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その9
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それから、顔を真っ赤にして俯いた。……あれ?思っていた反応と違います。もっと、こう、照れたり慌てたりすると思っていたのに、今の彼は落ち着いていて、いつも通りの様子に見える。……ということは、さっきのは聞き間違い?それとも冗談とか思われた……? そんなことを考えていると、フリッツ様が真剣な表情をしてこちらを見た。
「……レイチェル……もう一度言ってくれないか?」
……やっぱり、さっきの言葉は聞こえてたんだ。
「はい?何のことでしょうか?」
「惚けるつもりか。……だが、俺は許さないぞ」
「……どういう意味ですか」
「そのままの意味だ」
「……」
「……」……沈黙が続く。
何か言わないと。じゃないと変だと思われてしまう。
「……」
「……」
「……あの、フリッツ様」
「なんだ?」
「……わ、私は本気ですよ」勇気を振り絞って言う。……大丈夫だろうか。ちゃんと伝わったかな。
ドキドキしながら彼の返事を待つ。すると―――
「……っ!そ、そうか」と彼が呟くように言った後、パッと手を離した。……えっ、それだけ?私は拍子抜けする。
「……えっと、それだけ、ですか?」
「えっ、あっ、まぁ、その、なんだ、えーっと、お、俺も好きだ」
「!!!!!!!!!!!」
まさか両思いとは思わなかった。嬉しくなって思わず笑顔になる。
「……あー、その、なんだ、これからよろしく頼む」と言って彼は頭を掻いた。……可愛いかも。
私はそんなことを思って微笑んだ。
「……」
「……」
「あ、あのぉ~、フリッツ様、レティシアちゃん」
「……黙れ」
「あはは、ごめんなさい」……本当にすみませんでした。
「……おい、お前達、いつまでそこに居るつもりだ」
「「……(ギロッ)」」
「ひぃ!」
「……殿下」
「……フリッツ様」
「……なんだ」
「……少しだけ外に出ていてもらえませんか?」
「……わかった」
「……ありがとうございます」
「……ふん」そう言い残し、フリッツ様は部屋から出て行った。……これで、ようやく二人きりになれましたね。
「……それで、話というのはなんでしょう?」
「そうですね、単刀直入に申し上げますと、何故、私達が呼ばれたのか教えていただけないでしょうか?」……やっぱり聞かれたか。私は小さく溜息を吐き、「わかりました。全て話しましょう。ただし、他言無用でお願いしますよ。約束できますか?」そう念を押した後、「実は―――」と事の経緯を話し始めた。
「なるほど。そういうことだったんですね」
「はい。……それにしても、今回の件は私の落ち度でもあり、誠に申し訳ありませんでした」
「いえ、そのようなことはありません。悪いのは、私達に嫌がらせをした人達ですから」
「……レイチェルちゃんの言う通りだと思います。ただ、このまま何もしないというのも性に合いませんので、こちらとしては、今後、このようなことが起きないように対策を取るつもりです」
「具体的にはどのような方法で対処されるのですか?」
「はい。まずは、学園内の生徒達の意識改革を行います。それから、嫌がらせをした者達には然るべき処分を与えようと思っています」
「……な、なにか、凄く物騒なこと言ってる気がするんだけど……」
「ははは、気のせいです。……あ、あと、レイチェルちゃんにも協力してほしいことがあるのですが、よろしいですか?」
「は、はい。できることなら何でもやります」
「ふむ。では、早速なんですが……」……その後、話し合いの結果、エルマーさんの考えた計画を実行に移すことになった。
「……レイチェル……もう一度言ってくれないか?」
……やっぱり、さっきの言葉は聞こえてたんだ。
「はい?何のことでしょうか?」
「惚けるつもりか。……だが、俺は許さないぞ」
「……どういう意味ですか」
「そのままの意味だ」
「……」
「……」……沈黙が続く。
何か言わないと。じゃないと変だと思われてしまう。
「……」
「……」
「……あの、フリッツ様」
「なんだ?」
「……わ、私は本気ですよ」勇気を振り絞って言う。……大丈夫だろうか。ちゃんと伝わったかな。
ドキドキしながら彼の返事を待つ。すると―――
「……っ!そ、そうか」と彼が呟くように言った後、パッと手を離した。……えっ、それだけ?私は拍子抜けする。
「……えっと、それだけ、ですか?」
「えっ、あっ、まぁ、その、なんだ、えーっと、お、俺も好きだ」
「!!!!!!!!!!!」
まさか両思いとは思わなかった。嬉しくなって思わず笑顔になる。
「……あー、その、なんだ、これからよろしく頼む」と言って彼は頭を掻いた。……可愛いかも。
私はそんなことを思って微笑んだ。
「……」
「……」
「あ、あのぉ~、フリッツ様、レティシアちゃん」
「……黙れ」
「あはは、ごめんなさい」……本当にすみませんでした。
「……おい、お前達、いつまでそこに居るつもりだ」
「「……(ギロッ)」」
「ひぃ!」
「……殿下」
「……フリッツ様」
「……なんだ」
「……少しだけ外に出ていてもらえませんか?」
「……わかった」
「……ありがとうございます」
「……ふん」そう言い残し、フリッツ様は部屋から出て行った。……これで、ようやく二人きりになれましたね。
「……それで、話というのはなんでしょう?」
「そうですね、単刀直入に申し上げますと、何故、私達が呼ばれたのか教えていただけないでしょうか?」……やっぱり聞かれたか。私は小さく溜息を吐き、「わかりました。全て話しましょう。ただし、他言無用でお願いしますよ。約束できますか?」そう念を押した後、「実は―――」と事の経緯を話し始めた。
「なるほど。そういうことだったんですね」
「はい。……それにしても、今回の件は私の落ち度でもあり、誠に申し訳ありませんでした」
「いえ、そのようなことはありません。悪いのは、私達に嫌がらせをした人達ですから」
「……レイチェルちゃんの言う通りだと思います。ただ、このまま何もしないというのも性に合いませんので、こちらとしては、今後、このようなことが起きないように対策を取るつもりです」
「具体的にはどのような方法で対処されるのですか?」
「はい。まずは、学園内の生徒達の意識改革を行います。それから、嫌がらせをした者達には然るべき処分を与えようと思っています」
「……な、なにか、凄く物騒なこと言ってる気がするんだけど……」
「ははは、気のせいです。……あ、あと、レイチェルちゃんにも協力してほしいことがあるのですが、よろしいですか?」
「は、はい。できることなら何でもやります」
「ふむ。では、早速なんですが……」……その後、話し合いの結果、エルマーさんの考えた計画を実行に移すことになった。
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