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弟が旦那様になったので、全力で尽くした結果
1.皇妃の作法にて幾度目かの繁殖期
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繁殖期に、クレイヴェルが不在なのは初めてだった。
皇帝になってからクレイヴェルはフォルスを毎日のように抱き、繁殖期ともなれば、互いの性器が触れてない時間の方が少ないほど。
だからフォルスは最初心配していた。繁殖期には、大きく理性の箍が外れることの多くなってきた自分が、クレイヴェルのいない時に何をしでかすのか。
だが、何も起こらなかった。
一人身でいた時より遥かに凪いだ時間で、フォルスは遠征の旅に出たクレイヴェルがいつ帰ってもいいよう、政務に励み、かつて以上の精彩で的確な指示と議論への参加をした。
皇帝が帰ってくれば、この聡明の政王が、皇妃の務めを優先せねばならぬと分かっている臣下たちは、どうにかしてその指示のスピードに付いて行った。
そうして、繁殖期が始まり、数日経ち。
皇帝の帰還であった。
「皇妃殿下、陛下のお帰りでございます」
「ああ。後のことは頼んだ」
フォルスは大きく頷いて、主人であり夫で弟を出迎えるため、王城の城壁上へと向かう。通常、遠征から帰る時には竜の姿である。その場合の迎えは人身で使う出入り口ではなく、城壁上であった。
従者も伴わず、フォルスは螺旋階段を進む。こう言った時に従者が同席すると、クレイヴェルの機嫌を損ねる。だがらフォルスは一人、螺旋階段を登って行った。
階段の窓から、皇帝一行の姿が見えて、フォルスはよく見ようと、身を寄せた。
此度の遠征は、大掛かりだった故に人数も多い。
その先頭に、クレイヴェルがいた。
強大な力を持つ、死骨の竜。
すっかりその身の毒を制御しきった弟の、冠のようなツノと、マントのように揺れる翼に、その虚ろな眼窩に灯る妖しく光る紫の瞳を、吸い寄せられるように見つめて、フォルスは体が熱を上げるのを感じた。
とぷり…♡
あ、と思う暇もなかった。
クレイヴェルの姿を見た途端、子宮が熟れて、自らの雄を迎え入れるために濡れたことを、フォルスは驚きと納得で迎えた。
あれほど丁寧に、毎日のようにクレイヴェルの陰茎の形を、精液の味を教え込まれた。この弟だけが自分の雄なのだと、その律動で何度も何度も体に刻み込まれた。
ならば、他の雄に発情するはずがないのだ。
自分は、この弟のためだけの雌なのだから。
たまらず、窓から身を乗り出して、フォルスは竜身に変化する。
鹿によく似た姿の白竜は、かつて冠のように大きく広げた重いツノを失くし、羽ばたけもしない翼も失っていた。
見た目で言えば貧相になったその姿は、フォルス本人としては、ようやく得た身軽な姿である。
海竜族は、精を交わしあえば、竜身に互いの性質を移しあうことがある。ほとんど毎日のように性行しているフォルスとクレイヴェルの間でそれが起きるのは、必然と言えた。
だから今は、ツノも、翼も、クレイヴェルの竜身に移った。代わりに、フォルスには竜骨の刃と鎧が授けられた。
新しい兄上の姿も綺麗だ。
クレイヴェルはそう言って、かつてツノのあった根元と、翼のあった根元に触れた。真実そう思っていることがわかって、フォルスはほっとした。
その頃にはもう、すっかりフォルスもクレイヴェルに愛されることに溺れきってしまっており、少しでもそれを損ないたくなかったのである。
だからフォルスはその晩、ひっそりとクレイヴェルに教えた。陸の鹿という生き物は、雌にはツノがないらしい。
クレイヴェルは喜んで、俺のかわいい雌、と呼んで、念入りにフォルスの子宮を捏ねて鳴かせた。
「ヴェル」
だからこれも、教えてやろうと思っていた。
お前の望む通り、お前の顔を見るだけで股を濡らして子宮を疼かせる雌になったのだと。
王城の外、深き海流に乗って、クレイヴェルの眼前にその白く光る竜身を晒す。クレイヴェルの視線が、フォルスに向いた。
竜身を解く。
そうすれば、フォルスの体はクレイヴェルの竜身の頭ほどの大きさしかない。その骨の頭蓋に、人身で擦り寄って、その熱を伝えた。
「おかえり」
クレイヴェルの骨の頭蓋にキスをする。その冷たい感覚もたまらなかった。
はやくはやく。
俺の雄。
はやく俺の子宮を埋めて。
「ただいま、兄上」
クレイヴェルも人身に変化して、兄に答えた。
弟の熱い手の平が、するりとフォルスの腰を抱く。
この弟のぞっとするほど美しい笑みが、欲情を堪えている時のものなのだと知っているフォルスは、また子宮を疼かせて、愛液を溢れさせた。
「なんて顔してるの」
「繁殖期、だから……」
「はは、そうだね……♡」
クレイヴェルもまた、我慢の限界で、部下へと簡単に指示を出すと、脇目も振らずにフォルスを伴って王の寝室へと向かった。
