけで、人の命を吹き飛ばすくらい、容易いことでした。まあ、これが一つ、ポワソン様に対する復讐のつもりだったのでしょうか。本当、私にとってはどうでもいい話だったのですがね。
お父様との接し方を間違えてしまいますと、大変なことになると、皇帝陛下自信も知っていたからなのです。
「お連れしなさい」
もちろん、皇帝陛下はすぐさま招き入れました。
「皇帝陛下、お久しぶりですね」
「これはこれは……ランドン公爵、お久しぶりですな……」
皇帝陛下は、どうしてお父様が押しかけてきたのか、その理由が分かりませんでした。
「どうして、私がここに来たのか、分かりませんかね???」
「ええ、さっぱり……」
「まあ、そうでしょうなあ。あなた様は皇帝陛下としてこの世界の安寧を保つ重要な働きをなさった……そして、その教えは語り継がれるはずだった……それなのに……」
皇帝陛下のほうがかえって恐縮するような感じになってしまいました。
「ひょっとして、ポワソンが何か仕出かしたのですか???」
「おやおや、流石は皇帝陛下……察しがいいですねえ……」
「それは……まことに恐縮ですが……」
「いいえ、あなた様が恐縮することはありません。なんといっても、私はあなた様のよき僕なのですから」
(よく言うよ。実質的にはお前の方が上手なのだから……)
皇帝陛下の心の声を耳にしたお父様は思わず笑いだしてしまいました。
「どうかしたのですか???」
その笑いを見ていると、当然のことながら皇帝陛下は困惑一色……もう大変でした。ひょっとして、お父様の機嫌を損ねてしまったのではないか……(心の中では随分と言っておりますけどね)と。
「いえいえ、まあその話は置いておいて。今日ですね、娘であるマリアが我が家に帰って来たんですよ」
「マリア殿が???どうして???」
「どうしてって……理由は一つしかないでしょう???」
蛇に睨まれた蛙のように……皇帝陛下はすっかり固まってしまいました。
「まままままさか!!!!」
「ええ、そのまさかですよ」
「なんてことだ……」
皇帝陛下は一気に力が抜けて、その場に座り込んでしまいました。
「どうして……そんなバカなことを……」
「ねえ、皇帝陛下。この落とし前はどうなさるおつもりですかい???」
お父様は皇帝陛下の元に近づきました。距離が縮まるほど、皇帝陛下の恐怖はどんどん増強していくようでした。
「どうすると言っても……ポワソンのやってしまったことを、私がどうできるかって……」
「あらあら、それはがっかりですね。あなたは父親として誤った方向に進もうとしているご子息を再び正しい方向に導く義務があるんじゃないですか???」
「そんなことを言われましても……」
「おやおや、それは無理だとおっしゃるのですか???それは残念ですねえ……」
お父様は一瞬案じました。すると……???
「大変だ!!!誰か来てくれ!!!!!」
ポワソン様の声が王宮内に響きわたりました。そして、皇帝陛下の部屋にそのまま入って来たのでした。
「ああ、ロバート。ポワソンを止めるんだ……」
お父様と皇帝陛下のやり取りを見物されると再び話が厄介になる……そう思った皇帝陛下はポワソン様が部屋に入って来るのを阻止しようとしました。でも、ポワソン様があまりにも勢いよく走ってくるため、ロバートが軽めに体当たりをしても、その動きを止めることはできませんでした。
「皇帝陛下!!!!!」
「今はお客様の対応をしているところだ!!!!!」
皇帝陛下は叫びましたが、ポワソン様は聞く耳を持ちませんでした。
「そんなことはどうでもいいのです!!!!!」
いやいや、どうでもいいわけないのですよ。皇帝陛下と客人が話をしている場に、いくら王子様とは言え、関係のない人間がのこのこと入って来るのは、非常に失礼なことでした。
「皇帝陛下、私の友人が死にました!!!!!」
ポワソン様はそう言いました。
「既に警察を手配、王宮の出入り口を封鎖しました!!!!!」
「だから……そんなことを一々報告する必要があるのか???」
皇帝陛下は呆れかえっておりました。王子様の友人が死ぬなんて、大した問題ではありませんでした。それ以上に、お父様と話をする方が何百倍も大切だったのです。
「犯人はまだこの王宮のどこかに隠れているのでしょう。探してきます!!!!!」
そう言って、再び部屋から出ていきました。再び静まり返って、皇帝陛下とお父様が対峙しました。
「騒がしくて申し訳ない……」
「いえいえ、いいご子息を持たれて幸せですな……」
お父様の言葉には十分な皮肉が込められておりました。
「ひょっとして……」
「ああ、皇帝陛下。話を続けましょうか」
「…………はいっ……」
皇帝陛下は薄々気が付いていたのかもしれません。お父様が案ずるだけで、人の命を吹き飛ばすくらい、容易いことでした。まあ、これが一つ、ポワソン様に対する復讐のつもりだったのでしょうか。本当、私にとってはどうでもいい話だったのですがね。
あなたにおすすめの小説
学園は悪役令嬢に乗っ取られた!
