僕のおつかい

麻竹

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第一章【出会い編】

24.とりあえず一件目のおつかい完了しました

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「僕の姉のララです。」

北の大地ノウズサンド。
分厚い雲が空を埋め尽くし常に太陽を隠す寒空の下、小柄な少年が長身の青年の向かいに立つこれまた長身の女性を紹介していた。
紹介された女性は、にこりと笑顔になると「よろしく」と握手を求めてきた。
握手を求められた青年は、先程の絶叫した姿のまま口をぽかんと開けてまだ固まっていた。

「ちょっと、やり過ぎたかな?」

いつまで経っても握手を返してこない青年を見ながら、長身の女性が小柄な少年に向かって肩を竦めて見せた。

「ええ、そうみたいですね。」

小柄な少年も無表情のまま長身の女性を見返す。
その表情に長身の女性は「ははは」と渇いた笑いをしながら冷や汗を流した。

「こちらはアランさん。訳あって今は一緒にいます。」

マクレーンは「ふぅ」と溜息を落とすと長身の女性――姉のララ――に向かって固まったままの青年を紹介してきた。

「ふうん。」

ララは青年に視線を戻すと、興味津々といった様子でアランを見つめた。

「なかなか上玉じゃないか。マクレーンいいの拾ったな。」

「何言ってるんですか?勝手についてきちゃったんですよ。」

茶化すララの言葉にマクレーンは嘆息すると、眉間に皺を寄せて嫌そうに答えた。

「いらないのか?なら……。」

「いい加減にしてください!これお母さんからの預かりものです。」

マクレーンは脱力しながらそう言うと、肩にかけていたバッグを開けて中の物を取り出してきた。

――パイとワイン――。

どうやって入っていたのか、マクレーンのバッグから出てきたものは、大きな持ち手のついた籠であった。
その中には出来立てのチェリーパイと高そうなワインが入っている。
美味しそうなチェリーパイにララの目が輝く。

「母上のチェリーパイか待ってたんだよ♪」

既にここへ来る事は聞いていたのか、ララは嬉しそうな笑顔でパイとワインを受け取った。
両手一杯の籠を抱え甘酸っぱいチェリーの香りを嗅ぐ。

「う~んこの匂い、堪らないなぁ。わざわざすまんな。」

ララは至福と言わんばかりの表情でマクレーンに礼をいう。

「じゃ、僕は次があるので。」

マクレーンはそう言って踵を返した。

「おいおいおいおい!せっかく久しぶりに会えたのにもう行ってしまうのか?」

ララは慌ててマクレーンを引き止める。
マクレーンは少し嫌そうな顔をしながら振り返った。

「ええ。」

「相変わらずせっかちだな・・・・その男とも話がしたいのに。」

素っ気無く答えるマクレーンにララは不満そうに呟いた。

「だから急ぐんです。アランさんが気づいたら色々面倒になりそうなので。」

「なんだそれは?」

マクレーンの言葉にララがむっとする。

「姉さんが興味を持つのは自由ですけど、アランさんは弱いみたいですよ、そんな人が姉さんの相手をしてたら、命がいくつあっても足りませんから。」

「ふぅ、私も見くびられたものだな、相手が強いかどうか位すぐわかる。」

「そう言って何人の”強い人”達を病院送りにしたと思っているんですか!?」

「う・・・・。」

「いい加減暇つぶしに人を襲うのはやめて下さい。」

「・・・・ずいぶんな言われ様だな。」

苦笑していたララの片眉が僅かにぴくっと動いたのを見て、マクレーンは慌てた。

「そ、それではまた!」

マクレーンは慌てて踵を返すと、アランを引き摺るようにして歩き出した。

「ああ、待て。」

しかしまたしてもララの静止の声が聞こえ、マクレーンは嫌々ながらも律儀に振り返る。

「なんですか?」

「母上からだ。」

眉間に皺を寄せて面倒そうに振り返るマクレーンに、ララは苦笑しながら手に持っていたものを指で弾いて渡してきた。
マクレーンは慌てて飛んできたものを受け取る。

「あ……。」

「それが無いと困るだろう?」

ララはくすくすと笑いながらそう言ってきた。

「ありがとうございます。」

マクレーンは気まずそうに礼を言うと、手の中のモノを改めて確認する。
手の平には小さな転柱門用の魔石が乗っかっていた。
しかも二つ。

「ん?これは?」

マクレーンは同じ色の魔石を見ながら首を傾げる。

「さあな、母上から渡されただけだからな・・・・たぶんソレの分だろう。」

ララはそう言ってマクレーンの側に立つアランに視線を向けた。
マクレーンはララの言葉に更に首を傾げる。

――予測されていた?それとも・・・・。

マクレーンはそこで考えるのを止めた。
考えると嫌な結論に辿り着きそうな気がしたからだ。
気を取り直してマントの内ポケットから通行証を取り出すと、小さな黄色い魔石の横へ受け取った魔石を嵌めた。

「姉さんありがとうございます、とりあえずこれは預かっておきます。」

もう一つの魔石を握り締め姉に礼を言うと、今度こそマクレーンはララと別れたのだった。

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