77 / 202
山﨑晴人 ④
しおりを挟む
「威嚇されたかな?」
やれやれと言いながら、晴人の向かいに昴は座る。
「落ち着いたか…って、落ち着くはずないか」
晴人の腕組みをした手が、イライラと小刻みに腕を叩いている。
「晴人、もう一度聞くけど、さっきの子が瑞稀くん?」
「はい、そうです」
「そっか……」
昴は大きくため息をつく。
瑞稀は晴人の元を去る時、晴人のスマホのアルバムの中で瑞稀が写っている写真を全て消していたため、昴は瑞稀の顔を知らない。
「ここで瑞稀くんが働いてたのは……知らなかったよな?」
「知ってたらもっと前に会いに行ってます」
ぶっきらぼうに晴人は答える。
ますます苛立っているようだ。
「だろうな。さて、これからどうするか……」
昴は腕組みをして、う~んと考え込む。
「晴人、これから瑞稀くんとどうしたいんだ?」
「それは……」
どうしたいか?と聞かれて、言葉が詰まった。
瑞稀がいなくなってから、ずっと瑞稀のことを探し続けていた。
ー瑞稀さえ見つけられれば……ー
そればかり考えていた。
だから見つかった今、どうしたいか?と聞かれても、咄嗟に何がしたいのか思いもつかなかい。
それでも、
「話がしたいです」
「話?」
「今まで、どこにいたのか? 誰といたのか? 俺がどれだけ探したのか……」
言い出したら、聞きたいことだらけだ。
どうして急にいなくなった?
なにが原因なのか?
「俺たち、うまくいっていたのに……」
うまくいっている。
そう思っていたのは晴人だけだったのなら、どうして言ってくれなかったんだ?
『なぜ?』『どうして?』が溢れてくる。
「そ浮かぶ。じゃあさ、それ聞いて、晴人はどうしたい?」
昴はまた同じような質問をする。
「どうしたいって……どうしたいって……」
昴に聞かれて、晴人はまた答えに詰まる。
そんなのわからない。
瑞稀がどうして急にいなくなったのかもわからないのに、その先どうしたいなんて、わかるはずがない。
「今さっき会ったばかりなのに、どうしたいなんてわからないです」
わからないから、わからない。晴人はそう答えたのに、
「じゃあさ、もし瑞稀くんに次会ったとしよう。その時、瑞稀くんが晴人が思ってた答えと違うことを答えたら、お前は今のように棘のある言い方をするのか?」
冷静に昴に指摘された。
「いつもの冷静な晴人はどうした? すぐ目の前の感情に流されるな」
「……」
「ずっと会いたかったんだろ? 一度はもう会えないと諦めかけたんだろ? それが今日、再会できたんだ。もっと喜べ」
怒鳴りつけられるより、よっぽど昴の言葉が身に染みる。
やれやれと言いながら、晴人の向かいに昴は座る。
「落ち着いたか…って、落ち着くはずないか」
晴人の腕組みをした手が、イライラと小刻みに腕を叩いている。
「晴人、もう一度聞くけど、さっきの子が瑞稀くん?」
「はい、そうです」
「そっか……」
昴は大きくため息をつく。
瑞稀は晴人の元を去る時、晴人のスマホのアルバムの中で瑞稀が写っている写真を全て消していたため、昴は瑞稀の顔を知らない。
「ここで瑞稀くんが働いてたのは……知らなかったよな?」
「知ってたらもっと前に会いに行ってます」
ぶっきらぼうに晴人は答える。
ますます苛立っているようだ。
「だろうな。さて、これからどうするか……」
昴は腕組みをして、う~んと考え込む。
「晴人、これから瑞稀くんとどうしたいんだ?」
「それは……」
どうしたいか?と聞かれて、言葉が詰まった。
瑞稀がいなくなってから、ずっと瑞稀のことを探し続けていた。
ー瑞稀さえ見つけられれば……ー
そればかり考えていた。
だから見つかった今、どうしたいか?と聞かれても、咄嗟に何がしたいのか思いもつかなかい。
それでも、
「話がしたいです」
「話?」
「今まで、どこにいたのか? 誰といたのか? 俺がどれだけ探したのか……」
言い出したら、聞きたいことだらけだ。
どうして急にいなくなった?
なにが原因なのか?