こもろう
恋愛
王立魔法学園。その学園祭の初日の開会式で、事件は起こった。
第一王子アレクシスとその側近たち、そして彼らにエスコートされた男爵令嬢が壇上に立ち、高々とアレクシス王子と侯爵令嬢ユーフェミアの婚約を破棄すると告げたのだ。ユーフェミアを断罪しはじめる彼ら。しかしユーフェミアの方が上手だった?
悪役にされた令嬢が、王子たちにひたすらざまあ返しをするイベントが、今始まる。
登場人物に真っ当な人間はなし。ご都合主義展開。
「平民とでも結婚すれば?」と捨てられた令嬢、隣国の王太子に溺愛されてますが?
ゆっこ
恋愛
「……君との婚約は、ここで破棄させてもらう」
その言葉を、私は静かに受け止めた。
今から一時間前。私、セレナ・エヴァレットは、婚約者である王国第一王子リカルド・アルヴェイン殿下に、唐突に婚約破棄を言い渡された。
「急すぎますわね。何か私が問題を起こしましたか?」
「いや、そういうわけではない。ただ、君のような冷たい女性ではなく、もっと人の心を思いやれる優しい女性と生涯を共にしたいと考えただけだ」
そう言って、彼は隣に立つ金髪碧眼の令嬢に視線をやった。
婚約破棄?悪役令嬢の復讐は爆速で。
八雲
恋愛
「リリム・フォン・アスタロト! 貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの最中、婚約者である王太子エリオットから身に覚えのない罪を突きつけられた公爵令嬢リリム。隣には「真実の愛」を語るマシュマロ系男爵令嬢シャーリーの姿。
普通の令嬢なら泣き崩れる場面――だが、リリムは違った。
お前との婚約は、ここで破棄する!
もちもちほっぺ
恋愛
「公爵令嬢レティシア・フォン・エーデルシュタイン! お前との婚約は、ここで破棄する!」
華やかな舞踏会の中心で、第三王子アレクシス・ローゼンベルクがそう高らかに宣言した。
一瞬の静寂の後、会場がどよめく。
私は心の中でため息をついた。
「役立たず」と婚約破棄されたけれど、私の価値に気づいたのは国中であなた一人だけでしたね?
ゆっこ
恋愛
「――リリアーヌ、お前との婚約は今日限りで破棄する」
王城の謁見の間。高い天井に声が響いた。
そう告げたのは、私の婚約者である第二王子アレクシス殿下だった。
周囲の貴族たちがくすくすと笑うのが聞こえる。彼らは、殿下の隣に寄り添う美しい茶髪の令嬢――伯爵令嬢ミリアが勝ち誇ったように微笑んでいるのを見て、もうすべてを察していた。
「理由は……何でしょうか?」
私は静かに問う。
【完結】婚約破棄された悪役令嬢、元婚約者を裏で裁きます
音無響一
ファンタジー
王城の大広間で、リリアーナ・エルヴァルトは婚約者である王太子から一方的に婚約破棄を言い渡される。罪を捏造され、断罪され、国外追放。誰も味方のいない中、彼女は一切の弁明をせず静かに受け入れた。
だがその夜。
彼女は別の顔を持つ。
王都の闇で依頼を受け、悪を裁く裏稼業の元締め。
今度の標的は――自分を断罪した元婚約者。
婚約は終わった。だが清算はまだ終わっていない。
表では悪役令嬢。裏では裁く側。
これは、断罪された令嬢が王都の闇を静かに切り裂く物語。
悪役令嬢の断罪――え、いま婚約破棄と?聞こえませんでしたわ!
ちゃっぴー
恋愛
公爵令嬢アクア・ラズライトは、卒業パーティーの最中に婚約者であるジュリアス殿下から「悪役令嬢」として断罪を突きつけられる。普通なら泣き崩れるか激昂する場面――しかし、超合理的で節約家なアクアは違った。