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愛おしいということは、愛しているということは 〜内藤昴 スピンオフ〜
手当て
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静か部屋に戻ると、外はもう日がかけ始めていた。
いつもは2人して言っていた「ただいま」は言わず、ダイニングに入る。
「ちょっとそこに座ってろ」
鈴木をソファーに座らせると、部屋の奥から救急箱を取り出してきて、俺は鈴木の隣に座った。
「それ、痛かったな」
白い肌の鈴木の両手首には長野に捕まれた時にできた、赤いあざができていた。
そっと触ると熱を持っている。
救急箱から湿布を出して鈴木の細い両手首に貼る。
「他に痛いところはないか?」
「はい」
鈴木はそう答えたが、左の頬が赤く腫れていた。
「ここ……」
俺が触れると鈴木はビクリとする。
「殴られたのか?」
鈴木がこくりと頷く。
手もあげていたなんて!
長野に対する怒りが込み上げてくる。
「こんな思いさせて、悪かった」
「いえ、これは俺が勝手にしたことですから、副社長は何も悪くないです」
鈴木が俺の手の上に、自分の手を重ねる。
今ままでは気づかなかった鈴木の手は、柔らかくて指は細かった。
「副社長の手は冷たくて気持ちいいです」
鈴木がそっと目を閉じる。
俺は動けなくなった。
黒く長いまつ毛、すっと通った鼻、俺の手の掌の中にすっぱりとおさまってしまいそうな小さく端正な顔、それに、少し艶のある唇。
俺は吸い込まれるように鈴木に近づく。
顔と顔が近づき、お互いの呼吸がかかる。
まだ鈴木は目を開けない。
鼻と鼻が擦れ、あと1ミリほどで唇と唇が触れそうになった時、
ーピリリリ ピリリリー
俺のスマホがなった。
!
ハッと我に帰り鈴木から体を離す。
俺はなんてことを……。
「悪い……」
そう言い残し、俺は自室に戻った。
いつもは2人して言っていた「ただいま」は言わず、ダイニングに入る。
「ちょっとそこに座ってろ」
鈴木をソファーに座らせると、部屋の奥から救急箱を取り出してきて、俺は鈴木の隣に座った。
「それ、痛かったな」
白い肌の鈴木の両手首には長野に捕まれた時にできた、赤いあざができていた。
そっと触ると熱を持っている。
救急箱から湿布を出して鈴木の細い両手首に貼る。
「他に痛いところはないか?」
「はい」
鈴木はそう答えたが、左の頬が赤く腫れていた。
「ここ……」
俺が触れると鈴木はビクリとする。
「殴られたのか?」
鈴木がこくりと頷く。
手もあげていたなんて!
長野に対する怒りが込み上げてくる。
「こんな思いさせて、悪かった」
「いえ、これは俺が勝手にしたことですから、副社長は何も悪くないです」
鈴木が俺の手の上に、自分の手を重ねる。
今ままでは気づかなかった鈴木の手は、柔らかくて指は細かった。
「副社長の手は冷たくて気持ちいいです」
鈴木がそっと目を閉じる。
俺は動けなくなった。
黒く長いまつ毛、すっと通った鼻、俺の手の掌の中にすっぱりとおさまってしまいそうな小さく端正な顔、それに、少し艶のある唇。
俺は吸い込まれるように鈴木に近づく。
顔と顔が近づき、お互いの呼吸がかかる。
まだ鈴木は目を開けない。
鼻と鼻が擦れ、あと1ミリほどで唇と唇が触れそうになった時、
ーピリリリ ピリリリー
俺のスマホがなった。
!
ハッと我に帰り鈴木から体を離す。
俺はなんてことを……。
「悪い……」
そう言い残し、俺は自室に戻った。
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