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6月
第十四話「輝けるステージ」
体育祭も佳境に入ってきた。
次の競技は借り物競争。
トラック上に並んだ紙には様々な借り物についてが書いてあるらしい。
「千春ちゃん、大丈夫?」
「うん!任せて!」
クラスメイトと話した後に、スタートラインに立つ彼女は緊張と興奮が入り交じった表情だ。
号砲とともに選手たちは走り出し順番に箱を開けていく。
紙切れを取り出した選手たちはそれぞれの品物を探しに散っていく。
さて千春は……
彼女は紙片を取り出して内容を確認するとぱっと顔色を変えた。
何か珍しいものでも書いてあったのか?
彼女は迷うことなく一直線にこちらへ走ってきた。
「拓海!一緒に来て!」
「え?ちょっ……マジ?!」
「おおマジ」
手を引かれて走り出す。
ゴールにまで辿り着き、審判員がカードを確認。
「はい、問題ないです!」
「やったー!」
汗に濡れた額を拭いながら微笑む千春。
その仕草があまりにも眩しくて直視できない。
「それで、何が書いてあったの?」
「ん?これ」
千春が見せた紙には「気になる異性」と書かれていた。
……こういうの普通見せずにモヤモヤさせるものだと思ってたけど、思えばすでに千春の気持ちは伝えられていた。
すっごい良い笑顔で言うから余計に心臓が忙しくなってしまう。
「こういうのお題にいれるの禁止にしたほうが良くない?」
「私は運命的だと思うけどな」
「勘弁してください……」
ドキッとする程の真っ直ぐな言葉と眼差しに胸がキュンとなる。
こんな風に想いを真っ直ぐ投げつけられることに慣れていないせいで、どうしていいか分からない。俺は返事代わりに苦笑いしながら肩をすくめた。
■
「凛は玉入れに参加するんだっけ?」
「うん……面倒だけど」
冬月凛は気怠そうに答えた。
競技が始まるのでグラウンド中央の籠付近へ歩いていく。
「頑張って」
「できる限り……」
相変わらず抑揚のない返答だ。
ただ、彼女の淡々とした態度が逆に好感を得ているらしく、一部の生徒からはアイドル扱いを受けている。
笛の合図とともに玉入れが始まった。
各クラス代表者たちが必死に籠へ球を投げ込む中で、凛だけが無表情でぽいぽいと球を投げ続けている。その様子があまりにも事務的でシュールだ。
「見てて面白い光景だな……」
「あれでちゃんと点入ってるみたいよ」
隣に来た千春が解説してくれる。
確かに淡々とした動作ながら高い命中率を維持している。
試合終了の笛が鳴り、勝敗が確定した。
結果は凛のクラスの勝利。
報せを受けた彼女は一瞬だけ目を細めた気がしたがすぐに通常運転に戻った。
「すごいじゃん!」
「別に褒められるほどのことじゃないけど……」
千春の称賛にも素っ気ない返事をする。
それでもどこか満足げな雰囲気を感じるのは気のせいだろうか。
「来年は他の競技にも出れば?」
「個人戦はないかな……」
面倒くさいと言う割にはそれなりに楽しんでいるようで微笑ましい。
■
夕方。体育祭が終わり片付けが始まる。
天宮さんが駆け寄ってきた。
「うへ~、流石に疲れちゃったよ」
背後から体重をかけてくる。
シャツが汗で湿っていて直接肌の感触が伝わる。
「ちょっ!重いって!」
「ひどーい!乙女に対してなんて言い方するの!」
背中のぬくもりが心地よいのは秘密だ。
ムニュゥゥと背中に押し当てられるやわらかな感覚。多分これ以上何も言わないのがお互いのためだと自分に言い聞かせる。
「……凄かったね」
「ムッフッフ!陸上部ですから……そうだ!今度一緒に走らない?朝走ってるんだけど、一人だと退屈な時があって」
「いや、俺は……」
「健康習慣としてもオススメだよ~。それに……」
「それに?」
「山口君と一緒にいると楽しいから!」
キラキラした瞳で見つめられると断れない。
俺は黙って首を縦に振った。
「わ、わかったから……」
「やった!約束だよ」
無邪気に喜ぶ彼女。ピョンピョン跳ねて、そのたびに大きな胸がブルンブルンと暴れまわる。
意識を向けないようにするのは至難の業だった。
次の競技は借り物競争。
トラック上に並んだ紙には様々な借り物についてが書いてあるらしい。
「千春ちゃん、大丈夫?」
「うん!任せて!」
クラスメイトと話した後に、スタートラインに立つ彼女は緊張と興奮が入り交じった表情だ。
号砲とともに選手たちは走り出し順番に箱を開けていく。
紙切れを取り出した選手たちはそれぞれの品物を探しに散っていく。
さて千春は……
彼女は紙片を取り出して内容を確認するとぱっと顔色を変えた。
何か珍しいものでも書いてあったのか?
