僕のおつかい

麻竹

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第一章【出会い編】

59.バラックでは一攫千金が狙えるらしいです

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採掘場の中は以外にも明るかった。
光の魔石が通路の壁の所々に設置されている為、思ったよりも歩くのに支障はなかった。
しかも空気も以外と澄んでいる事に驚いた。
風の魔石もどこかで使っているのだろう、時折涼しい風が通路の中を通っていった。
中の様子に感心していると、近くで壁を掘っていた鉱夫が声をかけてきた。

「よう新入りか?」

「いえ、僕たちはちょっと見学に来ただけです。」

「ああそうだったのか、ここの採掘場所を見た感想は?」

マクレーンの返事に鉱夫は悪戯な笑みを浮かべながらそう言ってきた。

「想像していたのよりだいぶ居心地いいですね。」

今度はニコルが答える。

「そりゃあそうさ!」

その言葉に鉱夫は嬉しそうににかりと笑いながら頷いた。

「ここはなんてったって”大地の魔女様”が目を光らせてるからなぁ、上の人間達の暮らしには口を出さないが、こと地面に関しちゃおっかねえんだ!下手なことしたら怒られちまわぁ!」

鉱夫は笑顔こそ崩しはしなかったがそう言いながらぶるりと震えてみせた。

「なるほど、大地の魔女が監視してたら変な事はできないよなぁ。」

「おうよ!兄ちゃんわかってくれるか!」

アランがうんうんと納得したように頷くと鉱夫は眉根を下げて同意を求めてきた。

そりゃ当たり前だ。

なんてったって『大地の魔女』が相手では、いかに荒くれ者で凶悪な人間だろうと、大人しくなってしまうだろう。

大地の魔女とは、世界を統べる四人の魔女たちの母親だ。
その力は強大で、娘達を遥かに凌駕すると云われている。
四人の魔女達が生まれる前までは、彼女が四つの大地を統治していたのだ。
子供達が生まれると、大地の魔女はウイッチブレイクに引っ込み、亀裂と浮島を見守るようになったという。
そんな魔女が目を光らせているこの場所で、粗相などできよう筈もない。
採掘場所の拡張も治安も維持にも気を抜けないというものだ。
そんな事情をマクレーン達は理解すると「ご愁傷様」と胸中で手を合わせるのだった。







「他には……おっ、闘技場もあるぞ!」

採掘場所から地上に帰って来たマクレーン達に、アランはガイドブックを目で追いながら嬉しそうに言ってきた。
気のせいか先程よりも、瞳が期待でキラキラしているように見える。
マクレーンは若干げんなりしつつ、アランに視線を合わせた。

「なっ、なっ、行ってみようぜ!!」

物凄く行ってみたいらしい……。

お一人でどうぞ、と言いかけたマクレーンにアランは捨てられた子犬のような眼差しを向けてきた。

――その視線は反則じゃないかなぁ……。

マクレーンは頬を引き攣らせながら内心で抗議する。
垂れた耳と尻尾が見えてきそうな勢いでアランのおねだり攻撃が続いていた。

「闘技場か~、はぁ……面白そうだなぁ。」

ちらっちらっと年上の筈の自称傭兵がこちらの様子を窺ってくる。
近くを通った女性が頬を染めながらこちらを振り返っていた。
なまじ顔の良い男がやると絵になるから腹立たしい。
マクレーンは眉間に皺を寄せていると、隣にいたニコルが「行ってあげましょうよ」と降参してきた。
2対1。
完全に分が悪い。
マクレーンが渋々承諾すると、アランはパアアと輝くばかりの笑顔を披露したのであった。
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