王子様、あなたの不貞を私は知っております

岡暁舟

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それからというもの、エミリーを中心とした熱血マナー講義が始まりました。正直あれほど窮屈を感じた日々というのは、いままでなかったと思います。

「クレア様!!!そのスプーンの持ち方は何ですか!!!」

一番注意されたのは、食器の持ち方でした。

「だって……指が短いから、こうやって持った方が楽なんだよ……」

「そんな庶民みたいな持ち方、恥ずかしいですからすぐにおやめなさい!!!」

「いまさら無理でしょう。これで慣れてるんだから……」

「ですから、あと一週間で矯正するんです!!!」

「矯正するって言っても……」

エミリーの目は怖かった……だから、私は仕方なく彼女の教えを守ることにしました。

「布団のたたみかた、何ですか、そのへんてこりんなやり方は!!!」

寝具の整え方、こんなものは実際王宮に入ってしまうと、自分で行うことなんてほとんどないと思いました。でも、ずっと注意されました。

「胡坐をかかない!!!どうして、そんな下品な座り方をするんですか!!!」

「だって、この方が楽でしょう???」

「楽とかそういう問題ではありません!!!行儀が悪いと申し上げているんです!!!」

「そんなことないでしょう。もう習慣になっているんだから、いまさら直すと言っても無理だよう……」

「そんなことでどうするんですか!!!」

エミリーの授業は続きました。まあ、人間の習性をたかだか一週間で根本的に変えることなんて出来ないのでしょうが、それでも少しは変わったのだと思います。というか、エミリーに指摘されずに、自分のやり方で王宮に突撃したら、恥をかくことになったでしょう。その点、エミリーには感謝しているわけなのです。


*****************************


さて、あっという間の一週間が経過しました。第一王子のアンソニー様が迎えにやって来る日……そのまま婚約披露宴となるわけですから、私は既にドレスの準備を整えておりました。

「やっぱり、綺麗だ……」

久々のドレス姿を見たお父様は勘当しておりました。純白に身を包み、胸元が多少空いていたり、お尻のラインを多少強調してみたりと、性的にアンソニー様の心を弄ぶことが出来たら……なんて悪魔みたいなことを考えながら、彼らの到着を待っておりました。

やがて、王族の来訪を知らせるラッパの音色があたりに響きました。

「いよいよいらっしゃったぞ……」

正直、私よりも両親と、メイドであるエミリーの方が緊張していたみたいでした。私はまあ……どのみちこの後の人生はなるようにしかならないと考えておりましたから、特別緊張なんてしませんでした。まあ、このまま誰とも婚約しないわけにはいかないから、そろそろ婚活するか、なんて考えていた矢先のことで、こんな感じに決まってしまうのは確かに意外ではありましたが……。
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