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7月
第十八話「夏の予定帳」
蝉の声が校庭の木々から絶え間なく響き渡り始めていた。七月も半ばを過ぎると、気温は容赦なく上昇し、登校するだけで汗が噴き出すほどだ。
授業もほとんどなくなり、終業式を待つばかりになった教室は開放感と少しの退屈さが入り混じった空気で満たされていた。
「えー、もうすぐ夏休みですが、羽目を外しすぎないように」
担任が出席簿を閉じながら釘を刺す。三年生なら就職活動や進学準備に勤しむところだが、二年生の拓海たちにとってはまだまだ遊び盛り。そんな忠告も右から左へ聞き流すのが常だ。
チャイムが鳴り終業式までの最後の授業が終わった。途端に教室はガヤガヤと騒がしくなる。
「なぁなぁ!夏休みどっか行こうぜ!」
「花火大会一緒に行かない?」
あちこちから聞こえる楽しげな計画の話に自然と耳が傾いてしまう。俺は鞄に筆箱をしまっていると、突然机の上に影が落ちた。
「山田くん!」
顔を上げると満面の笑みの天宮さんが俺の机に身を乗り出してきた。近くで見るとやはり彼女の美貌は破壊力が高い。健康的に日焼けした肌とキラキラした瞳が眩しい。
「何?急に」
「夏休みの予定決めよ!」
「は?」
予想外の誘いに一瞬呆然とする。彼女は期待に満ちた目でこちらを見つめてくる。
「いや……別に俺は……」
「えぇー!せっかくの夏休みだよ?遊ばなきゃ損だよ!」
「でも……」
「海!プール!どっちでもいいよ!」
「……ちょっとハードル高いというか……」
「なんで?楽しくなるよきっと!」
拓海の目の前で揺れる胸、それがとても、ハードルが高いのだ。
「天宮さん? 何やってるんですか?」
そこに割り込んできたのは白石さんだ。いつの間にか近くにいた彼女はニコニコしながら会話に参加してくる。
「あ!白石さんも!一緒に海とかどう?」
「いいですね~ でも私も色々用事がありますし……お盆は家族で旅行ですし」
「うぅ……じゃあ他の日!」
「もう少し考えてからじゃないと予定立てにくいですねぇ」
白石さんはあいまいに濁す。彼女の笑顔の裏には読めない計算がありそうで油断できない。
拓海は2人の押しの強さに困り顔。
「とりあえず海はまた別の機会で」
「えぇー」
天宮さんの不満げな声を背に教室を出ようとするが、そこでまた声をかけられる。
「山田くん……ちょっといい?」
廊下で待っていたのは冬月凛だった。いつもの無表情だが少しだけ緊張しているように見える。
泳げないことを克服しようと水泳の授業で相談に乗って以来、彼女から声をかけてくる頻度が増えた気がする。
「どうしたの?」
「私も行きたい……海」
「……凛も?」
「うん……」
正直彼女がそういうイベントに積極的になるイメージが湧かないので驚きだ。
「行くよね……?」
凛が食い下がってくる。その真剣な瞳には強い意志が宿っているように感じられた。
「わかったわかった。まあ俺も暇だし付き合うよ」
「ありがと……」
ホッとしたような表情を見せる凛。こういう時、彼女は本当に可愛らしい。
「決まりだね!佐藤さんは私から声かけておくから、日程はまた後程ってことで!」
背後から天宮さんが背中を叩く。
「みんなで行くとなったら結構な人数になるね」
「そうだね!賑やかで楽しそう!」
拓海は不安だった。主に肉体的な意味で。
授業もほとんどなくなり、終業式を待つばかりになった教室は開放感と少しの退屈さが入り混じった空気で満たされていた。
「えー、もうすぐ夏休みですが、羽目を外しすぎないように」
担任が出席簿を閉じながら釘を刺す。三年生なら就職活動や進学準備に勤しむところだが、二年生の拓海たちにとってはまだまだ遊び盛り。そんな忠告も右から左へ聞き流すのが常だ。
チャイムが鳴り終業式までの最後の授業が終わった。途端に教室はガヤガヤと騒がしくなる。
「なぁなぁ!夏休みどっか行こうぜ!」
「花火大会一緒に行かない?」
あちこちから聞こえる楽しげな計画の話に自然と耳が傾いてしまう。俺は鞄に筆箱をしまっていると、突然机の上に影が落ちた。
「山田くん!」
顔を上げると満面の笑みの天宮さんが俺の机に身を乗り出してきた。近くで見るとやはり彼女の美貌は破壊力が高い。健康的に日焼けした肌とキラキラした瞳が眩しい。
「何?急に」
「夏休みの予定決めよ!」
「は?」
予想外の誘いに一瞬呆然とする。彼女は期待に満ちた目でこちらを見つめてくる。
「いや……別に俺は……」
「えぇー!せっかくの夏休みだよ?遊ばなきゃ損だよ!」
「でも……」
「海!プール!どっちでもいいよ!」
「……ちょっとハードル高いというか……」
「なんで?楽しくなるよきっと!」
拓海の目の前で揺れる胸、それがとても、ハードルが高いのだ。
「天宮さん? 何やってるんですか?」
そこに割り込んできたのは白石さんだ。いつの間にか近くにいた彼女はニコニコしながら会話に参加してくる。
「あ!白石さんも!一緒に海とかどう?」
「いいですね~ でも私も色々用事がありますし……お盆は家族で旅行ですし」
「うぅ……じゃあ他の日!」
「もう少し考えてからじゃないと予定立てにくいですねぇ」
白石さんはあいまいに濁す。彼女の笑顔の裏には読めない計算がありそうで油断できない。
拓海は2人の押しの強さに困り顔。
「とりあえず海はまた別の機会で」
「えぇー」
天宮さんの不満げな声を背に教室を出ようとするが、そこでまた声をかけられる。
「山田くん……ちょっといい?」
廊下で待っていたのは冬月凛だった。いつもの無表情だが少しだけ緊張しているように見える。
泳げないことを克服しようと水泳の授業で相談に乗って以来、彼女から声をかけてくる頻度が増えた気がする。
「どうしたの?」
「私も行きたい……海」
「……凛も?」
「うん……」
正直彼女がそういうイベントに積極的になるイメージが湧かないので驚きだ。
「行くよね……?」
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「わかったわかった。まあ俺も暇だし付き合うよ」
「ありがと……」
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「決まりだね!佐藤さんは私から声かけておくから、日程はまた後程ってことで!」
背後から天宮さんが背中を叩く。
「みんなで行くとなったら結構な人数になるね」
「そうだね!賑やかで楽しそう!」
拓海は不安だった。主に肉体的な意味で。
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