俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ

文字の大きさ
14 / 19
6月

第十三話「青春の汗と風を感じて」

 初夏の陽射しが校庭を照らす。一年で活気溢れる行事――体育祭が始まった。
 俺は全員参加の100m競争だけに参加する。

 白石さんは障害物競走。天宮さんは当然ながらリレーの花形。
 そして凛は玉入れに謎の参加。
 千春は借り物競争にエントリーしている。

「位置について!」

 スタートラインに立つ。スターターピストルを持つ教師が構える。
 ピストルが鳴ると同時に駆け出す。
 クラスのメンバーたちから応援の声が飛ぶ。
 
 しかし、ゴール直前で他の生徒と接戦になり、俺は負けた。
 悔しさがこみ上げてこないのは俺がこういったものに本気で取り組んでいないからだなぁ。

「惜しかったね!」

 千春が駆け寄ってくる。千春もさっき100m競争で走ったからか、額に汗を光らせていた。

「もう少しだったのに」

「でもいい勝負だったよ」

 白石さんがメガホンを持って現れる。
 意欲のない俺がこうやって応援とからフォローとかされると申し訳ない気持ちになってくる。

「次は私の番ですね。山田君、見ててくださいね!」

 いつもの冷静な表情だけど、目の奥には闘志が燃えている。
 彼女も負けず嫌いなのだ。

「応援するよ」
「期待してます」

 白石さんはコースに向かっていく。

 スタートの合図と共に彼女は勢いよく走り出す。
 他の生徒たちを圧倒する速さでどんどん抜かしていく。

「白石頑張れー!」

 彼女のファンクラブ(非公式)と思われる男子たちの声援が響く。
 恥ずかしいが、俺も白石さんの応援に混じる。

「白石さん!がんばれ!」

 俺の応援が届いたのかどうかはわからないが、途端に白石さんは更に加速した。
 結果は一位。

「見ていましたか?」
「ああ、すごかったよ」
「山田君の応援が励みになりました!」
「そう言われると照れるね」

 白石さんが抱き着いてくる。
 思わずドキッとする。
 更に周囲の視線が刺さる。

「ちょっと……!見られてるから」
「嫌でしたか?」
「い、いやそういうわけじゃ……」

 彼女は俺の顔を覗き込みながら尋ねてくる。なんだか最近こういうスキンシップが多くなってきてる気がする。

 次の100m競争その中に天宮瑠璃の姿があった。
 陸上部所属の彼女はチーム内のエース的存在。軽いウォーミングアップをしているその様子は見るからにプロフェッショナルだ。
 準備運動の際の柔軟性は流石と言う他ない。肩甲骨の可動域が半端ない。

「よしっ!いくよ!」

 気合十分といった感じでスタートラインに立つ。
 服装はTシャツ姿。彼女のスタイルの良さが際立っている。特に胸部は豊かでその存在感がありありと分かる。
 男子たちの視線が釘付けになっている。

「位置についてー」

 係の先生が指示を出す。
 スタート前の静寂。彼女は集中力を高めている。

「よーい……パンッ!」

 号砲と同時に全員がスタート。
 しかし天宮だけは桁違いのスピードだった。
 フォームも完璧で無駄の無い動きだ。
 何より衝撃的なのは腕の振りに合わせて上下左右に激しく揺れる双丘。
 Tシャツの上からその柔らかさと重量感が伝わってくるほどダイナミックな動きだ。

「すげぇ……」

 隣にいた男子が呟く。
 気持ちはわかる。
 あんなの見せられたら誰だって釘付けだよな……

 他の女子ランナーたちが遅れを取る中で天宮は一人圧巻の走りで駆け抜けゴールテープを切った。
 本人も納得の表情で親指を立てている。

「天宮さん、お疲れ様」
「山田君!見ててくれた?えへへ~頑張っちゃった♪」

 汗で髪の毛が頬に貼り付いた天宮瑠璃。
 清々しい笑顔だがまだ心臓のバクバクは収まっていない。恐らく運動による興奮が原因だと思う。きっとそうであってくれ……
 俺の股間も既に異常事態を示唆している。

 会話しながらもちらちらと彼女の胸元に目が行ってしまう自分が情けない。
 意識しないようにしても視界に入ってしまうのだからしょうがない。

「次の種目は私がリレーに出るからそっちも応援よろしくね!」
「うん。応援するよ」
「約束だからね!」
「分かってるって」
「ふふふ……楽しみにしてて?」

 ウィンク一つ残して彼女は去っていった。
 残された俺はドキドキする胸を抑えきれずにいた。

 彼女の残像が目に焼き付いて離れない……
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする

エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》  16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。  告白されて付き合うのは2か月後。  それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。  3人のサブヒロインもまた曲者揃い。  猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。  この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?  もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!  5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生! ※カクヨム、小説家になろうでも連載中!

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

洗脳機械で理想のヒロインを作ったら、俺の人生が変わりすぎた

里奈使徒
キャラ文芸
 白石翔太は、いじめから逃れるため禁断の選択をした。  財閥令嬢に自作小説のヒロインの記憶を移植し、自分への愛情を植え付けたのだ。  計画は完璧に成功し、絶世の美女は彼を慕うようになる。  しかし、彼女の愛情が深くなるほど、翔太の罪悪感も膨らんでいく。  これは愛なのか、それとも支配なのか?  偽りの記憶から生まれた感情に真実はあるのか?  マッチポンプ(自作自演)の愛に苦悩する少年の、複雑な心理を描く現代ファンタジー。 「愛されたい」という願いが引き起こした、予想外の結末とは——

Bグループの少年

櫻井春輝
青春
 クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。