俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ

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6月

第十二話「テスト勉強」

 中間テストまであと二週間を切った。普段は飄々としているクラスメイトたちも焦り気味だ。教師からは範囲の発表が行われており、教室全体に緊張感が漂っている。
 俺の席に白石さんが近づいてきた。

「ねえ山田君、もしよかったらテスト勉強を一緒にしない?」
「え?」
「一人でやるのもいいんだけど、人によって得意不得意違うでしょ」
「あ……うん」

 彼女の目は真剣だ。断る理由はない。

「了解。いつがいい?」
「明日の放課後とかどう?」
「分かった」

「話は聞かせてもらった!」

 突然割り込んできたのは天宮瑠璃だった。彼女は満面の笑みで手を挙げている。

「私も入れてくれない?」
「まあ……人数が多い方がいいね」
「やった!決まりだね」

 こうして急遽、第一回勉強会が開催されることになった。

***

「……」

 翌日の放課後、俺の家へ集合となった。メンバーは俺と白石さん、天宮さん。更に千春と凛もやって来た。

「白石さんくっ付き過ぎだよ」
「そう?」
「当たり前じゃん!」
「何をそんなに目くじら立ててるの?」
「私が拓海の幼馴染だもん」

 千春と白石さんの間にバチバチと火花が散っている。そんな中で凛は我関せずといった感じに俺の制服の裾を摘まんで、天宮さんは微笑ましそうに後ろから眺めている。
 腕に二人の胸が当たる感触……やばい。

 白石さんの家に到着し、各自勉強道具を広げ始めた。
 まずは苦手科目である数学から始める。教科書を広げて公式集を確認する。

「ここはね……」

 白石さんが丁寧に説明してくれる。めちゃくちゃ理解しやすい。

「できた……!ありがとう」
「どういたしまして」

 教科書に落書きをしていた千春が顔を上げる。

「あたしも数学は苦手……でも英語は任せて!」
「確かに、佐藤さんは英語が得意そう」
「得意っていうか大好きなんだ」

 千春が発音サンプルを披露してくれる。ネイティブ並みに滑らかだ。
 俺の英語力は壊滅的だけどこれを機に鍛え直したい。

「過去問を解きましょうか」
「そうですね」

 白石さんが参考書を持ってきてくれた。例題を解いてみると案外理解できていることに驚く。
 みんなと勉強するのも悪くない。

 休憩時間に入ると千春がお菓子を持ってきてくれた。チョコレートやクッキーなどがテーブルに並ぶ。

「はいみんな!おやつタイムだよ」
「ありがとう」

 千春のチョイスは絶妙で美味しい。甘いもの食べながら雑談するとまたやる気が出てくる。

「山田君、ここ教えて」

 凛が現国で引っ掛かったらしい。古典の問題だった。

 説明していると凛の髪からシャンプーの匂いが漂う。距離感ゼロだ。

「なるほど……そうなんだ」
「うん。似たような問題だとこっちの文脈も……あの、近くない?」
「そう?」

 メチャクチャ距離が近い。彼女の吐息がかかるほどだ。
 膝と膝が接触してしまい思わずドキッとする。

「冬月さん!」
「ん……?」

 白石さんだ。鋭い視線を投げかけている。

「山田君にくっ付きすぎです」
「くっ付いてないけど……?」
「む、無意識でも近すぎます」

 一瞬で氷河期到来みたいな空気になってしまった。慌てて二人の間に入る。

「と、とりあえず続けていこう。あと一時間で終わらせよう」

 なんとか場を収めつつ勉強を再開する。
 気まずい空気を払拭するように天宮さんに話題を振る。

「そういえば陸上の大会はテストの後だっけ?」
「そうだね~。テスト期間が終わった次の週、テスト期間で思う存分練習できないから調整が大変かも」
「頑張って」
「ありがと!」

 天宮さんは明るく返してくれた。この場の救世主と言っていい。
 その後の勉強会は円滑に進み、結局二時間近く続いた。

***

 そうして迎えた中間テスト。

「うわぁ……すごい……」
「頑張った甲斐がありました」

 白石さんと天宮さんと一緒に答案用紙を見る。

「数学はどう?」
「自分史上最高レベル。やったね!」

 千春が嬉しそうに笑う。

「拓海君も凄いじゃん!」
「みんなのおかげだよ」

 数学は白石さんのおかげで飛躍的向上、英語は千春のおかげで上位にくい込んだ。
 今までで一番成績が良かったのだ。

 放課後。全員で集まる。

「これからも定期的にやろうか?勉強会」
「賛成だよ!テストのたびにみんなで勉強するの楽しそう!」
「いいね。また集まろうよ」
「今度は拓海の家でもいいよね?」
「え?俺の家?」
「私も行きたい」

 みんながうんうんと頷く。

「あ~、分かった。じゃあ期末テスト期間に……」
「ありがとう!」
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