愛され南田くんは、寂しがり屋の甘えたです 〜無自覚甘えたが止まりません〜

葉月

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指輪 ③

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 卓からの電話があって5分後。
 全速力で走ってきただろう卓が、息を切らしながら優斗のそばまでやってきた。
 息を整え、卓は優斗の顔を覗きこむ。
 卓の顔を見て、優斗はまた泣きそうになる。
「どうした?なにがあった?」
「…」
 俯き、奥歯を噛みしめ、涙を堪え、何も言えなくなってる優斗の頭を、卓は優しく撫でると、
「とりあえず、どこか個室のある店にはいるか」
 優斗の手を取ると歩き出した。


 はじめは居酒屋の個室で話をしようとした卓だったが、休み前の夜ということもあり個室の空きがなかった。
 そこで卓は兄が働いているバーの従業員の休憩、仮眠用に用意されている別室を借りることにした。

「……」
「……」
 部屋に通されて、ソファーに座った2人の間に沈黙が流れる。
 どうやら卓は、優斗から話始めるまで、静かに待つようだ。
「……。胸がモヤモヤするから、うまく話せないかもしれないけど…」
「いいよ」
「ただ愚痴かもしれないけど…」
「いいよ」
「……」
「……」
 優斗は鼻から息を吸い込み、ふぅ~っと口から息を吐き出す。
「あのね……」
 優斗は健とデートの時に優美に偶然で会い『優美ちゃん』と呼んでいたこと、優美が『彼氏とヨリを戻すのは、優美ちゃんしだいなんじゃない?』と話していたこと。
 健と一緒に住み出したこと。
 食器棚の奥にあった、イニシャル入りのマグカップのこと。
 そのカップは自分の物ではなく、ひび割れを直し、誰かが大切に使っていた形跡があること。
 健の実家を訪ねた時、斗真は優美のことを『優美お姉ちゃん』と言い、懐いていたこと。
 そして…、
「斗真くん、健と有馬さんがジュエリーショップで一緒にいたところを…見たって…」
「!!!」
 優斗の目に涙が溜まる。
「今日、健と有馬さんが一緒にカフェにいるところ見ちゃって……」
 溜まっていた涙が溢れ出し、優斗の頬を伝う。
「有馬さん、左手の薬指に…、指輪、してたんだ……」
 先ほど見た、有馬と健の姿が思い出される。
 ぎゅっと胸が締め付けられ、優斗は胸元の服をぐしゃりと握りしめた。
「きっと、2人で見に行って選んだ指輪を、健は有馬さんに渡したんだ。俺、健と一緒にいて不安なことあったけど、健は俺のこと好きだって信じてた。でも……、違ったんだ…」
 涙を見られないようにと、優斗は俯き涙を堪える。
 それでも流れる涙の雫は、優斗のズボンに落ちていき、涙の跡を残した。
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