キラリの恋は晴れのち晴れ!

CPM

文字の大きさ
52 / 80

第51話 奈落の底

しおりを挟む
翼の父は、どうすれば翼を上手く説得し、キラリのことを諦めるさせることが出来るのか考え悩んでいた。


やはり………翼があれだけ意地になってる以上、翼を説得するのはおそらく難しいだろうな………
ということは、相手のお嬢さんの方に翼から離れてもらうしかないか………


~それから数日後~


キラリは翼の居ない生活に張り合いが無くなってしまい、学校が終わるとすぐに家に閉じ籠る生活が続いていた。そしてこの日は一人で帰宅することになったのだが、学校の校門を出た所で一台の場違いな黒塗りの高級車が横付けされていた。

キラリはそれを横目に過ぎ去ろうとしたとき、その高級車の後ろの窓が下りて見知った女性が顔を出した。


歩実「あら、そこの頭の悪そうなお嬢さん………偶然ね!」

キラリは歩実の顔を見てぎょっとした。

キラリ「あ………あんたは!!!」

歩実「その節はどうも。あなた、公衆の面前で私に恥をかかせてくれたわね………今日はあなたに良い報せを持ってきてあげたわよ」

歩実は片方の口角を上げて、キラリを斜め上目遣いに見上げ、嫌味たっぷりな表情で

「あのねお嬢さん………あなたの大好きな翼が、今度私と結ばれることになったの。ゴメンなさいね………やっぱり翼も目が覚めたみたいよ………お父様に連れ戻されて、何不自由無く暮らせる環境に戻って………やっぱり自分の居るべき場所はここだったんだって………自分は本来一般庶民の豚小屋なんかで不自由な暮らしをするべきじゃ無かったんだって………そして、あなたみたいな口の悪いお嬢さんとは一緒に居るべきでは無かったって………」

歩実はキラリが怒りに満ちた表情で聞いているのを楽しむかのように続ける。

歩実「だってわかるでしょ?翼は財閥の子息なのよ?将来大企業の社長を約束された男なのよ?その相手があなただなんて、恥ずかしくて世間に顔向け出来なくなってしまうじゃない?あなたも可哀想に………翼の気まぐれに振り回されて、ひとときの淡い夢を見せられて………あぁ~………翼はなんて罪な男なのかしら………翼がね………あなたに謝っておいて欲しいって頼んで来たわよ。中途半端に期待持たせて、もてあそんでしまってゴメンねって………」

キラリは歩実の言葉をにわかには信じられない思いだった。

そんなはずないよ………翼がそんなこと言うはずないよ………だって翼は………あのとき………きっとこの女は嘘をついてる………この前の仕返しをしに来たに違いないんだ………翼は………翼はそんな男じゃない!

キラリ「お前!適当なことばっか言ってんじゃねぇよ!翼がそんなこと言うはずないだろ!」

キラリは人目もはばからず、怒りを露にして怒鳴った。
この異様な光景を、通り過ぎる全ての学生達が遠巻きに見ている。

歩実「アハハハハハハッ………なんて哀れなお嬢さんだこと………あまりにも信じがたい事実に現実逃避したくなる気持ちはわかるわ………でも………人生ってほんとわからないものなのよねぇ………翼のお父様から直々に私の所へ来て下さって、翼に相応しいのは私だけだって言われてしまったら、私も断る訳にはいかなかったの。だから、もう翼のことは諦めてちょうだいね」

キラリ「そんなの信じるもんか!翼の口から直接聞かない限り、そんなこと絶対に信じない!!!」

歩実「あら、そう?じゃあ直接翼の口から聞いてみる?いいわよ!でも………その現実を知ってショックのあまり自殺とか止めてよ?なんか私があなたを追い込んだみたいで後味悪くなってしまうから………」

歩実はそう言ってスマホを手に持ってキラリに差し出した。

キラリはそれをじっと見つめて立ち尽くす。

歩実「どうしたの?直接翼の口から聞きたいんでしょ?かけてご覧なさい?」

キラリは震える手で恐る恐る手を伸ばし、そしてそのスマホを受け取る。

歩実「そのまま発信をタップすれば翼に繋がるわ!さぁ、どうぞ?」

キラリは動くことが出来ない。

ほんと?翼………本当なの?本当に翼はこんな女と………
どうして?今までたくさん私にくれた言葉は………本当は………本当は私をもてあそんでただけなの?

