29 / 93
第一章【出会い編】
5.拾い物がバイトはじめました1
しおりを挟む
結局こうなるのか・・・・。
黒髪の少年マクレーンは、本日もう何度目になるか数えるのをやめた溜息をまた吐いていた。
目の前で豪快に食事をする姿は、もう見慣れた。
いや見飽きた・・・・。
できる事ならこのままずっと、ここで食べ続けててくれればいいのに。
そんな現実離れした考えが頭を過ぎる。
それ程までにマクレーンは疲弊していた。
彼、アランと出会ってから、まだ数時間しか経っていないのだが。
もう、うんざりだ。
マクレーンは胸中で、何度も毒吐いていた。
「ん?どうした食べないのか?」
「アランさんを見てたら、お腹が一杯になりました。」
疲れ切った顔でそう言ってやれば、アランは冗談と取ったのか「面白い事言うな~」と言いながら笑った。
「冗談じゃないんですけどね・・・。」
そんなアランにマクレーンは呆れたようにぼそりと呟いたのだが、当のアランはそれを気にする様子も無い。
「さてと。」
食べるだけ食べたアランは徐に立ち上がると、宿屋の主人の所へ行き何やら話し始めてしまった。
マクレーンが怪訝そうな顔でその様子を見守っていると、すぐ話は終わり何故かアランは厨房の奥へと消えて行ってしまった。
「?」
ますます意味がわからないとマクレーンが立ち上がろうとしたその時。
厨房からアランが姿を現した。
しかもその姿は――。
エプロン姿。
旅用の上着を脱ぎ、シャツとズボン姿になったアランは、その上から宿屋の主人達と同じエプロンを身に付けていた。
そして、慣れた手つきで料理を運び始める。
しかも、料理を運びながら他の客から注文を受けたりもしていた。
その姿は、なんとも手際が良い。
突然目の前で起こった出来事に、訳も分からずポカンとした顔で見ていると、宿の店主がマクレーンの元へと近づいて来た。
「いや~アンタの連れ、なかなかどうして、いい青年じゃないか。」
「は?」
肩にぽんと手を置きながら嬉しそうに笑いかけてくる店主に、マクレーンは意味がわからないと視線を上げた。
「いやね、あの青年「自分は持ち合わせが無くて、連れに奢らせてばかりじゃ悪いから」って、泊まっている間、うちの店で雑用でもなんでも良いから働かせてくれって、言って来たんだよ。」
近頃じゃ見かけない良い子じゃないか、そう言って息子を見るような目でアランを見つめる店主の言葉に、マクレーンは耳を疑った。
そんな、だってそんなこと一言も・・・・ここだって強引に連れて来られて・・・・当然僕が出すのが当たり前って顔してたのに。
胸中でそう呟きながらマクレーンはアランを再度見た。
呆然と見つめるマクレーンの視線の先には――。
楽しそうに仕事をするアランの姿があった。
厨房から出された沢山の料理を器用に運び。
テーブルで待つ客達に冗談も交えて笑顔で対応するその姿は。
なんか・・・。
ほんのちょっとだけ。
格好良く見えた。
ぼんやりと見つめるマクレーンの視線に気づいたのか、アランはマクレーンに向かって笑顔と共にウインクをしてきた。
マクレーンは慌てて視線を背けると、席を立ち逃げるように部屋へと戻ってしまった。
その後――。
アランが部屋へと戻って来たのは食堂が閉まり、泊まっている客達が寝静まってから大分経った後だった。
黒髪の少年マクレーンは、本日もう何度目になるか数えるのをやめた溜息をまた吐いていた。
目の前で豪快に食事をする姿は、もう見慣れた。
いや見飽きた・・・・。
できる事ならこのままずっと、ここで食べ続けててくれればいいのに。
そんな現実離れした考えが頭を過ぎる。
それ程までにマクレーンは疲弊していた。
彼、アランと出会ってから、まだ数時間しか経っていないのだが。
もう、うんざりだ。
マクレーンは胸中で、何度も毒吐いていた。
「ん?どうした食べないのか?」
「アランさんを見てたら、お腹が一杯になりました。」
疲れ切った顔でそう言ってやれば、アランは冗談と取ったのか「面白い事言うな~」と言いながら笑った。
「冗談じゃないんですけどね・・・。」
そんなアランにマクレーンは呆れたようにぼそりと呟いたのだが、当のアランはそれを気にする様子も無い。
「さてと。」
食べるだけ食べたアランは徐に立ち上がると、宿屋の主人の所へ行き何やら話し始めてしまった。
マクレーンが怪訝そうな顔でその様子を見守っていると、すぐ話は終わり何故かアランは厨房の奥へと消えて行ってしまった。
「?」
ますます意味がわからないとマクレーンが立ち上がろうとしたその時。
厨房からアランが姿を現した。
しかもその姿は――。
エプロン姿。
旅用の上着を脱ぎ、シャツとズボン姿になったアランは、その上から宿屋の主人達と同じエプロンを身に付けていた。
そして、慣れた手つきで料理を運び始める。
しかも、料理を運びながら他の客から注文を受けたりもしていた。
その姿は、なんとも手際が良い。
突然目の前で起こった出来事に、訳も分からずポカンとした顔で見ていると、宿の店主がマクレーンの元へと近づいて来た。
「いや~アンタの連れ、なかなかどうして、いい青年じゃないか。」
「は?」
肩にぽんと手を置きながら嬉しそうに笑いかけてくる店主に、マクレーンは意味がわからないと視線を上げた。
「いやね、あの青年「自分は持ち合わせが無くて、連れに奢らせてばかりじゃ悪いから」って、泊まっている間、うちの店で雑用でもなんでも良いから働かせてくれって、言って来たんだよ。」
近頃じゃ見かけない良い子じゃないか、そう言って息子を見るような目でアランを見つめる店主の言葉に、マクレーンは耳を疑った。
そんな、だってそんなこと一言も・・・・ここだって強引に連れて来られて・・・・当然僕が出すのが当たり前って顔してたのに。
胸中でそう呟きながらマクレーンはアランを再度見た。
呆然と見つめるマクレーンの視線の先には――。
楽しそうに仕事をするアランの姿があった。
厨房から出された沢山の料理を器用に運び。
テーブルで待つ客達に冗談も交えて笑顔で対応するその姿は。
なんか・・・。
ほんのちょっとだけ。
格好良く見えた。
ぼんやりと見つめるマクレーンの視線に気づいたのか、アランはマクレーンに向かって笑顔と共にウインクをしてきた。
マクレーンは慌てて視線を背けると、席を立ち逃げるように部屋へと戻ってしまった。
その後――。
アランが部屋へと戻って来たのは食堂が閉まり、泊まっている客達が寝静まってから大分経った後だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる