【R20】螺旋の果て

螺旋の果て（上）

第６章 【編成】

　オレは二ヶ所に仕事の拠点がある。

　必然的に、それぞれにマンションがある。
　
中間地点にマンションを探した。

オレの夢の城。

有り金を叩いて購入した。

　最上階であること。

　庭があること。

　海が見えること。

　防音設備のある部屋があること。


そして見つけた。

アイツを飼うのに相応しい場所。

　相談などは必要ない。

　しばらく逢っていない裕希に書類を送った。

しばらくどころか、アイツとは、見合いの日から数回しか逢っていない。

　マンションの名義変更の書類と地図。
　
　オレの名前と捺印のある紙切れ一枚。

　手紙を添えた。

『仕事を辞める手配をしなさい。
地図の場所は裕希の家です。行ける手配が出来しだい連絡を下さい。

同封の紙切れは、お前が出しておきなさい。』

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　マンションには、オレしか空けることの出来ない部屋がある。

グランドピアノが二台置けるほどの防音設備がされた部屋。

赤と黒と鏡で出来た部屋。

内装こそ業者に任せたが、備品は、自前で揃えなきゃならなかった。

ただ、協力者もいてくれたおかげで、理想の部屋が完成した。

　部屋の１面と天井には、鏡が貼られている。

　天井には黒い梁があり、吊り下げるための金具が垂れている。

　赤と黒の壁には、道具を置くための棚。

　むき出しのトイレや、小さな洗面所。

　フローリングの床に、パイプベッドと特別な椅子とソファー。

窓は…無い。

　オレの小さな書斎以外、ダイニングやキッチンや庭、リビングは最低限の生活用品だけ。

　アイツのセンスに任せよう。


そして…

車庫にクルマを用意した。

オレのペットが乗るに相応しいクルマ。