EQ200

凛快天逸(Rinkai Tensor)

文字の大きさ
15 / 21

超日本列島大戦後

しおりを挟む
「き、緊急ニュースです」
 番組司会は慌てふためきながら、今、超日本帝国で発生している大事件について報道した。

「只今、超日本列島大戦が――」
 ニュースは超日本列島での苛烈な戦闘の様子を俯瞰的に流していた。強化型IRを使用しての大規模な内戦だった。超日本帝国と抵抗軍とでせめぎ合っている。

「なに、これ……?」
「やばくない……?」
 京都府の通行人達が立ち止まり、商業施設の店前に置かれたテレビ画面を眺める。ニュースを見た人間は完全に言葉を失った。
「これが、日本、いいや、超日本帝国なのか……?」

 日本に住んでいた人間は大きく2極化していたのだ。Qの急進的な政策に対して首肯派の人間達と、反対派の人間達。反対派の彼らは意見を主張することもなく、ただ内面で怒りを溜めていたのである。
 そして遂に、彼ら反対派の人々は事件を見て、怒りを爆発させていった。反対派は大人数であり、肯定派は少数に変化していった。
 
「ふざけるな!こんな争いが許されるか!」
「おい、Q!何をしているんだ!」
 京都市では議論が勃発していた。
 Q否定派を始めとして、新たなるQ肯定派や中間派も、否定派に流れていったのだ。当然だった。こんな野蛮な行為をしていけば、日本はおろか、世界は本当に大戦に巻き込まれていくだろう。

 だが未だにQ肯定派の存在も確固としていたのだ。
「いいや、これは仕方のない内戦だろう。やはり完全なる理想郷を創るには、犠牲も必要なんだ」
「馬鹿野郎!こんなもの、許されるはずねーだろ!」
「でも、見てみろよ。大戦なんて言っても、死者は一人も出てないぜ」
「え……?」
 Q否定派はあんぐりと口を開いたまま、テレビ画面を眺める。

「現在、死傷者はおろか、負傷者すらも出ておりません。それほど、北海道侵略は極めて慎重に行われていた模様です」 
 というニュースキャスターの言葉とともに、再び、北海道本土の映像が流れた。
 強化IR機体が複数進撃していっているのだが、抵抗軍の人間にもそして北海道市民にも手を出していないのだ。さらには環境や動物にも配慮を入れているらしく、表面だけを見れば至って平和的である。
「すげー慎重だ……」
「侵略には見えねーな……」
「あ、超日本帝国軍の一人なんて、子供をIRに乗せて、優しくしてんじゃん……」

 そして超日本帝国軍は、さらに日常生活を送っている人々に対して意思疎通も行っているのだ。
「安心してください、北海道のみなさん。大人、子供、動物、自然、そして脈々と受け継がれてきた文化伝統。我々超日本帝国軍は、絶対に何も傷つけません。ただ北海道本土に設置された抵抗軍の軍事基地を破壊するだけです。それ以外には何も壊しません。そして出来るだけ迅速に、そして出来るだけ優しく侵略します」

 とIR機体から声明を流しながら、侵略しているのだ。
「すっげー丁寧な侵略だな……」
「侵略する気あんの……?」
「もっと苛烈にしても、良いんじゃない……?」
 否定派の連中はその根性のなさに呆れてもいた。

「それでは一旦、ニュースの報道を終わります」
 緊急ニュースが幕を閉じた。
「……」
 そんな報道を耳にして、Q否定派の連中は驚きを隠せなかった。

 どういう事だ?
 だがしかし侵略は侵略である。例え人や動物、自然、伝統、その他などを傷つけなくとも、それは行為そのものとしてやってはならぬ野蛮な行為である。よって罪であり、それは糾弾されなければならぬ。
 という結論から、超日本列島各地では暴動が起きていた。内部分裂を起こしていたのだ。賛成派と反対派の人間が大きく衝突しあう。
「で、でも侵略は侵略だ!これは許されない!」
「いいや、別に良いだろ!誰も死んでねーんだ!」


 超日本列島大戦を機に、超日本列島は大きく揺るぎ始める。


「鎖府令を発動します」
 首相官邸が位置する京都府に、鎖府令を発令したのだ。このままだと超日本列島から押し寄せる反対派の連中がさらなる問題を引き起こすだろうと。
 Qは京都府の周辺に巨大な壁を建築していたのだが、さらに産業用の小さなIR機体を駆使して、急ピッチで完成させていった。



 その頃、零血は抵抗軍の基地の中に居た。彼は中枢部の指揮官として活動していた。
「これから京都に行きましょう」
 零血は決意していたのだ。
 Qという謎の犯罪者を捕まえなければ、この独裁政権の進撃は止まることはない。それならば、Qという犯罪者と直接対決こそが唯一無二の道である。
 
「抵抗軍の英雄がそう決断しているのなら、我々は従うことしか出来ません」
 抵抗軍は零血の決断に同意した。
 
 だがしかし、さらなる問題がここで発生する。壁の超えることは不可能であったのだ。まず鎖府令を発令した京都府に入府することは厳重な調査が行われる。
 なので零血が人伝いで何とか乗り移り、壁を越えても、一度思考を止めれば、再び最初からスタートしなければならない。それはあまりにも苦労である。
 鎖府中の京都府では電波も遮断されているので、映像から入り込む隙もない。零血は既に完全なまでに先手を打たれていたのである。

「どうしますか……?」 
「いいや、強制的にでも入府する」
 零血は己の命を賭けることを理解していた。

 そして零血一行は、鎖府中の京都府に入府していったのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

処理中です...