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これにはさすがのランゲルハンス様も驚きのようでした。

「どうして……マリアの名前がいまさら出てくるんだ???」

まあ、不思議に思うのも仕方のないことだったはず……ですね。

「おやおや、不思議ですか???私どもにとってみれば、これは非常にナチュラルなイベントであると考えるわけですが……」

「いやいや、どう考えても不自然だろう……」

ランゲルハンス様も言いました。

「どうしてですか???」

「どうしてですかって……王子であるこの私を差し置いて、あの女がどうして世界を統治することになるんだ???」

ランゲルハンス様は多少の怒りが盛り上がってきて、病気のことを忘れているようでした。

「でもね、あなたは私がばらまいた不治の病に侵されて死んでいくんですよ???」

私がこう言いますと、ランゲルハンス様はすぐさま我に返ったようでした。

「ああ、そうだった!!!」

「いまさら遅いですけどね……。それに、マリア様ほど適任な方は他にいらっしゃらないと考えます」

「どうしてそう思うんだ???」

「彼女ほど他人のことをよく考える方はいません。あなた様やエリザベートのような方にはそう言う精神が全くないわけでしょう???」

「なるほど……って、そんなわけないでしょう!!!」

エリザベートはムキになっておりました。

「ほらほら、あなたも病気なんだから安静にしていないと……私はあなたたちを殺すつもりでやっているんですからね。もっと病人らしくしてくれないと……」

女がこう言いますと、二人とも戻ってしまいました。

「あと……その病を治すためにはね、特別な魔法を持った薬師様のお力添えが不可欠なんですよ」

女がこう言いますと、ランゲルハンス様はすぐさま女に飛びつきました。

「その薬師を……すぐに連れてきてくれ!!!」

「言うと思っていました。でもね、薬師はどうも反対みたいなんですよ」


「どうしてだ???」

「だから、何度も言っているでしょう???あなた様はもう必要のない人間……必要のない人間は救わないのですよ……」

「ウソだ……そんな訳ない!!!」

ランゲルハンス様は叫びました。

「そんな訳ないんだ……」

ある程度悟っているようでした。

さあ、もうそろそろ私の出番でしょうか???
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