元婚約者を妹に寝取られて~いちいち突っ込んでくるな!~

岡暁舟

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その10

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もういい。本当にもういいと思っている。

どうなったって、もう知らない。

ただ、ひとつだけ分かったことがある。

元王子であるハリスは意外と強引だった。

「君は確かに強い。でもこうやって……唇を塞いであげて、体を拘束すれば普通の女の子になるんだ」

本気になれば、拘束を解くことなんて簡単にできた。でも、たまには男に抱かれるのもいいと思った。


「君が私のことを愛してくれれば……私は嬉しいだろう……」

ハリスは泣きながらそう言った。

「ちょっと、一体どうしたんですか?」

「過ちを悔いていたんだ。君よりもはるかに美しいローズを好きになってしまったこと、そして、それは身の丈に合わない恋だったということ。挙げ句の果てに……彼女は反乱分子だったということ。私は全て、あの女に騙されて、全てを失った」

「つまり、私はローズの代わりだということですね?」

ハリスは慌てて、

「そんなことはない!」

と弁明した。しかし、マリーは信じなかった。

「いい性格してますよ。あなたは私と違って嘘をつけない。だから、ローズに騙されるんですね」

愛なんてものは、形がない。だから、一概には定義することはできない。男を信じていいのか悪いのか、そんなこともわからない。ただ、今までの経験からすると、もうそろそろ狩りだけをする生活と言うものには飽きた。だから、嘘でもいいから誰かに愛されてみるのも悪くは無いと思った。

「だったら、早く私を孕ませてくださいよ?」

「……なんだって?」

「あなたの燃えたぎる子種を、私のお腹に注いでください、と申し上げているのです!」

「マリーさん……それはちょっと……」

「愛してるって言ったじゃないですか?それは全部嘘なんですか?」

マリーは調子を取り戻した。体に巻きついた鎖を力づくでぶっ壊し、狩のようにハリスを捕まえた。

「私の方こそ、逃がしませんよ。浮気なんてしたら、許しませんからね?後、これからは夜のお勤めに精を出してくださいね?」

「……善処いたします……」

「さあさあ……」

今度はマリーがハリスの唇を塞いだ。

「末長くよろしくお願いしますね」

「こちらこそ……」

強靭な妻マリーと、多少キザで軟弱なハリスの生活が始まろうとしていた。国が滅びようが、ローズが天下を取ろうが、マリーには大して興味なかった。いつか、もう一度狩をしたくなったら、ハリスの面を提げて国王にでもなろう、と考えた。






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