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主人公の悩みは続く
しおりを挟む「はっ?」
「困らせるって分かってる…でも、この前黒木と連れ立って歩くお前を見て、いてもたってもいられなくなった。」
主人はそこで一回区切ると、俺の手首を掴んでいた腕は力なく下ろされた。
主人の表情は戸惑いを隠せない、と言った表情だった。
「なんなんだ、俺…なんでこんな事考えんだ?」
後半はほぼ独り言のように話し続ける主人を見て、俺は悟った。
(もしかして…無自覚なのか…?)
今語られた感情は明らかに独占欲から来る嫉妬だ。
それが友情故か、それ以外の感情によるものかは今は分からない。
けれど、主人はその嫉妬の感情さえも自覚できていないようだ。
(え、俳優なのに??自分の感情に疎いの…?)
あまりにストレートにぶつけられた感情に、俺は恥じ入るしか選択肢がなかった。
嫉妬してくれていることは、素直に嬉しい。
現金だって?!なんとでも言え!!!
「あー…俺のこと大切に思ってくれてんだよな。ありがとう。」
「ごめん。こんなん言われても困るよな。
俺、仕事で他人を演じることが多くて、たまに自分の感情の整理が出来なくなるんだ。」
(そ、そういうもんなのか…)
俳優ならではの悩みに、理解出来ない俺に至っては、もう頷くことしかできない。
「そりゃ、職業病だな…困るなんて思ってないよ。
むしろ主人に好かれるなんて、俺って恵まれてるよなあ~」
俺が笑いかけると、主人は下がった眉を更に下げて俺を見つめた。
「田中、俺は…」
途中まで何か言いかけた主人は、
諦めたように言葉を紡ぐのを辞めた。
「主人、大切に思ってくれることは本当に嬉しいんだ。我儘かもしれないけど、これからもお互いに大切でありたいな。」
「田中…」
主人は、目を潤ませて俺に何かを訴えかけてくる。
でも、何故だかそれは今じゃ無い気がしていた。
俺は無理やり話題を転換し、気分を紛らわす。
「主人、これからもよろしくな!」
「ああ、勿論。」
主人はどこか残念そうで、辛そうな表情はそのままに、薄く微笑んだ。
俺はその表情にドギマギしながらも、
今ここでどうにかなるのは正しく無いという思いでいた。
ゲームのキャラクターにこんな事を考えるのは可笑しな話だと思いながらも、
真摯な表情を向けられると真剣に応えざるを得なかった。
(いつか主人の気持ちに整理がついたら、改めて俺に教えて欲しい。)
俺は複雑な心境で、主人と桜を眺めていた。
「なあ、田中…明日も昼食いに行こうな。」
「そりゃ勿論。」
「…明日は一緒に帰れるか?」
「当たり前じゃん。主人のそういう頼みは断らないよ。」
「そう…か」
主人の嬉しそうな笑みを横目に、
俺はこのゲームの厄介さを身に染みて感じた。
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初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
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