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13 生きている

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 元々、アザリアには組織への忠誠をがなかった。

 泣き虫なアザリアを拾い、ここまで立派な育ててくれた人間に感謝をしていても、その周囲や環境には、一切の興味がなかった。

 表向きハンドラーには従っていた。
 何故なら、組織は金払いが良かく、アザリアにとって諸々の都合が良かったのだ。

 アザリアはお金と美しいものをこよなく愛する。
 アザリアの欲しいものを手に入れるためには、常に多額のお金が必要になる。

 そんなアザリアには、暗殺者という危険は伴うといえども金払いがものすごくいい職業というのはとても性に合っていた。
 人を殺すことも、人から情報やものを盗むことも、そこまで苦ではなかった。恩師の教えてくれた方法によって平気でいられた。


 死体からどばどばと血が流れ落ちるのをどこか遠くのことのように眺めてから、アザリアは王子の元に向かう。
 真っ白なガウンと真っ白でふわふわのファーでできたスリッパにべっとりと返り血を浴びているアザリアは、向かう途中で幾度もハンドラーが送ってきたであろう暗殺者を殺しながら進んでいく。

 骨のある人間はいなかった。
 この業界では実力を測れないことが何よりの命取りになる。
 アザリアのことを1度でも見たことのある実力ある賢い人間ならば、多分この依頼は受けない。だからだろう。


 濃厚で濃密な血の匂いに、アザリアは朝ごはんはステーキが食べたいと場違いなことを考えた。


 ———バアァン!!


 両手で大きな音を立てながら王子の寝室を開けたアザリアは、にっこり笑う。


「あら、残念ですわ。生き残ってる」


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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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