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「まあ、とりあえずは元気そうで何よりだ……」
薬師は言いました。
「ありがとうございます」
私は丁重に挨拶をしました。
「多少の違和感は感じるかもしれないが…概ね問題ないだろう。さあ、君にはまだやり残した仕事がたくさんあるんだろうから……精進しなさい……」
薬師は言いました。やり残した仕事……よく分かりませんでしたが、とにかく家に帰ろうと思いました。
「本当にありがとうございました」
私はもう一度挨拶をして医務室を出ました。
「上手くやってくれたまえ……私が生み出した修正プログラムの効果は……」
とりあえずあの事件が起きた廊下に戻りました。家に帰るためには、まず王宮から出ないといけないのです。出口に通じる長い廊下を歩いておりました。そうすると、行き交う人々が再び私を見て、ひそひそと噂話を始めました。
「あの女、どこかで見たことがあるなあ……」
「確か……ランゲルハンス様を殺した女じゃないかしら???」
「ああ、そうだ。ランゲルハンス様を誑かした女よ!!!」
ランゲルハンス様を誑かして殺した???私が???そんなわけありませんのです。
「確か……名前はマリアと言ったか……」
ええ、まさしく私は公爵令嬢のマリアでございます。
「まだ生きていたのか……。それにしても、ランゲルハンス様は非常に可哀想なお方だったな……」
みんなが言いました。可哀想……ああ、確かに巷では名君と祀り上げられておりますからね。あの方は。
実際のところ、それほど名君なのか……いいえ、とんでもありません。誰が彼を名君だと言うのでしょうか???
私は言いません!!!!!絶対に!!!!!
「ああ、マリア君……」
そして、背後から聞き慣れた声が……人々は私たちを避け始めました。振り返るとそこには顔なじみの姿がありました!!!!!
「皇帝陛下!!!!!」
「ああ、久しぶりだなあ……」
随分と悲しそうな顔をしていらっしゃいました。
「どうされたのですか???」
「ああ、実を言うとランゲルハンスの件なのだが……」
またまたランゲルハンス様のお話……正直なところ、私にはもう関係のない話なのですが……。
「いかがいたしましたか???」
「ああ、実を言うとだな……ランゲルハンスは不治の病におかされているんだ……」
「不治の病ですって???」
「ああ、そうなんだ……」
人々はブツブツ言いだしました。
「マリアが毒を盛ったに違いない……」
ああ、それで理解できました。だから、みんな、私がランゲルハンス様を殺したと噂しているのですね。
でもね、ちょっと待った!!!!私は今の今まで眠っていたわけですからね。ランゲルハンス様に毒を盛るなんてことはできないのです!!!!!
つまり、私は犯人じゃない、この一件については関係ない!!!!!
以上……この件を皇帝陛下に伝えれば話は終わりだと思いました。そんなことよりも早く、私は家に戻らないといけないと思いました。誰よりもお父様が私のことを心配なさっているはずなんです。婚約破棄されてしまった娘の身の振りについて……修道院送りになるのか、知り合いの貴族がいる辺境に送られることになるのか……。
「ランゲルハンスを助けたい……是非とも力をかしてほしいんだ……」
「力をかす……私がですか???あの、皇帝陛下。私にランゲルハンス様を治す能力など、全く持ち合わせておりませんが…………」
「ああ、そんなことは分かっている。君に治療してほしいと言っているわけではない。君の傷を癒した最高レベルの薬師……サイクリック様にヘルプを要請いただきたいのだ……」
「サイクリック様……あのお方はサイクリック様と言うのですか」
私の傷を癒してくれた最高の薬師にして最高の魔法使い……サイクリック様。
彼はまだ医務室にいるはずでした。それにしても、どうして皇帝陛下から直接依頼しないのでしょうか。
薬師は言いました。
「ありがとうございます」
私は丁重に挨拶をしました。
「多少の違和感は感じるかもしれないが…概ね問題ないだろう。さあ、君にはまだやり残した仕事がたくさんあるんだろうから……精進しなさい……」
薬師は言いました。やり残した仕事……よく分かりませんでしたが、とにかく家に帰ろうと思いました。
「本当にありがとうございました」
私はもう一度挨拶をして医務室を出ました。
「上手くやってくれたまえ……私が生み出した修正プログラムの効果は……」
とりあえずあの事件が起きた廊下に戻りました。家に帰るためには、まず王宮から出ないといけないのです。出口に通じる長い廊下を歩いておりました。そうすると、行き交う人々が再び私を見て、ひそひそと噂話を始めました。
「あの女、どこかで見たことがあるなあ……」
「確か……ランゲルハンス様を殺した女じゃないかしら???」
「ああ、そうだ。ランゲルハンス様を誑かした女よ!!!」
ランゲルハンス様を誑かして殺した???私が???そんなわけありませんのです。
「確か……名前はマリアと言ったか……」
ええ、まさしく私は公爵令嬢のマリアでございます。
「まだ生きていたのか……。それにしても、ランゲルハンス様は非常に可哀想なお方だったな……」
みんなが言いました。可哀想……ああ、確かに巷では名君と祀り上げられておりますからね。あの方は。
実際のところ、それほど名君なのか……いいえ、とんでもありません。誰が彼を名君だと言うのでしょうか???
私は言いません!!!!!絶対に!!!!!
「ああ、マリア君……」
そして、背後から聞き慣れた声が……人々は私たちを避け始めました。振り返るとそこには顔なじみの姿がありました!!!!!
「皇帝陛下!!!!!」
「ああ、久しぶりだなあ……」
随分と悲しそうな顔をしていらっしゃいました。
「どうされたのですか???」
「ああ、実を言うとランゲルハンスの件なのだが……」
またまたランゲルハンス様のお話……正直なところ、私にはもう関係のない話なのですが……。
「いかがいたしましたか???」
「ああ、実を言うとだな……ランゲルハンスは不治の病におかされているんだ……」
「不治の病ですって???」
「ああ、そうなんだ……」
人々はブツブツ言いだしました。
「マリアが毒を盛ったに違いない……」
ああ、それで理解できました。だから、みんな、私がランゲルハンス様を殺したと噂しているのですね。
でもね、ちょっと待った!!!!私は今の今まで眠っていたわけですからね。ランゲルハンス様に毒を盛るなんてことはできないのです!!!!!
つまり、私は犯人じゃない、この一件については関係ない!!!!!
以上……この件を皇帝陛下に伝えれば話は終わりだと思いました。そんなことよりも早く、私は家に戻らないといけないと思いました。誰よりもお父様が私のことを心配なさっているはずなんです。婚約破棄されてしまった娘の身の振りについて……修道院送りになるのか、知り合いの貴族がいる辺境に送られることになるのか……。
「ランゲルハンスを助けたい……是非とも力をかしてほしいんだ……」
「力をかす……私がですか???あの、皇帝陛下。私にランゲルハンス様を治す能力など、全く持ち合わせておりませんが…………」
「ああ、そんなことは分かっている。君に治療してほしいと言っているわけではない。君の傷を癒した最高レベルの薬師……サイクリック様にヘルプを要請いただきたいのだ……」
「サイクリック様……あのお方はサイクリック様と言うのですか」
私の傷を癒してくれた最高の薬師にして最高の魔法使い……サイクリック様。
彼はまだ医務室にいるはずでした。それにしても、どうして皇帝陛下から直接依頼しないのでしょうか。
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