「俺たち、うまくいっていたのに……」
うまくいっている。
そう思っていたのは晴人だけだったのなら、どうして言ってくれなかったんだ?
『なぜ?』『どうして?』が溢れてくる。
「そ浮かぶ。じゃあさ、それ聞いて、晴人はどうしたい?」
昴はまた同じような質問をする。
「どうしたいって……どうしたいって……」
昴に聞かれて、晴人はまた答えに詰まる。
そんなのわからない。
瑞稀がどうして急にいなくなったのかもわからないのに、その先どうしたいなんて、わかるはずがない。
「今さっき会ったばかりなのに、どうしたいなんてわからないです」
わからないから、わからない。晴人はそう答えたのに、
「じゃあさ、もし瑞稀くんに次会ったとしよう。その時、瑞稀くんが晴人が思ってた答えと違うことを答えたら、お前は今のように棘のある言い方をするのか?」
冷静に昴に指摘された。
「いつもの冷静な晴人はどうした? すぐ目の前の感情に流されるな」
「……」
「ずっと会いたかったんだろ? 一度はもう会えないと諦めかけたんだろ? それが今日、再会できたんだ。もっと喜べ」
怒鳴りつけられるより、よっぽど昴の言葉が身に染みる。
52
あなたにおすすめの小説
『聖クロノア学院恋愛譚 』記憶を失ったベータと王族アルファ、封印された過去が愛を試すまで
るみ乃。
BL
聖クロノア学院で、記憶と感情が静かに交差する。
「君の中の、まだ知らない“俺”に、触れたかった」
記憶を失ったベータの少年・ユリス。
彼の前に現れたのは、王族の血を引くアルファ・レオンだった。
封じられた記憶。
拭いきれない心の傷。
噛み合わない言葉と、すれ違う想い。
謎に包まれた聖クロノア学院のなかで、
ふたりの距離は、近づいては揺れ、また離れていく。
触れたいのに、触れられない。
心を開けば、過去が崩れてしまう。
それでも彼らは、確かめずにはいられなかった。
――やがて、学院の奥底に眠る真実が、静かに目を覚ます。
過去と向き合い、誰かと繋がることでしか見えない未来がある。
許し、選びなおし、そしてささやかな祈り。
孤独だった少年たちは、いつしか「願い」を知っていく。
これは、ふたりの愛の物語であると同時に、
誰かの傷が、誰かの救いへと変わっていく物語。
運命に抗うのは、誰か。
未来を選ぶのは、誰なのか。
優しさと痛みが交差する場所で、物語は紡がれる。
トップアイドルα様は平凡βを運命にする【完】
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。 ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。 翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。 運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
オメガの僕が、最後に恋をした騎士は冷酷すぎる
虹湖🌈
BL
死にたかった僕を、生かしたのは――あなたの声だった。
滅びかけた未来。
最後のオメガとして、僕=アキは研究施設に閉じ込められていた。
「資源」「道具」――そんな呼び方しかされず、生きる意味なんてないと思っていた。
けれど。
血にまみれたアルファ騎士・レオンが、僕の名前を呼んだ瞬間――世界が変わった。
冷酷すぎる彼に守られて、逃げて、傷ついて。
それでも、彼と一緒なら「生きたい」と思える。
終末世界で芽生える、究極のバディ愛×オメガバース。
命を懸けた恋が、絶望の世界に希望を灯す。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
白銀オメガに草原で愛を
phyr
BL
草原の国ヨラガンのユクガは、攻め落とした城の隠し部屋で美しいオメガの子どもを見つけた。
己の年も、名前も、昼と夜の区別も知らずに生きてきたらしい彼を置いていけず、連れ帰ってともに暮らすことになる。
「私は、ユクガ様のお嫁さんになりたいです」
「ヒートが来るようになったとき、まだお前にその気があったらな」
キアラと名づけた少年と暮らすうちにユクガにも情が芽生えるが、キアラには自分も知らない大きな秘密があって……。
無意識溺愛系アルファ×一途で健気なオメガ
※このお話はムーンライトノベルズ様にも掲載しています
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
【運命】に捨てられ捨てたΩ
あまやどり
BL
「拓海さん、ごめんなさい」
秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。
「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」
秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。
【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。
なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。
右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。
前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。
※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。
縦読みを推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる