61 / 95
62 初めて使うブラックカード
しおりを挟む
「これが気に入ったのか?」
結菜の後ろに立っていた陽翔が、にゅっと顔を出して結菜の肩に顔を乗せた。
「はい。………これが気に入りました。クローバーは幸せを呼ぶと言いますから。それに、」
ふっと目を閉じた結菜は、また白い世界の白昼夢にどぷっと沈む。
『グリーンダイヤモンドには「回復」や「安らぎ」っていう意味があるのよォ。「ずっと健康でいられますようにィ」っていう意味を込めてグリーンダイヤモンドを贈るのォ』
『じゃあ、他の石は?何か意味があるの?』
『そうねェ、他にはァーーー、』
ブロンドの髪の女性が幼く無邪気だった頃の結菜の肩に手を置き、穏やかに特徴的な声をあげている。発音のおかしさこそが彼女らしいとその頃はいつも思っていた。
「グリーンダイヤモンドは『健康を願う』そうですから、なんとなく必要な気がするのです」
「ーーーそっか」
彼は財布からお金を出して、店員さんに視線を向けた。
「これで支払っといて」
「え、」
「ほらほら、プレゼントは?」
「お、おとなしく受け取る………、」
(う、受け取るにしてもお値段というものがある気がするのですが………、)
結菜は悶々としながら、彼が結菜のためにピアスを買ってくれるのを呆然と見つめていた。どうしようという思考が頭の中をぐるぐる回って困り果てていると、視界の端で何かがきらっと光った気がした。ふらっとそちらに向かうと、そこには結菜のものとは中央についている石の色が青色と結菜が買ってもらっている色と異なっている、形が同じ片耳ピアスが飾られていた。
「あ、あの」
「? はい。いかがなさいましたか?」
「あのピアスも出していただけませんか?」
「これですか?」
「はい」
支払いを終えて商品を布地で磨いていた店員さんは手を止めて結菜の指差したピアスを取り出す。結菜はそれに近寄って宝石に僅かに息を吹きかけた。宝石が曇ることはもちろんなく、結菜の思った通り、このピアスが結菜のピアスと対になっているようだ。
「………これを購入します」
父から一応渡されていたブラックカードを店員さんに渡した結菜は、店の端に立てかけられた看板に目を止める。
「ねぇ、はるくん」
「ん?というか、なんで色違いでピアス買うの?」
「………本当は半分こしたかったけど、わたしが欲しいピアスが片耳のデザインだったからです。プレゼントは大人しく受けるのが礼儀なのでしょう?」
にっこりと笑った結菜に、陽翔はちょびっとため息をついた。
「上手に引用してきたな」
「そういうのは得意ですから」
父からもらっていたブラックカードの初めての使い道は、彼氏へのプレゼントだった。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
結菜の後ろに立っていた陽翔が、にゅっと顔を出して結菜の肩に顔を乗せた。
「はい。………これが気に入りました。クローバーは幸せを呼ぶと言いますから。それに、」
ふっと目を閉じた結菜は、また白い世界の白昼夢にどぷっと沈む。
『グリーンダイヤモンドには「回復」や「安らぎ」っていう意味があるのよォ。「ずっと健康でいられますようにィ」っていう意味を込めてグリーンダイヤモンドを贈るのォ』
『じゃあ、他の石は?何か意味があるの?』
『そうねェ、他にはァーーー、』
ブロンドの髪の女性が幼く無邪気だった頃の結菜の肩に手を置き、穏やかに特徴的な声をあげている。発音のおかしさこそが彼女らしいとその頃はいつも思っていた。
「グリーンダイヤモンドは『健康を願う』そうですから、なんとなく必要な気がするのです」
「ーーーそっか」
彼は財布からお金を出して、店員さんに視線を向けた。
「これで支払っといて」
「え、」
「ほらほら、プレゼントは?」
「お、おとなしく受け取る………、」
(う、受け取るにしてもお値段というものがある気がするのですが………、)
結菜は悶々としながら、彼が結菜のためにピアスを買ってくれるのを呆然と見つめていた。どうしようという思考が頭の中をぐるぐる回って困り果てていると、視界の端で何かがきらっと光った気がした。ふらっとそちらに向かうと、そこには結菜のものとは中央についている石の色が青色と結菜が買ってもらっている色と異なっている、形が同じ片耳ピアスが飾られていた。
「あ、あの」
「? はい。いかがなさいましたか?」
「あのピアスも出していただけませんか?」
「これですか?」
「はい」
支払いを終えて商品を布地で磨いていた店員さんは手を止めて結菜の指差したピアスを取り出す。結菜はそれに近寄って宝石に僅かに息を吹きかけた。宝石が曇ることはもちろんなく、結菜の思った通り、このピアスが結菜のピアスと対になっているようだ。
「………これを購入します」
父から一応渡されていたブラックカードを店員さんに渡した結菜は、店の端に立てかけられた看板に目を止める。
「ねぇ、はるくん」
「ん?というか、なんで色違いでピアス買うの?」
「………本当は半分こしたかったけど、わたしが欲しいピアスが片耳のデザインだったからです。プレゼントは大人しく受けるのが礼儀なのでしょう?」
にっこりと笑った結菜に、陽翔はちょびっとため息をついた。
「上手に引用してきたな」
「そういうのは得意ですから」
父からもらっていたブラックカードの初めての使い道は、彼氏へのプレゼントだった。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
0
あなたにおすすめの小説
Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】
remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。
本宮 のい。新社会人1年目。
永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。
なんだけど。
青井 奏。
高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、
和泉 碧。
初恋の相手らしき人も現れた。
幸せの青い鳥は一体どこに。
【完結】 ありがとうございました‼︎
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる