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30,違和感
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ある朝。
「やぁ…っは、あ…っ」
浴室から蓮のあえぐ声が、くぐもって聴こえてくる。湯気の充満する中、蓮はヨイチに背後から抱きかかえられ、先ほどの情事の後処理をされていた。
彼らと生活を共にして約1ヶ月。蓮は左腕の包帯が取れ、右腕の骨折も完治していた。自由に腕が動かせるようになり、今朝、眠っている間に上着を脱ぐという例のクセが出てしまった。それを見たヨイチが蓮が起きるなり、激しいセックスに突入してしまったのは仕方がないかもしれない。
「あぁ…!んん…っ」
身体の中に注がれたものを2本の指で掻き出され、耳を食まれ、ベッドでさんざんイカされたにも関わらず、蓮のモノはまたゆるゆると起ち上がる。
「ふ…もう一度、イかせてやろう」
ヨイチはそれに笑み、蓮のモノを軽く握る。
「ひっ?!嫌…っあぁぁーっ!!」
もうイキたくないのに。数回しごかれただけで、びくんと蓮の身体が強ばり、薄くなった精が吹き出る。
「はぁぁ…っあぁ…」
びく、びくと余韻に身体を震わせ、唇を寄せるヨイチにすがるように口を開き、舌を受け入れた。
「気持ちいいか、レン」
「ん…」
ヨイチはぐったりと身を預けてくる蓮を背後から抱き、湯船に浸かっていた。蓮が風呂好きだとわかり、必ずお湯を張ることにしている。
「お前、何かしてんだろ…」
「何をだ?」
聞いてくる蓮の左手首を取り、残ってしまった傷を指先でなぞる。
「お前の目を見ると、変な…カンジになる」
蓮はあれから毎日ヨイチに抱かれているが、彼のアンバランスな金色の目を見ると何故か言うことに逆らえず、身体も異常なほど過敏になるのだ。
「変ではない。お前を素直にさせているだけだ」
「何かしてんじゃねーか…」
左手首を持ち上げて唇を当ててくるヨイチに、はぁとため息をついた。
「ここか…。昼間から人拐いが横行しているんじゃ、治安はそれなりに悪いんだな」
シオンとクラウドはアクセサリー店のある路地に来ていた。地面に残る弾痕と血痕を、クラウドはしゃがんで確認する。
「…ええ」
シオンもそれを見てうなずく。
3日前。ここで発砲事件があり、重傷を負って警察に助けを求めてきた6人の男たちが、蓮と思われる少年を拐おうとして返り討ちにあったと白状したらしい。その少年も一緒にいた青髪の男も、騒ぎになる前に姿をくらましてしまったようだが。
「彼らの拠点はこの近くかもしれませんね」
「ああ。宿か、定住しているか…どっちだろうな」
「ええ…」
クラウドと話しながら、シオンは蓮の情報を得て感じた違和感の正体が何かわかってきていた。蓮はおそらく、彼らの糧とはなっていない。誘拐しようとした、武器を持った者たちを蓮が撃退出来たのは、悪化していたであろう怪我も治り、体力も失っていないということ。更に、人目をまったく気にせず頻繁に外出し、食事をさせ、ものや娯楽も与えている。誘き寄せた金眼保有者のような『糧』としての扱いではなく、大事に『保護』しているという印象である。
ならば、彼らが蓮を拉致し、今も共にいる目的とは何なのか。
「シオン?」
クラウドは考えこんでいるシオンの顔をのぞきこむ。
「…すみません。もう1ヶ月経ちますから、定住している可能性が高いと思います」
「そうだな。ひとつの街で宿を転々としてたら、もっと目立つよな」
シオンの話にうなずく。
やはり混乱を招くと思い、シオンはクラウドにはまだ伝えないことにした。
「出るぞ」
「ああ」
ヨイチは蓮の腰を抱いて浴室を出、脱衣場で待っていたワンスに蓮を預ける。
「いい…自分で、拭く…」
ワンスにタオルを被せられ、蓮は離れようとするが
「そんなフラフラで何を言っている。来い」
タオルごとつかまれて髪をがしがし拭かれる。
「ふ…」
ヨイチはそんな蓮を見て笑み、自分もタオルを被った。
「レン君、お疲れ~。水飲む?」
「ん…」
ダイニングでワンスにドライヤーで髪を乾かしてもらっている蓮に、イールがキッチンから冷えた水のボトルを持ってくる。
「よし、いいぞ」
ワンスは大体乾かすと黒髪をひとなでして、ドライヤーを片付ける。
「え、クシは?とかしてあげなよー」
「いらんだろ」
「まったく、アンタも適当だねー。ヨイチほどじゃないけど」
イールはヨイチがまだ脱衣場から出て来ないのを確かめてから、蓮の髪の乱れを手ぐしで直す。
初めは蓮に他人が触れるのも嫌がり、世話をすべてひとりでやっていたヨイチだが、ワンスに任せることが増えていた。何しろヨイチは世話の仕方が雑なので、蓮に触るのを許されていないイールも、時折目を盗んでやり直してやっていたが。
「レン、何か食うか」
ワンスがパンや缶詰を持ってきて、テーブルに置く。
「…ん」
朝から精を出し尽くして食欲がない。蓮はゼリー飲料を指した。
「そういうの吸っていると、ヒワイだね~」
ちょうど片手で包める太さの容器のゼリー飲料を飲む蓮を、イールはにこにこと見つめる。
「?」
「無視していい」
首をかしげる蓮に、ワンスは呆れて言った。
「レン、食べているか」
青髪を結い上げ、眼帯をつけたヨイチがダイニングに入ってくる。
「ん…」
「昼まで休んでいろ。新しい服と玉子焼きを買ってきてやる」
と、疲れてうとうとしている蓮の髪をそっとなで、額にキスをする。
そして、蓮の左手首をさすってブレスレットが着いているのを確認し、笑む。
ワンスとイールはそんなヨイチの異変に気づき、顔をしかめた。
「ヨイチ」
玄関で靴を履くヨイチに、イールが声をかける。
「何だ」
「何日、食べていないの」
その問いに、ヨイチは手を止める。
「顔色ヤバいよ。目もあんまり見えてないんじゃない?」
ヨイチは風呂上がりにも関わらず、顔面蒼白と言えるような白さで、右目の金色も薄くなったように見える。
「平気だ」
「適当なの買ってくるから、今夜、レン君が寝てる間に…」
「レン以外を食う気はない」
と、ヨイチは立ち上がる。
「じゃあ、何で食べないのさ。あのコ、そのつもりで連れて来たんじゃないの?」
「…」
「レン君に嫌われるのが、そんなに怖い?」
こちらを見もしないが、ドアノブにかけたヨイチの手がまた止まり、図星だとイールは思う。
「聴こえたよ。レン君に言ってたでしょ?僕たちのこと。てっきり、あの時に食べさせてってお願いすると思ったのに、何で食べないって言ったの?」
「お前には関係ない」
ヨイチは言い捨てると、ドアを開けて玄関を出る。
「…っヨイチ!!」
イールはかっとして怒鳴る。
「このままだと、レン君の顔すら見えなくなっちゃうよ!!」
ドアを押さえ、ヨイチの背に叫ぶが、彼は振り向きもしなかった。
「もー…っ何であんなに臆病になっちゃったのかな…!」
ドアを閉めながら、嘆く。
「うるさいぞ、イール。レンが眠れないだろ」
「あ、ワンス!レン君、眠らせないで!」
蓮の部屋から顔をのぞかせたワンスに、あわてて言った。
「2、3週間前くらいからかな。ほとんど毎日来て、玉子焼きを買っていくよ。にこりともしないけど、かわいい顔した子だよ」
惣菜を売る屋台の店主は、蓮の写真を見ながら早口で話す。
「この男もか?」
と、クラウドはヨイチの似顔絵を指す。
「そうそう、仲良さそうにしててね。今日もそろそろ来るんじゃないかな?言っておいてあげようか」
「ああ、もちろ…っ」
「いいえ。知らせないでいただけますか」
