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11 執務

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「アルフォード!!貴様っ、今日も僕に仕事を押し付けたなぁ!!」

「いや、あれはお前の仕事だろ」

 第1王子はビシッと指を指してカッコつけているつもりかもしれないが、正直に言って見苦しい。
 というか、ここ3ヶ月見ていて思ったのだが、第1王子は本当にお仕事をしていない。

 アザリアはこの第1王子が王になることに心の底から不安を抱えていた。
 周囲が優秀ならば問題ないと言われればそうなのかもしれないが、この男は自らに都合がいい人間だけをそばに置いている。
 それどころか、自分に苦言を呈する優秀な臣下を全て解雇しているようだ。
 しかも、その解雇された臣下全てが第2王子の臣下となっているのだから、もう救いようがない気がする。


「じゃあ!仕事置いていくからな!!」


(この国の未来に憂いしかないわ………)

 今日も今日とてわんわんと喚いた第1王子によって、第2王子の執務室の机の上はいっぱいいっぱいになる。
 逃げるように去っていった第1王子のせいで、不憫な第2王子はいつもものすごい量の仕事を抱えてしまっている。

 というか、よくよく見てみると国王の仕事も混ざっている気がするのだが………。


(父が父なら子も子とはよく言ったものね)


 バリバリと働く第2王子を横目に、アザリアはさりげなく溜め息を吐く。

 現国王は傀儡王と有名だ。
 けれど、彼は我儘放題な人間ではなく、人の話を信じやすい純粋な人間ということで傀儡になってしまっている。
 そもそも彼は、自らに政治的な能力がないと理解して向いている人間に自らの仕事を押し付けているのだから、まだマシかもしれない。


(………第2王子が王になれば………、いいえ、彼はわたくしが殺す。そして第1王子を王にする)


 暗くなり始めた室内に灯りを灯しながら、アザリアの心は炎のようにふわりふわりと揺れていた。

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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