彼女は迷うことなく一直線にこちらへ走ってきた。
「拓海!一緒に来て!」
「え?ちょっ……マジ?!」
「おおマジ」
手を引かれて走り出す。
ゴールにまで辿り着き、審判員がカードを確認。
「はい、問題ないです!」
「やったー!」
汗に濡れた額を拭いながら微笑む千春。
その仕草があまりにも眩しくて直視できない。
「それで、何が書いてあったの?」
「ん?これ」
千春が見せた紙には「気になる異性」と書かれていた。
……こういうの普通見せずにモヤモヤさせるものだと思ってたけど、思えばすでに千春の気持ちは伝えられていた。
すっごい良い笑顔で言うから余計に心臓が忙しくなってしまう。
「こういうのお題にいれるの禁止にしたほうが良くない?」
「私は運命的だと思うけどな」
「勘弁してください……」
ドキッとする程の真っ直ぐな言葉と眼差しに胸がキュンとなる。
こんな風に想いを真っ直ぐ投げつけられることに慣れていないせいで、どうしていいか分からない。俺は返事代わりに苦笑いしながら肩をすくめた。
■
「凛は玉入れに参加するんだっけ?」
「うん……面倒だけど」
冬月凛は気怠そうに答えた。
競技が始まるのでグラウンド中央の籠付近へ歩いていく。
「頑張って」
「できる限り……」
相変わらず抑揚のない返答だ。
ただ、彼女の淡々とした態度が逆に好感を得ているらしく、一部の生徒からはアイドル扱いを受けている。
笛の合図とともに玉入れが始まった。
各クラス代表者たちが必死に籠へ球を投げ込む中で、凛だけが無表情でぽいぽいと球を投げ続けている。その様子があまりにも事務的でシュールだ。
「見てて面白い光景だな……」
「あれでちゃんと点入ってるみたいよ」
隣に来た千春が解説してくれる。
確かに淡々とした動作ながら高い命中率を維持している。
試合終了の笛が鳴り、勝敗が確定した。
結果は凛のクラスの勝利。
報せを受けた彼女は一瞬だけ目を細めた気がしたがすぐに通常運転に戻った。
「すごいじゃん!」
「別に褒められるほどのことじゃないけど……」
千春の称賛にも素っ気ない返事をする。
それでもどこか満足げな雰囲気を感じるのは気のせいだろうか。
「来年は他の競技にも出れば?」
「個人戦はないかな……」
面倒くさいと言う割にはそれなりに楽しんでいるようで微笑ましい。
■
夕方。体育祭が終わり片付けが始まる。
天宮さんが駆け寄ってきた。
「うへ~、流石に疲れちゃったよ」
背後から体重をかけてくる。
シャツが汗で湿っていて直接肌の感触が伝わる。
「ちょっ!重いって!」
「ひどーい!乙女に対してなんて言い方するの!」
背中のぬくもりが心地よいのは秘密だ。
ムニュゥゥと背中に押し当てられるやわらかな感覚。多分これ以上何も言わないのがお互いのためだと自分に言い聞かせる。
「……凄かったね」
「ムッフッフ!陸上部ですから……そうだ!今度一緒に走らない?朝走ってるんだけど、一人だと退屈な時があって」
「いや、俺は……」
「健康習慣としてもオススメだよ~。それに……」
「それに?」
「山口君と一緒にいると楽しいから!」
キラキラした瞳で見つめられると断れない。
俺は黙って首を縦に振った。
「わ、わかったから……」
「やった!約束だよ」
無邪気に喜ぶ彼女。ピョンピョン跳ねて、そのたびに大きな胸がブルンブルンと暴れまわる。
意識を向けないようにするのは至難の業だった。
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