店主のおせっかいにクラウドは嬉々としてうなずこうとするが、シオンが拒否する。
「そうかい?ほれ、お待ちどおさん」
店主は首をかしげながら、出来立ての厚焼き玉子を差し出した。
「おい!!何でレンに知らせないんだよ?!」
人気のない路地裏に入り、クラウドはシオンの胸ぐらをつかみあげる。蓮に自分たちが探していることを知らせる最大のチャンスを何故潰すのか、理解出来なかった。
「よく考えてください。レン様に知らせるということは、彼らも我々の存在を知ってしまうということです。もし、それで逃亡されてしまったら、捜索は振り出しですよ」
蓮が近くにいることはもう確実。今、最も避けなければならないのは更なる逃亡だ。クラウドはシオンの冷静な話に、はっとする。
「…悪い」
「いいえ」
謝り、シオンの胸ぐらから手を離した。
「ですが、あの店主はお話好きなようですから、おそらく話してしまわれるでしょうね」
屋台の店主は写真を見せただけで、聞いてもいないのに蓮のことをすらすら話してきた。口止めは無駄だろう。
「なっ?!どうするんだよ?!」
「私に考えがあります。上手くいけば、今夜中にレン様にお会い出来るかもしれません」
シオンは焦るクラウドに、冷静な口調のまま言った。
「レン君、ごめんね。どうしても話したいことがあって」
と、イールはベッド脇の椅子に座る。
「…何」
眠りそうになっていた蓮は仏頂面で、枕を背に上半身を起こす。
「ホンっト嫌そうな顔するね」
イールはかわいい顔が台無しだよと苦笑いする。
「僕たちのことはヨイチから聞いたでしょ」
「ああ」
人の体力を、命を糧に生きているということだろう。蓮はうなずく。
「こうなったの、ほんの1年前なんだよね」
言いながら、イールはメガネを外す。
「この金色の目…本物の『金眼』だって言ったら、信じる?」
「…あ?」
鈍く金色に光る、左の瞳。
蓮はその質問の意味を理解するのに、しばらくかかった。
「やぁ…っは、あ…っ」
浴室から蓮のあえぐ声が、くぐもって聴こえてくる。湯気の充満する中、蓮はヨイチに背後から抱きかかえられ、先ほどの情事の後処理をされていた。
彼らと生活を共にして約1ヶ月。蓮は左腕の包帯が取れ、右腕の骨折も完治していた。自由に腕が動かせるようになり、今朝、眠っている間に上着を脱ぐという例のクセが出てしまった。それを見たヨイチが蓮が起きるなり、激しいセックスに突入してしまったのは仕方がないかもしれない。
「あぁ…!んん…っ」
身体の中に注がれたものを2本の指で掻き出され、耳を食まれ、ベッドでさんざんイカされたにも関わらず、蓮のモノはまたゆるゆると起ち上がる。
「ふ…もう一度、イかせてやろう」
ヨイチはそれに笑み、蓮のモノを軽く握る。
「ひっ?!嫌…っあぁぁーっ!!」
もうイキたくないのに。数回しごかれただけで、びくんと蓮の身体が強ばり、薄くなった精が吹き出る。
「はぁぁ…っあぁ…」
びく、びくと余韻に身体を震わせ、唇を寄せるヨイチにすがるように口を開き、舌を受け入れた。
「気持ちいいか、レン」
「ん…」
ヨイチはぐったりと身を預けてくる蓮を背後から抱き、湯船に浸かっていた。蓮が風呂好きだとわかり、必ずお湯を張ることにしている。
「お前、何かしてんだろ…」
「何をだ?」
聞いてくる蓮の左手首を取り、残ってしまった傷を指先でなぞる。
「お前の目を見ると、変な…カンジになる」
蓮はあれから毎日ヨイチに抱かれているが、彼のアンバランスな金色の目を見ると何故か言うことに逆らえず、身体も異常なほど過敏になるのだ。
「変ではない。お前を素直にさせているだけだ」
「何かしてんじゃねーか…」
左手首を持ち上げて唇を当ててくるヨイチに、はぁとため息をついた。