王城の魔力で海水が体から離れていく。海水だけが離れて、フォルスは自らが溢れさせた淫液の存在をことさら強く感じることになった。
皇帝になってからクレイヴェルはフォルスを毎日のように抱き、繁殖期ともなれば、互いの性器が触れてない時間の方が少ないほど。
だからフォルスは最初心配していた。繁殖期には、大きく理性の箍が外れることの多くなってきた自分が、クレイヴェルのいない時に何をしでかすのか。
だが、何も起こらなかった。
一人身でいた時より遥かに凪いだ時間で、フォルスは遠征の旅に出たクレイヴェルがいつ帰ってもいいよう、政務に励み、かつて以上の精彩で的確な指示と議論への参加をした。
皇帝が帰ってくれば、この聡明の政王が、皇妃の務めを優先せねばならぬと分かっている臣下たちは、どうにかしてその指示のスピードに付いて行った。
そうして、繁殖期が始まり、数日経ち。
皇帝の帰還であった。
「皇妃殿下、陛下のお帰りでございます」
「ああ。後のことは頼んだ」
フォルスは大きく頷いて、主人であり夫で弟を出迎えるため、王城の城壁上へと向かう。通常、遠征から帰る時には竜の姿である。その場合の迎えは人身で使う出入り口ではなく、城壁上であった。
従者も伴わず、フォルスは螺旋階段を進む。こう言った時に従者が同席すると、クレイヴェルの機嫌を損ねる。だがらフォルスは一人、螺旋階段を登って行った。
階段の窓から、皇帝一行の姿が見えて、フォルスはよく見ようと、身を寄せた。
此度の遠征は、大掛かりだった故に人数も多い。
その先頭に、クレイヴェルがいた。
強大な力を持つ、死骨の竜。
すっかりその身の毒を制御しきった弟の、冠のようなツノと、マントのように揺れる翼に、その虚ろな眼窩に灯る妖しく光る紫の瞳を、吸い寄せられるように見つめて、フォルスは体が熱を上げるのを感じた。
とぷり…♡
あ、と思う暇もなかった。
クレイヴェルの姿を見た途端、子宮が熟れて、自らの雄を迎え入れるために濡れたことを、フォルスは驚きと納得で迎えた。
あれほど丁寧に、毎日のようにクレイヴェルの陰茎の形を、精液の味を教え込まれた。この弟だけが自分の雄なのだと、その律動で何度も何度も体に刻み込まれた。
ならば、他の雄に発情するはずがないのだ。
自分は、この弟のためだけの雌なのだから。
たまらず、窓から身を乗り出して、フォルスは竜身に変化する。
鹿によく似た姿の白竜は、かつて冠のように大きく広げた重いツノを失くし、羽ばたけもしない翼も失っていた。
見た目で言えば貧相になったその姿は、フォルス本人としては、ようやく得た身軽な姿である。
海竜族は、精を交わしあえば、竜身に互いの性質を移しあうことがある。ほとんど毎日のように性行しているフォルスとクレイヴェルの間でそれが起きるのは、必然と言えた。
だから今は、ツノも、翼も、クレイヴェルの竜身に移った。代わりに、フォルスには竜骨の刃と鎧が授けられた。
新しい兄上の姿も綺麗だ。
クレイヴェルはそう言って、かつてツノのあった根元と、翼のあった根元に触れた。真実そう思っていることがわかって、フォルスはほっとした。
その頃にはもう、すっかりフォルスもクレイヴェルに愛されることに溺れきってしまっており、少しでもそれを損ないたくなかったのである。
だからフォルスはその晩、ひっそりとクレイヴェルに教えた。陸の鹿という生き物は、雌にはツノがないらしい。
クレイヴェルは喜んで、俺のかわいい雌、と呼んで、念入りにフォルスの子宮を捏ねて鳴かせた。
「ヴェル」
だからこれも、教えてやろうと思っていた。
お前の望む通り、お前の顔を見るだけで股を濡らして子宮を疼かせる雌になったのだと。
王城の外、深き海流に乗って、クレイヴェルの眼前にその白く光る竜身を晒す。クレイヴェルの視線が、フォルスに向いた。
竜身を解く。
そうすれば、フォルスの体はクレイヴェルの竜身の頭ほどの大きさしかない。その骨の頭蓋に、人身で擦り寄って、その熱を伝えた。
「おかえり」
クレイヴェルの骨の頭蓋にキスをする。その冷たい感覚もたまらなかった。
はやくはやく。
俺の雄。
はやく俺の子宮を埋めて。
「ただいま、兄上」
クレイヴェルも人身に変化して、兄に答えた。
弟の熱い手の平が、するりとフォルスの腰を抱く。
この弟のぞっとするほど美しい笑みが、欲情を堪えている時のものなのだと知っているフォルスは、また子宮を疼かせて、愛液を溢れさせた。
「なんて顔してるの」
「繁殖期、だから……」
「はは、そうだね……♡」
クレイヴェルもまた、我慢の限界で、部下へと簡単に指示を出すと、脇目も振らずにフォルスを伴って王の寝室へと向かった。
王城の魔力で海水が体から離れていく。海水だけが離れて、フォルスは自らが溢れさせた淫液の存在をことさら強く感じることになった。
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