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15 王子の願い

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 お互いに血に濡れたままでいて部屋に大量の死体が転がっているのにも関わらず、2人は至っていつも通りだ。
 着替えることも死体を退かすこともなく、アザリアのことを姫抱きにした王子がアザリアをベッドに寝かせる。

「青い服も綺麗だが、髪色よりも深い赤というのもよく似合う」

「そうですか?そのように言われたのは初めてですわ」

「もったいない。暗殺姫は何を着ても似合うのに誰も褒めないなんて」

「………誰も褒めないとは言っておりませんわ。
 確かに、服装を見られる前にサクッとやってしまっているのは認めますが………………、」

「そうか。じゃあ、これは俺の特権ということか」

「どうぞお好きに解釈ないさいませ」


 戯れるように赤く染まったベッドの上でころころと抱きしめあった2人は、やがてその姿が夜の帷に完璧に隠されるまで、遊んでいたらしい。


▫︎◇▫︎


 先程までの空気とは打って変わってしんと静まり返っている部屋で、第2王子アルフォード・クライシスは愛おしい女性の頭を撫でていた。
 ふわふわの真っ赤な猫っ毛にマッチ棒が載りそうなくらいに長いまつ毛。目鼻立ちは異常なまでに整っていて、その表情は幼い。


「リア………、」


 アルフォードの切ない声は落とされ、その悲痛さには、何者にも変え難い願いのようなものがこもっている。
 深い海のような瞳の奥底に隠される熱は、瞳をも溶かしそうなほどにどろっと熱い。


「待っていてくれ、必ずや………、」


 アルフォードの声聞き届ける人間は誰もいない。
 けれど、その誓いの言葉は何事にも変え難いぐらいに心がこもっていた。


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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈



 
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