歩実「どうしたの?あなたが翼から聞きたいって言ったんじゃない?それとも、現実を受け止める勇気が無いのかしら?」

キラリは震える指で発信をタップした……


そのスマホは、キラリと翼との現実という名の扉を開けて繋ぎ会わせようとしていた。

〝プップップップップップッ〟


呼び出し前の接続音がなり、そして呼び出し音に切り替わった。


トゥルルルルルル……トゥルルルルルル…

「はい?」

キラリは翼の声を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になり、何を話したらいいのかわからなくなっていた。

そして、間髪入れずに翼が続ける。

「キラリ、悪い……俺は歩実と一緒になることにしたんだ。もうお前とは会う気はないから連絡してこないで欲しい………今までお前のことをもてあそんで悪かった……それじゃ……」

一方的にそう言われて切られてしまった。

キラリは放心状態で立ち尽くしている。

キラリにとってこの現実を受け止めるには、あまりにも唐突過ぎて、かつ信じがたい言葉の連続であった。

キラリはここに自分が存在していることすらわからない程に頭の中の整理が追い付かない。


キラリ!?ねぇ、キラリどうしたの!?

どこか遠くで誰かが叫んでる………
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

エモパレ ―感情が見えるぽっちゃりな私が、オジさま副局長を無自覚なまま搦め捕るまで―

久乃亜
恋愛
前世の記憶を持つぽっちゃり看板娘ハルネは、 人の「感情の色」が視える魔眼『エモパレ』と、持ち前の経営手腕で、実家の香房を切り盛りしていた。 そんなある日、とある事件から、 オジさま――第二調査局副局長、通称「鬼のヴァルグレイ」に命を救われ、 ハルネの理想のオジさま像に、一瞬で恋に落ちる。 けれど、彼がハルネに告げたのは、愛の言葉ではなく ――理不尽な『営業停止』の通告だった!? 納得いかないハルネは、自らの足と異能で犯人を追い詰めることを決意する。 冷徹で無表情な彼だが、なぜかハルネに同行し、過保護なまでに手伝ってくれて……? 「人生2週目」のポジティブぽっちゃり娘と、不器用な冷徹最強騎士が織りなす、 お仕事×捜査×じれじれの初恋溺愛ファンタジー! ※ 第1部(1~3章)完結済み。 毎日投稿中

課長のケーキは甘い包囲網

花里 美佐
恋愛
田崎すみれ 二十二歳 料亭の娘だが、自分は料理が全くできない負い目がある。            えくぼの見える笑顔が可愛い、ケーキが大好きな女子。 × 沢島 誠司 三十三歳 洋菓子メーカー人事総務課長。笑わない鬼課長だった。             実は四年前まで商品開発担当パティシエだった。 大好きな洋菓子メーカーに就職したすみれ。 面接官だった彼が上司となった。 しかも、彼は面接に来る前からすみれを知っていた。 彼女のいつも買うケーキは、彼にとって重要な意味を持っていたからだ。 心に傷を持つヒーローとコンプレックス持ちのヒロインの恋(。・ω・。)ノ♡

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25) 「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」 ◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20) 「京都案内しようか?今どこ?」 再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。 「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」 「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一条さん結婚したんですか⁉︎

あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎ 嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡ ((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜 ⭐︎本編は完結しております⭐︎ ⭐︎番外編更新中⭐︎

田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜

侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」  十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。  弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。  お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。  七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!  以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。  その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。  一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。

処理中です...