「ここか…。昼間から人拐いが横行しているんじゃ、治安はそれなりに悪いんだな」
シオンとクラウドはアクセサリー店のある路地に来ていた。地面に残る弾痕と血痕を、クラウドはしゃがんで確認する。
「…ええ」
シオンもそれを見てうなずく。
3日前。ここで発砲事件があり、重傷を負って警察に助けを求めてきた6人の男たちが、蓮と思われる少年を拐おうとして返り討ちにあったと白状したらしい。その少年も一緒にいた青髪の男も、騒ぎになる前に姿をくらましてしまったようだが。
「彼らの拠点はこの近くかもしれませんね」
「ああ。宿か、定住しているか…どっちだろうな」
「ええ…」
クラウドと話しながら、シオンは蓮の情報を得て感じた違和感の正体が何かわかってきていた。蓮はおそらく、彼らの糧とはなっていない。誘拐しようとした、武器を持った者たちを蓮が撃退出来たのは、悪化していたであろう怪我も治り、体力も失っていないということ。更に、人目をまったく気にせず頻繁に外出し、食事をさせ、ものや娯楽も与えている。誘き寄せた金眼保有者のような『糧』としての扱いではなく、大事に『保護』しているという印象である。
ならば、彼らが蓮を拉致し、今も共にいる目的とは何なのか。
「シオン?」
クラウドは考えこんでいるシオンの顔をのぞきこむ。
「…すみません。もう1ヶ月経ちますから、定住している可能性が高いと思います」
「そうだな。ひとつの街で宿を転々としてたら、もっと目立つよな」
シオンの話にうなずく。
やはり混乱を招くと思い、シオンはクラウドにはまだ伝えないことにした。
「出るぞ」
「ああ」
ヨイチは蓮の腰を抱いて浴室を出、脱衣場で待っていたワンスに蓮を預ける。
「いい…自分で、拭く…」
ワンスにタオルを被せられ、蓮は離れようとするが
「そんなフラフラで何を言っている。来い」
タオルごとつかまれて髪をがしがし拭かれる。
「ふ…」
ヨイチはそんな蓮を見て笑み、自分もタオルを被った。
「レン君、お疲れ~。水飲む?」
「ん…」
ダイニングでワンスにドライヤーで髪を乾かしてもらっている蓮に、イールがキッチンから冷えた水のボトルを持ってくる。
「よし、いいぞ」
ワンスは大体乾かすと黒髪をひとなでして、ドライヤーを片付ける。
「え、クシは?とかしてあげなよー」
「いらんだろ」
「まったく、アンタも適当だねー。ヨイチほどじゃないけど」
イールはヨイチがまだ脱衣場から出て来ないのを確かめてから、蓮の髪の乱れを手ぐしで直す。
初めは蓮に他人が触れるのも嫌がり、世話をすべてひとりでやっていたヨイチだが、ワンスに任せることが増えていた。何しろヨイチは世話の仕方が雑なので、蓮に触るのを許されていないイールも、時折目を盗んでやり直してやっていたが。
「レン、何か食うか」
ワンスがパンや缶詰を持ってきて、テーブルに置く。
「…ん」
朝から精を出し尽くして食欲がない。蓮はゼリー飲料を指した。
「そういうの吸っていると、ヒワイだね~」
ちょうど片手で包める太さの容器のゼリー飲料を飲む蓮を、イールはにこにこと見つめる。
「?」
「無視していい」
首をかしげる蓮に、ワンスは呆れて言った。
「レン、食べているか」
青髪を結い上げ、眼帯をつけたヨイチがダイニングに入ってくる。
「ん…」
「昼まで休んでいろ。新しい服と玉子焼きを買ってきてやる」
と、疲れてうとうとしている蓮の髪をそっとなで、額にキスをする。
そして、蓮の左手首をさすってブレスレットが着いているのを確認し、笑む。
ワンスとイールはそんなヨイチの異変に気づき、顔をしかめた。
「ヨイチ」
玄関で靴を履くヨイチに、イールが声をかける。
「何だ」
「何日、食べていないの」
その問いに、ヨイチは手を止める。
「顔色ヤバいよ。目もあんまり見えてないんじゃない?」
