キラリの恋は晴れのち晴れ!

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第59話 応報

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探偵「会長、一度お相手のお嬢さんに接触されてみるのはいかがでしょうか?確かに齊藤家にとって相応しいとは言い難い部分は沢山ございましょうが、あの青年の血縁とあらば無下にも出来ないのでは?」

翼の父「あぁ、そうだな……翼の嫁に迎えるか否かは別として、一度彼女を直接見てみるのも良いかもしれない」

そう言って秘書を呼びつけ予定の調整を始めた。



その日の夜、翼の父がいつもより少し早めに帰宅すると、すぐに翼が何か思い詰めた表情で詰め寄ってきた。

翼「親父……話したいことがあるんだ」

翼の父は、翼がいよいよしびれを切らして折れてくるものだと思っていたのだが、翼の父にとっては全く予想外の言葉が出てきたことに驚く。

翼「親父……親父がキラリを受け入れられないことはよくわかった!だから俺はもうこの家とは絶縁を申し込む!」

翼の父「つ……翼!何をいきなり……ちょっと待て!まさかそんな勝手なことが許されるとでも思っているのか!」

翼「許されるも許されないも、親父が俺の提案を拒否するのであれば、俺だって親父の話は拒否するだけさ!」

翼は絶対に譲らないという固い決意を全面に打ち出して言い放った。

翼の父「翼、何もお前の話を拒否しているつもりはない。俺にもちゃんと考えはあるんだ!お互いが納得出来る落とし所を今探っているからもう少し待ってろ!」

翼「もう待てない!!!親父は俺に内緒でキラリに危害を加えようとしていることは知っている!これ以上キラリを危険な目に遭うのを見過ごすわけにはいかないんだよ!」

翼の父「わかった!あと一週間だけ時間をくれ!その間お嬢さんには誰にも危害を加えさせないと約束しよう!」

翼「本当だな!本当にキラリには何もしないと約束してくれるんだな?」

翼の父「あぁ、勿論だ!安心しろ!」

翼はその間にどうにかキラリを連れ出して守ろうと考えていた。




~翌日~


翼の父は、キラリの通う学校の校門の近くで車を待機させ、探偵にキラリの姿を探させていた。


しばらくして探偵がキラリの姿を見つけ

探偵「会長!あのお嬢さんです!」

翼の父は興味津々にキラリを観察している。

翼の父「なるほど、あの娘さんが私の命の恩人の姪か……何の因果か、世の中というのは実に不思議な出来事が起こるものだ」

そう言って翼の父はキラリの姿を目で追いながらしばらく尾行するよう運転手に指示した。

キラリは凛花と二人で駅に向かって歩いている。
その少し先を横切るように一人の男がキラリ達の前を通りすぎる。と、そのとき、急に男が胸を強く抑え発作を起こしたように苦しみ地べたに倒れこんだ。
周囲には沢山の人が歩いて居たが、その男の異常に気付いてもどうしていいのかわからないといった様子ですぐに駆け寄る者が居なかった。

しかし、キラリだけはその場にカバンを放り投げて倒れこむ男を支え声をかけた。

キラリ「オジサン!大丈夫か!?どうした!?何か薬は持ってるのか!?持病か何かか!?」

男「う……す……すまない……ちょっと……発作を……」

男は胸を強く抑えながら震える手でバッグを指差した。

男「申し訳ないが……その中の……ポケットに……」

キラリはすぐにバッグのポケットをあさり、薬らしきものを取り出し

キラリ「これか?これが薬なんだな?」

男は震える手を伸ばし、ゆっくりうなずく。
男は手が震えてキラリの手から薬を受け取ろうとするが、苦しみのせいか両手で胸を抑えて呼吸もままならない。
キラリは自分の手から男の口の中へ薬を押し入れて、自分のバッグからペットボトルを取り出し自分のジュースを飲ませて薬を流し込む。

男はしばらく苦しそうにしていたが、やがて落ち着きを取り戻し呼吸も穏やかに戻っていった。

キラリ「オジサン!大丈夫か!?」

男「ありがとう……君のお陰で助かったよ……私は持病持ちでね……時々こうして発作に見舞われてしまうんだよ……」

キラリ「良かったね。いきなり倒れるからビックリしたけど」

男は何度もキラリに礼を言って立ち去って行った。

翼の父はその様子を興味深く見ていた。

翼の父「なるほど、流石は彼の血筋の娘だね。急な事態に誰一人としてとっさに動くことが出来なかった中で、彼女一人だけは冷静に適切な対応をしていた……言葉遣いは目に余るものがあるが、実に興味深いな」

翼の父の中で、過去の残忍な事件がフラッシュバックして矢崎透の姿を思い出す。


あの時の彼の行動もまた凄まじかった。いきなり一人の若者が狂乱して刃物を振り回し、辺りは悲鳴が沸き起こり逃げ惑う人混みの中で、ただ一人その気の狂った若者の前に立ちはだかり冷静に説得しようとしたあの姿……そして自分に向かって突き付けた刃物を地面に叩きつけ取り抑える勇敢な姿……
あのとき狂乱した若者は確かに戦意を喪失していたように見えた。
そして落ち着きを取り戻したかのように見えた瞬間、近くに居た私目掛けて再び刃物を突き付けて来た……
あの時君は私を庇って私の身体を地面に押し倒そうとしたところを……
私は……
恐怖でとっさに君のことを盾にしてしまったんだ……

それなのに……君は自分の脇腹に突き付けられた刃物を離さず若者を抑えてくれた……

それが無かったらきっと更なる被害者が出ていただろう……

今度は私が……君の恩返しをしなくてはな……
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