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不在

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「王子様……」

私の婚約者である王子様は今日も不在……どこに行ったのでしょうか???

「お嬢様……どうぞ、身体を休めてください……」

そう言われて、今日も執事から薬を貰います。

「カレン、私は君のことを愛しているんだ」

「王子様!!!!でも、そのあなた様は一体どこにいらっしゃるのでしょうか???」

「それは……言えないお約束になっているのだ……」

「ああ、王子様、待ってください!!!!私を置いていかないでください!!!王子様!!!!」


さあ、今日も王子様を見失ってしまいました。

「お嬢様、どうぞ、落ち着いてください……」

そう言われて、今日もまた、執事から薬を貰います。

ええ、安心できるんです。王子様が時々帰って来てくれるような……でも、それは私が眠りについている時の話。私が目を覚ますと、そこに王子様の姿はもうないのです。

ああ、早く夢が覚めてしまって、王子様を抱きしめればいいのに……でも、私は一生身体を動かすことができないのです。ですから……もう仕方がありませんね……。

さあ、今日も眠りにつく時間です。

また、王子様が私のお膝元にゆっくりとやって来るのです……。



「あの小娘は今日も寝ているか???」

「はい、旦那様の言いつけの通りに……」

「そうかそうか、それならばいいんだ。全く……どうしたものかね……」



私は今日も王子様が来るのを待っております。

ああ、なんとなく王子様の声が遠くから聞こえてきました!!!!


「王子様!!!!!」

私は思わず手を振ってお迎えしたのです。そしたら、王子様は一瞬だけ、振り向いてくれました!!!!!




「全く、つくづく、バカな娘だと思うよ」

「この世界の過ちですな……」

「その通りだな……」



私の物語が今日もスタートしました!!!!
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