ヨイチは風呂上がりにも関わらず、顔面蒼白と言えるような白さで、右目の金色も薄くなったように見える。
「平気だ」
「適当なの買ってくるから、今夜、レン君が寝てる間に…」
「レン以外を食う気はない」
と、ヨイチは立ち上がる。
「じゃあ、何で食べないのさ。あのコ、そのつもりで連れて来たんじゃないの?」
「…」
「レン君に嫌われるのが、そんなに怖い?」
こちらを見もしないが、ドアノブにかけたヨイチの手がまた止まり、図星だとイールは思う。
「聴こえたよ。レン君に言ってたでしょ?僕たちのこと。てっきり、あの時に食べさせてってお願いすると思ったのに、何で食べないって言ったの?」
「お前には関係ない」
ヨイチは言い捨てると、ドアを開けて玄関を出る。
「…っヨイチ!!」
イールはかっとして怒鳴る。
「このままだと、レン君の顔すら見えなくなっちゃうよ!!」
ドアを押さえ、ヨイチの背に叫ぶが、彼は振り向きもしなかった。
「もー…っ何であんなに臆病になっちゃったのかな…!」
ドアを閉めながら、嘆く。
「うるさいぞ、イール。レンが眠れないだろ」
「あ、ワンス!レン君、眠らせないで!」
蓮の部屋から顔をのぞかせたワンスに、あわてて言った。
「2、3週間前くらいからかな。ほとんど毎日来て、玉子焼きを買っていくよ。にこりともしないけど、かわいい顔した子だよ」
惣菜を売る屋台の店主は、蓮の写真を見ながら早口で話す。
「この男もか?」
と、クラウドはヨイチの似顔絵を指す。
「そうそう、仲良さそうにしててね。今日もそろそろ来るんじゃないかな?言っておいてあげようか」
「ああ、もちろ…っ」
「いいえ。知らせないでいただけますか」
店主のおせっかいにクラウドは嬉々としてうなずこうとするが、シオンが拒否する。
「そうかい?ほれ、お待ちどおさん」
店主は首をかしげながら、出来立ての厚焼き玉子を差し出した。
「おい!!何でレンに知らせないんだよ?!」
人気のない路地裏に入り、クラウドはシオンの胸ぐらをつかみあげる。蓮に自分たちが探していることを知らせる最大のチャンスを何故潰すのか、理解出来なかった。
「よく考えてください。レン様に知らせるということは、彼らも我々の存在を知ってしまうということです。もし、それで逃亡されてしまったら、捜索は振り出しですよ」
蓮が近くにいることはもう確実。今、最も避けなければならないのは更なる逃亡だ。クラウドはシオンの冷静な話に、はっとする。
「…悪い」
「いいえ」
謝り、シオンの胸ぐらから手を離した。
「ですが、あの店主はお話好きなようですから、おそらく話してしまわれるでしょうね」
屋台の店主は写真を見せただけで、聞いてもいないのに蓮のことをすらすら話してきた。口止めは無駄だろう。
「なっ?!どうするんだよ?!」
「私に考えがあります。上手くいけば、今夜中にレン様にお会い出来るかもしれません」
シオンは焦るクラウドに、冷静な口調のまま言った。
「レン君、ごめんね。どうしても話したいことがあって」
と、イールはベッド脇の椅子に座る。
「…何」
眠りそうになっていた蓮は仏頂面で、枕を背に上半身を起こす。
「ホンっト嫌そうな顔するね」
イールはかわいい顔が台無しだよと苦笑いする。
「僕たちのことはヨイチから聞いたでしょ」
「ああ」
人の体力を、命を糧に生きているということだろう。蓮はうなずく。
「こうなったの、ほんの1年前なんだよね」
言いながら、イールはメガネを外す。
「この金色の目…本物の『金眼』だって言ったら、信じる?」
「…あ?」
鈍く金色に光る、左の瞳。
蓮はその質問の意味を理解するのに、しばらくかかった。
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