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俺ってぽめがだったのーっ?!

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ジリリリリリというけたたましい音で目が覚める。いつもなら朝日が眩しいのに、今日はなんだか暗い。
というか、むしろ真っ暗だ。

設定時間を間違えたか?いや、そんなことよりも早く止めなければ。

スマホがあるはずの方向に手を伸ばすが、見つからない。
もう少し上の方にあるだろうと思い、モゾモゾと這うが、やはりスマホを触った感覚は無い。いくら手を伸ばしても触れるのはふわふわの布団だけ。ヘッドボードにすら触れない。

そんなに下の方に寝たっけ?

そうこうしているうちに音が止まる。多分遥斗が止めてくれたのだろう。

「んー」なんて言いながら遥斗が布団をボスボスと叩く、5回ほど叩いただろうか、ガバッと起き上がったようだ。真っ暗で見えないからよく分からん。

「ひなちゃん?…雛汰?!」
どうやら俺を探しているらしい。俺はここにいるぞー

「キャンっ」

は?

「は?犬?」

犬?なんで犬の声がすんの?遥斗が連れてきた?にしては遥斗も驚いてるようだし、てか、どこから声が?

遥斗?どうなってんの?
「キャンっ、キャンっ」


「布団の中からか?」

ガバッと布団が剥がれ視界が一気に明るくなる。眩しくてしばらく目をシパシパさせる。やっと視界が戻ってきたと同時に遥斗と目が合う。おはよう遥斗!今日も可愛いな!ところで、犬の声がするんだけど、お前知らない?

「キャンキャンっ、キャン、クゥン?」


「は?なんで、ひなちゃんの服の中に犬がいんの?」

え?俺の服犬に取られてんの?!まじで?!

てか、今日めっちゃ目線が低い気がするんだけど。いつも遥斗を見上げてるっちゃ見上げてるんだけど、今日は異様に距離がある気がする。
 
遥斗が俺の方に両腕を伸ばす。おはようのハグか?いいぞ!ドンと来い!

ひょいっ

え?なんか持ち上げられたんですけど?俺そんなに軽くないはずなんだけど。下を見るとめっちゃ距離がある。ここから落ちたら…。確実にごーあうぇいだ。

はなせー!という思いを込めてじたばたする。

ん?視界に茶色いものがめっちゃ映り込んでんな。

「ちょっ、まっ、暴れんなってっ!…って急に大人しくなるじゃん…」


試しにみぎてをあげてみる。どう見ても茶色いし、毛深い。下を向くとモフモフのお腹と垂れたしっぽ。

…てことは、


俺が犬の正体?!

俺って人間だったよな?犬じゃなかったよな?

「キャンキャンっ!キャウン!」

「もしかして、ひなちゃんなの?」

おっ、さすが頭の回転が早いな!俺の遥斗はやっぱり天才だな!

「キャンっ」

肯定の意味を込めて返事する。
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