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おかえり

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「お?カナメ~おかえり~!」

「…ただいま。」

「おっかえりー!!」

悪役令嬢ほまれちゃんも早く見たいところなんですけど、日常は日常として過ごして行かないといけませんので…。

そんな中、出張してたカナメくんが帰ってきました。

みんな笑顔で迎えています。

「なんだかあの笑顔も不審に思えてくるわ…。」

まぁ気持ちは分かりますけどほまれちゃんもあの中に行かないと不審に思われますよ?

「ちぃっ…!」

舌打ちデカくない…?

急に性格変わりましたね…こんなことで大丈夫なんでしょうか?バレバレー?

「おかえりカナメくん。特に問題なかった?」

「あーうん。言われたことはちゃんとしたから。今日から普通の業務に戻るよ。」

「そっかぁ!よかった!まだ疲れあると思うけど無理しないでね!」

おー…とても自然。

ある意味不自然、ではありますけどね。

「余計なこと言わないでよね。」

ハイハイ、黙りまーす。

まあ、黙らないわけですがね?

カナメくんは『神殺し』をやってのけたのでしょう。そして、邪魔な世界の神が消えた、ということで…本格的に始まるんではないでしょうか?

こちらも他のみんなの力を使って準備が出来ているようですしね。

あとは……

「どのタイミングで私が動くか…ってことね?」

眉間にしわを寄せるほまれちゃん。真面目っぽくて良いですよ!

「私はいつでも真面目よ!失礼ね!」



「ゔんんっ!そうね…私って結構ギリギリで攻めるのも好きなのよね。」

そんな癖あるからループ失敗してるんじゃ…っと。これはミュートしてます。はい。

「好きなのもあるけど、巻き込んでくれてるお返しするには一番良いところで駄目にしてやるのがいいと思ってるの。だから最初は乗ってあげるわ。」

ほほう!たしかにそれは面白いですね!大どんでん返しー!ってやつですね?

「そうなると思う。けど、これをするにはあんたの力が大事よ。」

私のですか?

「『天の声』として私とあんたがあいつにのみ込まれないようにしっかりと働くの、いい?」

出来ますかねぇ…。
ほまれちゃんが言っていたように、今、神は身を潜めてる状態のようですけど急に目覚めて、私の存在を消そうとする行動に出られては流石に抗いようが…。

「バカね!あんたしっかり『天の声』として働けばいいだけでしょ!私と会話してて自分の存在の意味わすれてるの?」

う…すみません…。

「何弱気になってんだか…いい?私が動くのはまだ先だけど、あんたが動くのは…今なのよ。」

今…?

「そっ。いーま!何だかんだ頭の回るあんたならもう分かってんでしょ?」

…地盤固めていきますねぇ、ほまれちゃん…流石です。

「ふふ。まぁでもこの瞬間にってわけでもないから…あんたの思うタイミングでやってくれていいわ。」

こんなに、ほまれちゃんが私を信用してくれるなんて…とても楽しい悪だくみですね。

「こうして話できるのは神のイタズラというよりも、なにかの縁…と思うことにしたの。前向きに行かないと。」

それは良いことです!嬉しいです!私も報われます、うんうん、ジーーーーンと来ました。

「じゃ、まかせるわ。」

承知しました。

ここは私の腕の見せ所…。

緊張もしますが、それよりも喜びと楽しみでいっぱいです。っと、すっかりほまれちゃんに洗脳されてしまった私ですが…本気、だしてやるよ。
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