婚約計器～幼馴染のウソ～

幼馴染

「僕のこと好きかい？？？」

「ええ、好きだと思う」

「だったら、僕と婚約してくれる？？？」

「ええ、いいわよ」

「本当かい？？？」

私は彼がどれほど婚約に本気なのか、全て分かってしまうのだ。

彼が相手かまわず婚約したい理由……婚約して、この世界で認めてもらうため？？？

彼が本気で私のことを愛していないことは分かっている。

でも、敢えて騙されたふりをするのも、面白いかもしれない。

どのみち、私がこの世界を一人で生きていくことはできない。

私こそ、早くこの世界で婚約者を見つけないと、灰になってしまうのだから。

幼馴染で、彼のことは一応知っている。だから……。

ああ、でも考えてみれば、彼は色々小難しいのだ。例えば、私が可愛い鳥を見つけたら、彼は頭がいいことをひけらかすために説教を始めて……そう言う態度が気に食わない。

確かに利口なのだが……彼は自分一人で生活することはできないのだ。自分で力を作ることはできるが、利用することはできない。端的に言えば不器用なのだ。

そう、彼には支えが必要なのだ。私ならば、仕方ないけどそれくらいはできるかもしれない。

そして、私は彼に養ってもらえばいい……。ああ、そういう人生だったら、別に悪くはないかもしれないね。

「君の愛は……そこはかとなく大きいんだね？？？」

「何か言った？？？」

「ううん、別に……」

彼はいつでも私のことを嫌いになれるように笑っている。

そんな彼に仕方なく、私は付き合うことになるのだろうか？？？

「末永くよろしく頼むよ？？？」

「ええ、こちらこそ……」


まあ、私が何を言っても、こんなものなのだろう。

だから、私は自分に与えられた人生を歩むしかないのだ。


好きって感情を知る日までは。