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第1章
第24話 魔法使いと幻術使い ②
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魔王の娘が見ていた幻影は消え、辺りは元の姿に戻った。
「…………。」
消えた幻影の代わりに、再び少女の姿が現れた。
少女は無表情のまま無言を貫いている。
魔王の娘は次の言葉を発した。
「……やっぱり、貴女が幻術使いちゃんなんだよね?」
「…………。」
一向に口を開こうとしない少女の態度に痺れを切らした魔王の娘は、まずは自分から自己紹介をすることにした。
「私は魔王の娘!王立魔法教会で魔法使いをしています!」
北の森の奥深く。
ニートと武器屋と魔法学者は睡蓮沼から少し離れた場所まで辿り着いていた。
「ふぅ……。ここまで来ればとりあえずは大丈夫かな」
先頭を走っていた魔法学者は周りを見渡し立ち止まった。
先程まで空を覆い隠すように生えていた木々も少なくなり、この辺りの空は少し開けていた。
「こりゃあ、もうすぐ日が暮れるぞ?」
武器屋は空を見上げた。
空から降りてくる光は橙色になっていた。
「……もう夕方なんだね。このまま夜になっちゃったらどうしよう……魔王の娘とさっきの女の子のことも気になるし……」
ニートは呼吸を整えると、走って来た道を振り向き心配そうに呟いた。
「魔法使いちゃんのことは心配しなくて大丈夫だよ。彼女が本気を出して勝てない相手はいないからね、一人を除いて」
「え?一人って……」
優しく微笑む魔法学者の言葉に引っかかったニートは、つい聞き返していた。
「そりゃあ、魔王に決まってるだろ。なあ?」
武器屋は「当然だろ?」という顔で魔法学者を見ている。
「うんうん。武器屋君の言う通り、魔王が最強だよ。理論上はね?」
「理論上……?」
「そう、飽くまで理論上の話だよ。魔法は科学じゃない。奇跡が起こりうるんだ。……って、僕は信じている」
真剣な眼差しでそう呟くと、魔法学者はいつもの優しい表情に戻り「もう少しだけ進もうか?」と歩を進めた。
ニートの目に映る魔法学者の瞳には、彼にしかわからない魔法学者としての意思のようなものが見えた気がした。
「…………。」
消えた幻影の代わりに、再び少女の姿が現れた。
少女は無表情のまま無言を貫いている。
魔王の娘は次の言葉を発した。
「……やっぱり、貴女が幻術使いちゃんなんだよね?」
「…………。」
一向に口を開こうとしない少女の態度に痺れを切らした魔王の娘は、まずは自分から自己紹介をすることにした。
「私は魔王の娘!王立魔法教会で魔法使いをしています!」
北の森の奥深く。
ニートと武器屋と魔法学者は睡蓮沼から少し離れた場所まで辿り着いていた。
「ふぅ……。ここまで来ればとりあえずは大丈夫かな」
先頭を走っていた魔法学者は周りを見渡し立ち止まった。
先程まで空を覆い隠すように生えていた木々も少なくなり、この辺りの空は少し開けていた。
「こりゃあ、もうすぐ日が暮れるぞ?」
武器屋は空を見上げた。
空から降りてくる光は橙色になっていた。
「……もう夕方なんだね。このまま夜になっちゃったらどうしよう……魔王の娘とさっきの女の子のことも気になるし……」
ニートは呼吸を整えると、走って来た道を振り向き心配そうに呟いた。
「魔法使いちゃんのことは心配しなくて大丈夫だよ。彼女が本気を出して勝てない相手はいないからね、一人を除いて」
「え?一人って……」
優しく微笑む魔法学者の言葉に引っかかったニートは、つい聞き返していた。
「そりゃあ、魔王に決まってるだろ。なあ?」
武器屋は「当然だろ?」という顔で魔法学者を見ている。
「うんうん。武器屋君の言う通り、魔王が最強だよ。理論上はね?」
「理論上……?」
「そう、飽くまで理論上の話だよ。魔法は科学じゃない。奇跡が起こりうるんだ。……って、僕は信じている」
真剣な眼差しでそう呟くと、魔法学者はいつもの優しい表情に戻り「もう少しだけ進もうか?」と歩を進めた。
ニートの目に映る魔法学者の瞳には、彼にしかわからない魔法学者としての意思のようなものが見えた気がした。
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