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season1
第4作:Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─
しおりを挟む……長くも短くもないけど、ある程度読まないと評価できないので結局全部読んじゃったよ……
面白いと思います。
ライト・ファンタジーとしては良作です。
ここで個人的に定義するライト・ファンタジーとは、「ファンタジー」のデータベースに基づく共通言語で成立する作品群を指します。簡単に言うと、城は「城」、ショートソードは「ショートソード」という〈記号〉で通じる、石造りなのか煉瓦造りなのかどのような様式の建築なのか、具体的に刃はどの程度の長さなのか柄や柄はどんなデザインなのか描写せずに済む/済ませるものです。
話を戻します。
最初に申し上げたようにこの作品は楽しめます。読みやすい「ライト」な文章で兄妹間の「謎」と状況及び心情変化、成長を軸に物語が展開されてきちんとまとめられているのは素晴らしいと思います。「(母親が)攻める」は「責める」の間違いでしょうし、兄のことは生真面目に「兄さん」や「兄」と呼ばずに状況に応じて「あいつ」とか「あれ」の方が合っているのではないかと思いますが、それは些細なことです。個人的あるいは仲間内で楽しむことが目的ならこの作品はオススメ――ということで話は終わりです。
そうでない場合、評価は変わってきます。
ライト・ファンタジーのフレームで見れば良作ですが、一般的なフレームで見たときにはそのライトさが逆にマイナス評価になります。読みやすいライトな文体は「味が薄い文章」になります。城を「城」、ショートソードを「ショートソード」で済ませる描写もまたしかり。物語そのものもプロアマ問わず巷にある「昔は仲良しだったけどいろいろあって憎み合うことになりました。でも最後はとりあえず仲直りしました」というパターンの他作品と比べて差別化ができているかというと、少なくとも強烈な特徴があるとまでは言えません。こうなったら、たぶん心の傷のせいで酒浸りになってアル中から肝硬変、さらには肝臓がんを発症してほとんど寝たきりになった糞尿垂れ流しの兄と再会した妹がぶつかり合いながら介護した末に和解する話を書いて頭一つ抜けてはどうでしょうか。
再三になりますが、作品単独で評価したならば楽しめるのは確かです。ただ、広く社会一般を相手にするとしたなら課題があるということです。読ませる力はあると思いますので、あとはアイデアと筆力が上がればもっと良い作品が書けるでしょう。ますますのご活躍を期待しております。m(゚- ゚ )
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